未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第十四話(第三十四話)

~狐蝶寺サイド~

 

 

「…やはり先程感じた気配はあなた方でしたか。そちらからいらして下さるとはこちらから出向く手間が省けたものです」

 

「…雷山君はどこ?」

 

「はい?」

 

「雷山君はどこって聞いてんの!!」

 

「そう怒鳴らないでください。雷山悟とそのお連れの方はバラガンに斬られましたよ。ですが…」

 

ガキンッ!!

 

狐蝶寺は何の前触れもなくドゥミナスに斬りかかり言葉を遮った。一方のドゥミナスは三叉槍を取り出し攻撃を防いだ

 

「話は最後まで聞くものですよ」

 

「あなたの言葉なんか聞くだけ時間の無駄だよ!!」

 

「やれやれですね…」

 

ドゥミナスは狐蝶寺を斬魄刀ごと弾いて距離を取った

 

「せっかくですし、わたくしと踊っていただけませんかね」

 

ドゥミナスは三叉槍を構えながら笑みを浮かべて言った

 

「”全てを吹き飛ばせ”『風芽』!!」

 

一方の狐蝶寺は一切の笑みを浮かべず怒りに満ちた表情で始解した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~雷山・銀華零サイド~

 

 

「無事だったんですね…!!雷山さん…!!」

 

銀華零は目に涙を浮かべて呟いた

 

「白、お前は浮葉たちの手助けを頼む。俺はバラガンをどうにかしてくる」

 

「分かりました」

 

雷山は首をポキポキと鳴らした後、弾き飛ばしたバラガンの元に瞬歩で近づいた

 

「…やはり威力が相殺されていたか。お前も大したもんだな」

 

弾き飛ばされたバラガンは多少の砂埃を被っていたが、それでもほぼ無傷の状態だった

 

「貴様何故生きている…!!貴様は確かにわしがこの手で殺したはずだ!!」

 

「お前もおかしなことを言うな。あの程度で俺が殺せると本気で思っていたのか?」

 

「…仮に殺せていなかったとしてもだ、何故貴様の(いかづち)がわしの”老い”を貫いた!!貴様の雷は一切わしに通らなかったはずだ!!」

 

「…あの時の俺の攻撃が本気だと思っていたのか?」

 

「なんだと…!?」

 

「あの時の俺は全力を出せなかったんだ。イミフィナリオと戦った直後だったから当然と言えば当然だ。あの時の俺は半分の力も出ていなかった」

 

「全力の半分以下だと…?」

 

バラガンは雷山の様子からそのことが事実であることは分かっていたが、自分の力に絶対的な自信を持つバラガンにはその事実すら受け入れ難いことであった

 

「詭弁を抜かすな!!あの時貴様が本気だったのは紛れもない事実だ!!その時の力を打ち破ったわしこそ”大帝”バラガン・ルイゼンバーンだ!!」

 

その瞬間バラガンは背後に何者かの気配を感じ取った

 

「バカな…いつの間にわしの背後を…!!」

 

「あなたが雷山隊長と話している最中にだよ!!」

 

「わしの背後を取ったその実力は認めよう。だが、まだまだ詰めが甘いぞ小娘!!」

 

バラガンは戦斧を振るい椿咲を二つに裂いた

 

「ッ!!何が起こった…!?」

 

バラガンは目の前で起こったことへの理解が追い付いていない様子だった。バラガンが戦斧で椿咲を裂いた瞬間椿咲の身体が煙となり霧散してしまったのである

 

「私の斬魄刀は”幻覚を見せる能力”だよ」

 

椿咲のその言葉が聞こえたときバラガンはすでに椿咲に攻撃され地面に叩きつけられた

 

「バカな…蟻如きに大帝たるわしが敗北…だと…」

 

「…お前をここで殺すと未来の出来事に大きな影響を与えかねないからな。ここでは生かしておいてやる」

 

「未来…だと…?」

 

「それからこれは忠告だ。これから先藍染惣右介という死神に用心することだな」

 

バラガンにそう告げると雷山は『静電気』を用いりバラガンを気絶へと追い込んだ

 

「…そういえば、春麗はどこだ?」

 

突如何もない場所から砂煙が上がった。雷山や銀華零からは何が起きたのかは見えなかったがその正体は狐蝶寺がドゥミナスに弾き飛ばされてきたものであった

 

「はぁ…はぁ…」

 

「隊長格というのはこの程度のものなのですか?正直、落胆しました」

 

