未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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初代隊長反乱篇
第一話(第六話)


南流魂街79地区【斬鬼(ざんき)】―――――――――――

 

「ハア…ハア…」

 

そこにある森の中を走る影が一つ

 

(いったいあいつは何なんだ…!?)

 

その正体は護廷十三隊の一般隊士だった

 

ドサッ

 

その場に転んでしまう一般隊士

 

「うっ…ててっ…」

 

顔を上げると目の前に一人の死神が立っていて、隊士を見下ろしていた

 

「くっ…!お、お前は何者だ!?」

 

「…俺の名前は影内愧龍(かげうちきりゅう)

 

「影内…愧龍…?」

 

そこまで言った時隊士は気づいた

 

 

「…!!貴様、その羽織はどこで手に入れた…!?」

 

影内愧龍と名乗る死神は隊長羽織を身に着けていたのだ

 

「…これは山本のじいさんからもらったもんだ」

 

「なっ!?貴様…何を言って…!?」

 

「お前に恨みはないが、あいつの命令なのでな」

 

そう言い影内は腰の斬魄刀に手をかけた。次に影内が何をするか悟った隊士は、

 

「……!や、やめろ…この事は誰にも言わぬから…!」

 

命乞いをしたが、無情にも刀は振り下ろされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浮葉刃が起こした椿咲南美誘拐事件から十ヶ月――――――――

 

「またか…」

 

眉間にシワを寄せ雷山は報告書を読んでいた

 

「隊長、どうしたんですか?そんな難しい顔をして」

 

「ん、いやまた隊士が襲われる事件が多発しはじめてだな…」

 

「隊長が倒したっていう虚がまだ生きていたとかはないんですか?」

 

椿咲が言っているのは、数か月前に起きたとある事件である

 

「いやそれはない、あいつが霧散して消えるのを確かにこの目で見たしな…」

 

雷山はレオネ・フォレスタが消えて行った時の事を思い出していた

 

「そう言えば、その破面はどこで倒されたんですか?あの時はたぶらかされましたが今日という今日はそうはいきませんよ?」

 

その言葉を聞き雷山は一瞬固まった

 

「…気になるのか?」

 

「ええ、もちろん」

 

「…はぁ、仕方ないな。話してやるからこのことを言いふらすんじゃねぇぞ」

 

「了解しましたぁ♪」

 

その後雷山は自身が失踪した10日間の事を話した。自分は未来に飛ばされ、そこの未来で藍染という死神が破面を率いて尸魂界に戦争を仕掛けたこと、自身を未来に飛ばした破面とその仲間との死闘、そしてその戦いで未来の銀華零が死亡したこと

 

「10日の間にそんなことが…」

 

「ああ、ついでにお前は霊術院の講師なんてやってた。信じられるか?」

 

「我ながら信じられませんね。人違いなんじゃないですか?」

 

それは俺も思ったと雷山は答えた

 

「だが、あれは完全にお前だったな。今とそう大して変わらなかった」

 

「え!?私成長しなかったんですか!?」

 

と自分の胸を見て椿咲はそう驚いたように声を上げた

 

「どこ見て驚いてんだよ。頭の話だ、頭の」

 

「ちょっと待って下さい!頭の話ってどういうことですか!?」

 

「は?そのままの意味だが?」

 

「その頭の話ってもしかしてですけど、私がバカっていう話じゃないんでしょうね…?」

 

「もしかしなくてもそういう話だ」

 

「このチビがあああぁぁぁ!!涙」

 

胸ぐらを捕まれ左右に揺すられながら雷山は

 

(なるほど、未来の椿咲のあの言動はこの頃から始まってたのか…)

 

と揺すられていることを気にもとめずそんなことを考えていた

 

気がつくと椿咲は床にうずくまり泣いていた

 

(この光景どっかで見たような…)

 

とその様子を雷山は眺めてみていた

 

「おい、雷山ァ~」

 

その時書類を持った藪崎がやって来た

 

