未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第五話

「さて、今回の事を説明してもらおうかの」

 

雷山一行は瀞霊廷に帰還してすぐに元流斎に呼び出され、一番隊舎にいた

 

「椿咲が浮葉とどっか行っちまってたから探して連れ戻してきただけだが?」

 

元流斎の問いに雷山は一息置いて答えた

 

「それで説明になっておると思うてか?」

 

閉じていた目を片目だけ開いて再度元流斎が聞いた

 

「ああ、逆に説明になってないのか?」

 

と平然と答える雷山

 

「ほう、ではこやつらは誰かの?」

 

そうすると、一番隊副隊長・雀部長次郎に連れられた安と藪崎が歩いてきた

 

「…!」

 

(げっ、なんで彼らがここに居るの…!?)

 

顔色を変えずいるがに内心焦る狐蝶寺

 

(雷山さんどうするのでしょうか…)

 

内心心配する銀華零

 

「…はぁ、仕方がないな。さっき言ったことは、まあ本当の事だがその時に浮葉が条件を出して来てな」

 

「条件じゃと?」

 

「ああ、その条件ってのはそこの二人を五番隊に入れてやりたいって内容だった。見た感じ問題もなさそうだったから五番隊に入れた。たったそれだけの話だ」

 

と雷山は平然と嘘を言ってのけた

 

「本当にそれだけか?他に言うべきことはないのじゃな?」

 

「ないが?」

 

「…なるほど、しかし妙な話があっての」

 

と元流斎は懐から一枚の報告書を出した

 

「つい先日の事じゃ。地下特別管理棟”蛆虫の巣”から二名の者が失踪したと報告があっての。ついさっきこの二人を四楓院朝八(しほういんあさや)に確認してもらい、この二名が蛆虫の巣の収監者であることが判明した」

 

そう言う元流斎に対し雷山は焦りを感じていた

 

(ちっ、四楓院の奴余計なことを…だがどうするか…)

 

「どうした?何か申してみよ。雷山悟」

 

(さすがに隠し通すのは無理だな…)

 

「はぁ…ああ、そうだよ。そいつらは蛆虫の巣の収監者だ」

 

「おぬし、こやつらが収監者であることを知りながら五番隊に入れたのか」

 

「ああ、そうだが何か問題か?」

 

「雷山、貴様それを本気で言っておるのか!!蛆虫の巣に収監されるものは思想的に問題と判断された者たちじゃ!その者たちをよもや護廷十三隊に復隊させるなど…!」

 

元流斎の言葉に怒りがこもるが雷山はお構いなしに

 

「いいじゃねぇか。こいつらが反乱を起こしたら叩っ斬ればいいだけの話じゃねぇか」

 

と反論した

 

「そう言う問題ではないのじゃ!!」

 

「ったく、話の通じないじじいだな…」

 

その時その場にいる全員が雷山、元流斎両名の霊圧が高まっていくのを感じた。その霊圧は想像を絶しており、浮葉、安、藪崎の3名はすでに立てなくなるほどだった。しかし、そのことを意に介さず二人の霊圧はどんどん上がっていく。そしてついに雀部、椿咲も立てなくなるほどにまで高まった

 

「……」

 

雷山が斬魄刀の柄に手をかけた瞬間

 

「ぐふっ!?」

 

突如雷山の頭に激痛が走った。驚き後ろを振り返ると殴ったのは白だった

 

「痛ってぇ…白、何をしやがる」

 

頭をさすりながら雷山は言った

 

「雷山さん、あなた今山本さんに斬りかかるつもりだったでしょう」

 

「…それの何が悪い?」

 

「今はそんなことをしている場合じゃないでしょう!あなたはここに何しに来たんですか!?山本さんを説得するためでしょう!!なのに、斬りかかったりしたらますます劣悪な空気になるじゃないですか!!」

 

(白ちゃんがここまで怒るのは久々に見たなぁ…汗)

 

狐蝶寺は冷汗をかいて様子を見ていた

 

「その説得ができてないからこうなってるんだろ!?いいか、お前も責任問題に問われかねないんだぞ!?それを何とかしようとしてるんじゃねぇか!!なぜそれが分からないんだ!?」

 

雷山は気が収まらず銀華零と口喧嘩を始めだした

 

「雷山悟、銀華零白後にせ…」

 

「山本は黙ってろ!!」 「山本さんは静かにしていてください!!」

 

「ぐぬぬ…」

 

その口論は護廷十三隊総隊長・山本元流斎重國も入れないほど白熱したものになってしまい、その口論は狐蝶寺が仲介に入ってもなお一時間続いた

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

「さて、ようやく収まったの、それでは処分を言い渡す。三番隊副隊長・浮葉刃は一週間の謹慎処分とし、三番隊隊長・銀華零白は不問とする」

 

「申し訳ありません、山本総隊長」

 

深々と頭を上げる銀華零と浮葉

 

「なお、この二名は雷山の監視下で五番隊隊士として活動することを許可ということとする」

 

「まあ、普通はそうなるわな。こいつらの面倒は任せておけ、山本」

 

雷山も礼儀として元流斎に一礼をした

 

「今回の件について各隊隊長には追って通達する。よって、それまでは安、藪崎の両名は五番隊隊舎の外に出ることは禁ずることになるが良いかの?」

 

「それは仕方ないな。それまでこいつらにおおまかな仕事を教えるか」

 

「では、これにて解散とする」

 

杖を突く音がその場に響いた

 

「よし、それじゃ隊舎に戻るか。安と藪崎もついて来い、隊士の連中にお前らを紹介しなきゃならないしな」

 

「それじゃあ、隊舎に戻りましょう!」

 

そう言いその場を去って行く雷山たちを銀華零と狐蝶寺が呼び止めた

 

「雷山君、ちょっと待ってよ!」

 

「あ?どうしたよいきなり」

 

呼び止められ振り返る雷山

 

「約束を忘れてない?」

 

「約束って……あーあれか…」

 

嫌なことを思いだしてしまった雷山

 

「約束ってなんですか?」

 

雷山と狐蝶寺、銀華零の約束に興味津々の椿咲

 

「南美ちゃんを助け出したら何かおごってくれるって約束だよ!」

 

「お前が勝手にそう言ってるだけだけどな。だが、まあ協力してもらったのは確かだし今回は好きなもん奢ってやるよ」

 

雷山のその言葉を聞き狐蝶寺は喜び飛び跳ねた

 

「やったー!!」

 

「ったく、ホントに餓鬼だな。…お前らも来るか?」

 

雷山は後ろにいる安と藪崎にも声をかけた

 

「もちろんですよ。雷山隊長」

 

「…仕方ねぇからついて行ってやるよ」

 

「よし!それじゃあ出発だー!!」

 

意気揚々と叫ぶ孤蝶寺を無視して雷山たちはその場を後にしていった

 

「ちょっとー!!おいてかないでよーー!!」

 

 

 

 

 

椿咲南美誘拐篇 ~fin~

 

 

 

 


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