未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第二話(第七話)

雷山達が一番隊舎に着くと大方の隊長たちがすでに揃っていた。

 

「おじいちゃん!私たちに用事って何?」

 

元柳斎を見て早々狐蝶寺がそう叫んだ

 

「おい狐蝶寺!山本総隊長殿に何て言い草だ!!」

 

二番隊隊長の四楓院朝八(しほういんあさや)が狐蝶寺に突っかかってきた

 

「まあ良い四楓院隊長。狐蝶寺隊長に何を言っても無駄であることはおぬしも重々承知であろう」

 

朝八は自分の定位置に戻っていった

 

「狐蝶寺隊長、もう少し待たれよ。用は他の者達が揃ってから話す」

 

そして数分後空席となっている八番隊隊長以外のすべての隊長が揃った

 

「皆、緊急の招集によう集まってくれた。今回集まってもらったのは、例の隊士襲撃の件についてじゃ」

 

(やはりか…)

 

雷山の予想が見事に当たった

 

「我らもこのまま手をこまねいている訳にもいかぬ。そこで二番隊、四番隊、十二番隊数名を隊士が最も襲撃を受けていると報告がある南流魂街79地区【斬鬼(ざんき)】へと送ることにした。そのことを伝えるための急の招集じゃ。皆、異論はないかの?」

 

「調査くらいなら俺が行ってやるんだがな」

 

「雷山、おぬしはつい先日失踪事件を起こしたばかりじゃろう。残念じゃがしばらくはおぬしに調査を任せるわけにはいかぬ」

 

「……ちっ」

 

「では、二番隊隊長・四楓院朝八、同隊副隊長・四楓院夜九(しほういんやく)、四番隊副隊長・薬師寺見舞(やくしじみまい)、十二番隊隊長・八道矢宵(やじやよい)、同隊副隊長・刳八将(くるやしょう)の5名を調査部隊とする」

 

一礼し四楓院朝八と八道矢宵は瞬歩でその場を去った

 

「卯ノ花隊長、薬師寺副隊長にこの後すぐに朱洼門(しゅわいもん)に集合する旨を伝えてはくれぬか」

 

「了解いたしました」

 

「では以上を以て解散とする」

 

隊長たちが去っていく中、雷山は元流斎に話しかけた

 

「山本、あいつらを信用してないわけじゃないんだが本当にあいつらだけで大丈夫だと思うか?」

 

「何を心配しておるのじゃ。……まあ、確かにいささか不安は残るが大丈夫じゃろうて」

 

「と言ってもだなぁ……今回ただの襲撃とは思えないんだよ。山本」

 

「それはおぬしの勘じゃろう。そもそもおぬしの勘は当たったことないではないか」

 

「まあそうだが…うむ、仕方がない…か」

 

雷山は納得がいってなかったが仕方なくその場を去った

 

五番隊舎へ帰る途中朱洼門へ向かう途中の二番隊隊長の四楓院朝八と副隊長の四楓院夜九の二人を見つけた

 

「よぉ朝八。最近瀞霊廷を騒がしてる奴に言われたくはないだろうが、気をつけて行って来いよ」

 

「ふん、貴様に言われるまでもない。すぐに反逆者を連れてきてやろう」

 

「相変わらず自信だけは達者だな。まあいい、とりあえず気を付けて行けよ~」

 

「……行くぞ、夜九よ」

 

「はい、朝八様」

 

その後朝八たちは八道矢宵たちと合流し南流魂街79地区【斬鬼】へと出発した

 

 

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「…よし、ここが隊士が襲撃を最も受けている場所だな。各自あたりを調べ…」

 

「破道の八十三"炎縄(えんじょう)"」

 

その瞬間炎をまとった縄が朝八一行にめがけて向かってきた

 

「!?」

 

「ちっ」

 

朝八一行は難なくよけ、縄はそのまま地面にあたり当たった場所は爆発し土煙が立った

土煙が晴れると目の前に隊長羽織を着た死神が立っていた

 

「やれやれ、ようやく隊長が出てきたか」

 

「……貴様、何者だ?」

 

「俺の名は、影内愧龍(かげうちきりゅう)

 

「聞かぬ名だな。……貴様が着ているその羽織はそう簡単に手に入るものではない。どこでその羽織を手に入れた……」

 

「これは山本のじいさんからもらったものだ」

 

「山本総隊長殿からだと!?……貴様先代の隊長か?」

 

「ああ、先代…いや、初代護廷十三隊九番隊隊長・影内愧龍だ」

 

「初代護廷十三隊だと!?貴様、何を寝ぼけたことを言っている。初代護廷十三隊など生きているわけがないだろう!!それを…」

 