「…結局おまえは一度も俺を隊長って呼ばなかったな」

 

「あ?文句か?生憎そういうのは受け付けてねぇんだわ。他を当たりな」

 

「文句じゃねぇよ。で、その手に持ってる書類は何だ?」

 

「ついさっき外を歩いていたら、狐蝶寺だっけか?そいつにそれを雷山に渡しとけって言われてな」

 

「お前、あいつの言う事は聞くんだな」

 

意外なものを見たというの様な顔をする雷山に

 

「あれと四番隊隊長と三番隊隊長は怒らせたらまずい部類だからな。できるだけ怒らせないよう努力してる」

 

と耳打ちして答える藪崎

 

「そんなもんに努力するなよ」

 

「おいおい、雷山も分かるだろ。あいつらは怒らせたらまずいって」

 

「まあ、否定はしないけどな」

 

「ああ、ところでそこでうずくまってるそれは何だ?」

 

藪崎はいまだ床にうずくまり泣いている椿咲を指差して言った

 

「あー…まあ気にすんな」

 

「……よく分かんねぇがまあいいや。じゃあな」

 

と言い残し藪崎は出て行った

 

「オラ、お前はいつまで泣いてるんだよ。シャキッとしろシャキッと」

 

「だって隊長が…隊長が…」

 

「はぁ…めんどくせぇな」

 

雷山はいつまでたっても泣き止まない椿咲を放っておこうと思った

 

気が付くと椿咲は泣き止んでいた

 

「はあ!泣いたらスッキリしました!」

 

「泣きすぎだバカヤロウ」

 

そう言い机に置いてある湯飲みを取ろうとしたとき

 

「…ん?このセリフ前にも言ったような…」

 

「何一人でコントしてるんですか」

 

「うるさい、元はと言えばだなぁ…」

 

「やっほー、雷山君!あれあれ、また喧嘩ですかね?」

 

雷山が何かを言おうとしたとき狐蝶寺が訪ねてきた

 

「…今日はやたらと人が来るな。というかお前は毎日毎日ここに来てそんなに暇なのか?」

 

「へ?暇なわけないじゃない。仕事を山吹ちゃんに丸投げして来ちゃった」

 

他人事のようにそう言う狐蝶寺

 

「後で山吹に怒られるやつだな。副隊長に説教される隊長なんか見たことねぇぞ」

 

「私が隊長になったら毎日されそう…」

 

「椿咲、お前に隊長を任せるつもりはまだないから安心しな」

 

「そんなこと言わずに、そろそろ私に隊長を任せてもらってもいいんですよ?卍解も修得しましたし、実力は申し分ないと思うんですよ」

 

「今のお前が隊長になったら隊が成り立たなくなるわ。もう少し副隊長で経験を積め」

 

雷山がそう言ったと同時に五番隊第三席・実松矢井がやってきた。

 

「雷山隊長失礼します。……おや、狐蝶寺隊長もいらしたんですかちょうど良かったお二方に山本総隊長から召集が来ております」

 

「あれ、私と雷山君の二人だけ?」

 

雷山の食べているせんべいを横取りしてそれを食べながら狐蝶寺は言った

 

「いえ、隊長全員に対しての召集です」

 

「何の用なんだろうね」

 

狐蝶寺から召集状を受け取る雷山

 

「……まあ大体察しはつくけどな」

 

「え、教えてよ雷山君」

 

「行けば分かることだからわざわざ言う必要もないだろ」

 

席を立ち部屋を出ていこうとした雷山だったが、何かを思い出したように立ち止まり振り返った

 

「そうそう、椿咲はちゃんと仕事しとけよ。それと実松、椿咲がサボってるようだったら問答無用で取り押さえてくれ」

 

それを聞いた実松は椿咲の両腕を掴んだ

 

「ちょっと待ってくださいよ。隊ちょ…」

 

「了解致しました。雷山隊長」

 

「ん、じゃあ行ってくる」

 

 

 

 

 

 

 

 




ー追記ー
南流魂街78地区を79地区に修正しました

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