問題児? 失礼な、俺は常識人だ   作:怜哉

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キャラの口調とかがイマイチ分からねえ...。
アニメ見直そうかな...


“???”

「――ほう?神であるこの我を負かす、か。大きく出たな人の子よ」

 

心底可笑しいように、クツクツと笑う雷神。

――うるせえ。

 

()()()

 

ガチン!と、開いていた雷神の口が勢いよく閉じる。

?なんだ、今の。まるで久遠みたいな...。

考えてる場合じゃねえか。今は、目の前の雷神を屠る!

天屠る光芒の槍(ダイシーダ・リヒト)』を強く握り直し、もう1度命令を下す。

 

()()()()!」

 

そう言うと、雷神の動きが止まる。

が、それも一瞬の出来事だった。

 

「図に乗るなよ、人間風情がッ!!」

 

無理矢理に自分の体を動かし、俺の命令に背く。

だが、それでも構わない。一瞬だったが、それで十分だ。

今の俺には、何をどうすれば勝てるのかが頭に浮かんでくる。何故かは分からないが、どうするのが最適解なのか、本能的に見えてくるのだ。

 

――“???”、発動。

 

鐘の音が響く。俺の内だけじゃない。外にも聞こえるような鐘の音が。

同時に、俺から白い光が放出される。

光は瞬く間に周囲を覆い、何もかもを飲み込んだ。

 

「開け、高殿の門」

 

頭に浮かぶ言葉をそのまま発する。

言葉の意味は分からない。夢見心地のような感じで、何をしているのか自分でも把握しきれていない。

でも、これだけは分かるんだ。

こうすれば、あのクソ神に勝てると!

そのまま頭に浮かぶ通りにし、世界を構築する(・・・・・・・)

やがて光は収まっていき、周囲は先程までの瓦礫の山ではなく、だだっ広い草原(・・)になっていた。

 

「これは...」

 

雷神が驚嘆の声を上げる。

そんな雷神にはお構い無しに、俺は雷神に向けて『天屠る光芒の槍(ダイシーダ・リヒト)』を投擲。狙うはアイツの頭。

 

「くたばれ!」

「むん!?」

 

雷神は咄嗟に障壁を張ったが、俺の槍は障壁ごと雷神を撃ち抜いていく。

だが、それで終わると思う程俺は甘くない。

相手は神だ。やり過ぎるくらいが丁度いい。

俺は雷神へと突進し、槍を握って引き抜き、次は心臓へと突き刺す。

その次も、右肩、右胸、腹、太ももと、次々に刺し穿つ。

 

「フ、フハ、フハハ、フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

どれくらい刺しただろうか、風穴だらけの雷神は、心底嬉しそうに笑い出した。

なんだ?気でも触れたのか?

警戒し、もう1度胸に槍を刺す。

 

「ぐほッ!...フハ、フハハハハ!いいぞ人間!いや、新たなる神殺しよ!」

 

血反吐を吐きながらも、未だ嬉しそうに笑う雷神に、少なくない狂気を感じながら、一旦離れる。

 

「我はペルーン!スラブ神話の最高神にして、『雷で打つ者』の名を冠する神である!

パンドラよ、見ているのだろう?今ここに、我を討ち取りし者が現れた!」

 

天を仰ぎ、高らかにそう言う雷神・ペルーン。

こいつは一体何を言っているんだ?パンドラって誰だよ。

 

「ええ、見ていましたわ、ペルーン様。負けたというのに、やけにご機嫌ですのね?」

「ほう、お主がそうか!見よ、そこな人間を!この我と戦い、勝利するなどという規格外の人間を!その者は権利を得た。我らが宿敵、神殺しとなる権利をな!ならば、疾く始めるが良い、魔女よ。愚者と魔女の落とし子を生む暗黒の生誕祭、神を贄として初めて成功する簒奪の秘儀を!!」

 

本当に何を言っているんだコイツは、と思い始めたところで、パンドラと呼ばれた少女がこちらに歩いてきた。

 

「初めましてね、坂元凌太。私はパンドラ。あらゆる災厄と一掴みの希望を与える魔女よ。そうね、あなたの母親になる者だと思ってもらえればいいわ。ママって呼んでもいいのよ?」

「は、はあ。え、それで、その災厄の義母(かあ)さんが、俺に何の用です?俺、今ちょっと忙しいんですけど」

 

上目遣いで可愛らしく言ってくるパンドラさん。

正直、貴女は母親と言うより妹みたいですよ?