朝八の言葉を影内が遮った

 

「ついこの前瀞霊廷の偵察から戻った蜂乃背(ふうのせ)がじいさんの他4名生存しているのを確認したそうだが?」

 

「なっ…」

 

朝八を含めた全員が驚いている様子だった

 

「まあ、お前らが知らないのも無理はない。あいつらが自ら初代十三隊隊長だと言うとは思えないからな」

 

「……その4名とは誰の事だ…!」

 

「そんなことをお前に言ってどうするよ。これから死ぬお前らに」

 

そういうと影内は腰に差してある斬魄刀を鞘から引き抜いた

 

「さて、お前らはどれくらい持ち堪えるのかな?」

 

「……!」

 

影内の霊圧に高さに気付いた朝八は夜九に命令した

 

「夜九!!今すぐこのことを瀞霊廷に報告しろ!!ここは私と八道隊長で何とかする!!」

 

「か、かしこまりました!!」

 

その様子を見た影内は

 

「逃がす訳がないだろう。”(くる)()とせ”『狂陰(きょういん)』」

 

影内が始解すると夜九が突然苦しみだした

 

「ぐわぁぁ…!!」

 

「夜九、どうした!?」

 

「そんな…あれは…そんなわけは…」

 

夜九は苦しみだしたと思ったら今度はうわ言を言い始めた

 

「貴様、夜九に何をした…?」

 

「ちょっとこいつのトラウマを思い起こしただけだ。中にはお前みたいに効かないやつもいるんだが、そいつには相当なトラウマがあるみたいだな」

 

朝八に怒りが込み上げてきた

 

「八道隊長、報告は瀞霊廷に戻ってからにしよう…」

 

「え?あ、ああ…」

 

「”花見(はなみ)葉見(はみ)ず”『彼岸花(ひがんばな)』」

 

「”(もぐ)()め”『傀儡蟲(くぐつちゅう)』」

 

二人の斬魄刀はそれぞれ短刀とムカデのように変化した

 

「それがお前らの斬魄刀か。思っていたよりも楽しめそうだな」

 

「初代十三隊の実力拝見させてもらうぞ…!」

 

影内はニタァと笑い呟いた

 

「まずは二人…」

 

 

 *  *  *

 

 

「雷山隊長!!」

 

実松が大急ぎで走ってきた

 

「なんだなんだ?そんなに騒いで」

 

「じ、実は…」

 

実松は雷山に朝八たちが初代護廷十三隊九番隊隊長を名乗る者と戦闘状態に入り救援がいるとの報告が入ったことを伝えた

 

「初代九番隊隊長だと!?影内のことか?」

 

「いえ、そこまでは分かりません」

 

「クソッ、椿咲のやつ肝心な時に……実松、俺は山本の所へ行ってくる。椿咲が戻ったらここで待機するように伝えてくれ」

 

「了解しました」

 

雷山は急ぎ足で元柳斎の元へ向かった

 

雷山が元柳斎のもとにつくとそこにはすでに銀華零、狐蝶寺の姿があった。

 

「お前ら何でここにいるんだ?」

 

雷山の問いに銀華零が答えた

 

「山本総隊長に呼ばれたんですよ。雷山さんこそなぜここに?」

 

「俺は山本に用があって来たんだ。山本、朝八たちの救援には俺が行く相手はほぼ間違いなく影内だ。あいつらじゃ勝てん」

 

「雷山の気持ちもわかるが、四楓院隊長たちの救援には銀華零隊長、狐蝶寺隊長の二名に向かってもらう」

 

「なぜだ!?俺が行けば確実にやつを倒せる!!それが…」

 

「雷山!!それはこの二人が信用できないと申しておるのか?おぬしは幼馴染であり最も信頼できるであろう仲間が影内愧龍に敗れると申しておるのか?」

 

元柳斎の怒号が響きあたりがシンッとした

 

「雷山さん、心配しないでください。ちょっと行って帰ってくるだけですよ」

 

銀華零のその顔がかつてレオネ・フォレスタから自分たちをかばってくれた未来の銀華零の顔と重なった

 

「そうだそうだ!私たちを嘗めてもらっちゃ困るよ!」

 

「……分かった、お前らを信じよう。だが、死ぬなよ」

 

「もっちろん!」

 

「では、山本さん。これから朝八さんたちの救援に向かいます。場所は斬鬼ですよね?」

 

「うむ、そうじゃ。敵が本当に影内愧龍かどうかは不明じゃが気を付けてくれ」

 

そうして銀華零と狐蝶寺は斬鬼へ出発して行った。

 

 

 




ー追記ー
南流魂街78地区を79地区に修正しました

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