 

「あら、凌太は私を母だと呼んでくれるのね。そう呼んでくれた子は初めてだわ!」

「はあ...?」

「そうそう!今忙しいって、ペルーン様の相手が忙しいの?」

 

ヤケに嬉しそうな笑顔を浮かべるパンドラさん。

いえ、別に貴女を母親と思って言ったのではないのですが...。まあ、いいか。

 

「ええ、そうですよ。俺はここで死ぬ訳にはいかないので」

「それならもう大丈夫!ペルーン様は貴方に敗北したと認めたわ!これで貴方は神殺し、神殺しの魔王(カンピオーネ)となったのよ!」

「......は?イヤイヤ、意味分かんないです。だってあの神様、まだ生きてるじゃないですか」

 

指を指し、未だ雷神・ペルーンが健在であることを示そうとする。

が、指を指した先にいる雷神は、何やら足元から消えかかっていた。

...え、なに、何なんですか?

 

「フハハハハ!貴様、名を何という?」

 

消えかけているにも関わらず、高笑いを止めずに質問してくる雷神。

 

「坂元、凌太だけど...。え、なに?アンタ消えんの?」

「うむ、凌太か。良い、良いぞ坂元凌太!貴様は我を打倒した人間、我の力を簒奪せし魔王だ!何人にも負けることは許さん。我が雷霆を手に、その名を世界の果てまで轟かせよ!」

 

そう言って、雷神・ペルーンは完全に消滅した。

 

「な、何だったんだ...?」

 

緊張の糸が途切れ、今まで広がっていた草原も消え去り、先程までの瓦礫の山に戻っていた。

そこで、無茶をしたからだろうか。一気に眠気が襲ってきた。

 

「眠る前に少しだけ助言してあげるわ、凌太。これから、貴方は多くの者と戦うでしょう。それこそ、まつろわぬ神なんかとね。でも、貴方は勝者よ。貴方は貴方のやり方で勝利を収めていきなさい。まあこんなことを言っても、目が覚めたら忘れちゃってるんだけどね」

「それって助言の意味無いんじゃ...?」

 

アハハと笑うパンドラさんに呆れ顔を向ける。

 

「さあ皆様、祝福と憎悪をこの子に与えて頂戴!8人目の神殺しの誕生よ!」

 

パンドラさんがそう言う。

どうでもいいですけど、あなたたちヤケにテンション高くないですか?神様ってそんなもんなの?

そういや爺さんもそんな感じだったわ...。

そんな思考を最後に、俺は睡魔に身を任せて意識を手放した。

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

目を覚ますと、俺は大きなベッドに寝かされていた。

天蓋まで付いていて、凄く高価そうに見える(小物感)。

 

「知らない天井だ...」

 

実際には天蓋が邪魔で天井なんて見えないが、そう言わないといけない気がしたので言ってみる。

起き上がって周りを見渡す。広い部屋で、見るからに高級感漂う壺や絵画がセンスよく置かれている。

しばらく部屋を眺めていると、部屋の扉が開かれてメイドさんが入ってきた。

...メイドとか初めて見たぜ。

 

「あ、お目覚めになられたのですね!おはようございます!」

 

にっこりと、可愛らしい笑顔を向けてくるメイドさん。

何この娘すっごく可愛い。

思いがけない癒しにほっこりしていると、新たにもう1人部屋に入ってくる。先程ペルーンと戦っていた金髪少女だ。

 

「お目覚めになられたのですね、王よ」

 

俺が起きている事に気が付くと、恭しく頭を下げてくる金髪少女。

 

「はあ...。え、王?」

 

王ってなんだ?俺は王なんてものになった覚えはないんだが...。

いや、そういや眠る前に魔王がどうとか言われてたような...。

パンドラさんは忘れるとか言ってたけど、ガッツリ覚えてるのは何故だろう?

 

「覚えていらっしゃらないのですか?

御身はまつろわぬペルーンを倒された、8人目の神殺しであられます」

 

あー、何となく思い出してきたわ。

言われた言われた、そんな事。あの時はちょっとぼうっとしてて、あの神様たちが言ってた事を半分くらいしか理解してなかったんだよね。

でも神を殺したってだけで、こんなに恭しく扱われるもんなのか?いや、神殺しとか偉業中の偉業だろうけどさ。

 

「あー、ある程度思い出したわ。でも王ってのは何なんだ?神を倒したら王様になるの?」

「はい。神殺しとは、人類には成し得ない偉業。それを成し遂げた貴方様の様な方々を、我々は神殺しの魔王、カンピオーネと呼んでいます。彼らは神を殺める事で、その神の権能を簒奪し、人を超えた存在へと昇華されるのです」

「へー...」

 

話が大きすぎね?

爺さん、俺王様になったよ。神殺しの魔王だってさ。

......この力使えば、アンタを殴れるよな?

 

「まあ難しい事はいいや。それより、あの時いた護堂や銀髪少女、巫女少女は無事?倒れてたし、割と心配なんだよね。特に銀髪少女は俺のとばっちり受けてたし、申し訳ない気持ちが...。あ、あとここが何処なのかの説明があると嬉しい」

 

俺の質問に、金髪少女は驚いた様な表情を浮かべる。

?俺、なんか可笑しい事言ったか?

俺が困惑していると、少女が気を取り直した様に話し出す。

 

「いえ、すいません。カンピオーネの方々の大半は人間の事を心配するような方ではないので、少々驚いてしまいました。

銀髪と巫女なら大丈夫です。つい先程目を覚ましました。護堂...いえ、我が王も無事でございます」

「そっか。そりゃ良かった。...我が王?てことは、護堂も神殺しなのか?」

「はい。7人目の王、草薙護堂でございます」

「へー、だからあの雷神と互角に殴りあってたのか...」

「ええ。

あとはここが何処なのか、という質問ですが、ここはイタリアが魔術結社“赤銅黒十字”の本拠地、その客室でございます」

 

ふーん、と空返事を返す。

魔術結社とか言われても分からんし。

にしても、イタリアかぁ。俺の知ってる地球と同じなのか?

いや、俺がいた地球とはまた別の世界なのかな?

 

「恐れ多い事と承知の上でお聞きします、王よ。名を、お教えいただいてもよろしいでしょうか?」

「へ?ああ、名前ね。坂元だよ、坂元凌太。呼び捨てで構わないよ?」

「ありがとうございます、坂元様」

 

うーん、様付けってのはなかなか慣れないな。

なんかこう、こそばゆい。

 

「坂元様。お着替えをこちらに用意しております。どうぞ、ご着用ください」

「あ、ありがとう」

 

メイドさんが服を持ってきてくれた。

よく見れば、俺は今上半身裸(包帯を巻いてはいる)だ。

服を受け取り、そそくさと身につける。

そこで、ギフトカードがズボンのポケットに入っている事に気付き、取り出す。

するとそこには、“雷を打つ者”という新しい恩恵が刻まれていた。これが簒奪した権能ってやつか。

 

「そういえば、君たちの名前を聞いてなかったね。教えてもらってもいい?」

「はい。私はエリカ・ブランデッリ。“赤銅黒十字”に所属しております、『紅い悪魔(ディアボロ・ロッソ)』の称号を持つ魔術師です。こちらは私の専属メイドのアリアンナ・ハヤマ・アリアルディ。

ちなみに、先程仰っておられた銀髪の者はリリアナ・クラニチャール。巫女の者は万里谷祐里と申します」

「ありがとう。じゃあさ、エリカさん。悪いんだけど、飯あるかな?なんか異常に腹が減ってて...」

 

彼女らが俺を王と仰ぐのならば、必要最低限の権力は使わせてもらおう。

それに、同じ神殺しとして護堂とも話してみたいし。

 

「畏まりました。すぐに用意させますので、少々お待ちください」

 

ペコリ、と一礼して部屋を出ていくエリカさんとアリアンナさん。

待っていろとは言われたが、護堂と話したかった俺はその言いつけを破り、部屋から出るのだった。

 

 




超テキトーです。
後悔はしてないです。反省はしてます。

“???”の力の一端を発動させてみました。
久遠飛鳥の“威光”とは違うのですが、効果は似てますね。普通にチートです。

感想・評価の方、よろしくお願いします。

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