「大丈夫か!?」

 

砂煙が晴れると同時に雷山たち全員が現れた。その光景を見てドゥミナスはバラガンが敗れたこと、バラガン配下の虚が敗走したことを察した

 

「…どうやらバラガン陛下は舞台から降壇されたようですね。ようやく邪魔な踊り子が消えましたね」

 

「邪魔な踊り子…?それってどういう…」

 

「元々わたくしはバラガン派でもイミフィナリオ派でもないのですよ。【虚圏の女帝】イミフィナリオ・エンペル・ヴェルティス、【虚圏の王】バラガン・ルイゼンバーン、どちらも強大かつ実力のある支配者です。この二人がいる以上わたくしが頂点に立つなど夢のまた夢の話でした」

 

「あなたまさか…」

 

ドゥミナスの話を聞いて事を察した狐蝶寺は驚きを隠せないでいた

 

「…気付きましたか。そうですよ。今回の戦いはすべてわたくしの起こしたことです。イミフィナリオとバラガンを亡き者にしわたくしが虚圏を治めるために、その為に協力頂きありがとうございました」

 

ドゥミナスはバラガンを裏切ったことを何とも思っていない様子だった

 

「…あなたはバラガンやイミフィナリオを裏切って何とも思わないの?」

 

「特に何とも思っていませんよ。わたくしにとってみれば今までも、そしてこれからもお二方とも邪魔な存在です」

 

「あなたって最低!!自分のことしか考えていない!!」

 

「…最低で結構ですよ。ですが、あなたたち死神もわたくしのことを言えないのではないのですか?」

 

「そんなことはない!!」

 

「ふふっ、まさかわたくしが知らないとでも思ったのですか?少し前に尸魂界で死神同士の争いがあったことは、虚圏(ここ)にも知れ渡っていることですよ」

 

「う…そ、それは…」

 

狐蝶寺は押し黙ってしまった

 

「所詮あなたたち死神もわたくしたち虚も考えていることは同じなのですよ。さて、無駄話が過ぎましたね。あなた方に恨みなどと言う下らない感情などはありませんが、将来必ず障害になるであろうあなた方を生かして帰すわけにはいきません。もはや、尸魂界を攻め落とすことなどどうでもいいことなのです」

 

ドゥミナスがそう言ったと同時、雷山たちは金縛りにあったかの如くその場から動けなくなった

 

「…急に身体が動かなく…!?」

 

「ふふっ、当然です。わたくしの”堕落(コルピシオン)”は何人も逃れることのできない技…イミフィナリオですらこの技の前に屈しましたからね!!」

 

ドゥミナスはまず最も手こずるであろう雷山を始末するべく斬りかかった

 

「イミフィナリオとも互角に戦えるあなたは真っ先に始末させてもらいます!!」

 

ガンッ!!

 

「―――――――何故…!?」

 

しかし間に割り言った人物に阻まれドゥミナスの攻撃は通らなかった

 

「春麗…!?」

 

「くっ…!!」

 

攻撃を阻まれたドゥミナスは一度狐蝶寺から距離を取った

 

「…おかしいですね。あなたにも雷山悟と同様にわたくしの”堕落(コルピシオン)”の効力が及んでいるはずなのですが…」

 

ドゥミナスは目の前の狐蝶寺を警戒すると同時に周りの死神たちに技の効力が及んでいるかを確認した

 

(やはりあの死神以外には効力が及んでいるようですね…わたくしが見誤ったと見るべきでしょうか…)

 

「へへっ!あんな技私には通用しないよ!試しにもう一度私にその…何て名前かわかんないけどかけてみなよ!!」

 

「…安い挑発ですね。そんなものにわたくしが乗るとでも?」

 

「乗るとは思ってないよ。けどさ、その技にも弱点くらいはあるんでしょ?例えば、”一度この技を掛けた人以外に同じように掛ける場合は一度この技を解かないければならない”とか?」

 

「…揺さぶりですか?それも無駄ですよ。長年イミフィナリオを欺き続けたわたくしに動揺を誘うなど無謀にもほどがありますよ!!」

 

狐蝶寺の背後に周り斬りかかるドゥミナス

 

「……」

 

「ッ!?わたくしの攻撃を…」

 

しかしドゥミナスの攻撃は狐蝶寺が背後に作り出していた風の壁に阻まれて防がれていた

 

「そう言ってるけどさ、あなたは私の動きを一向に止めようとしないじゃない。それは一体どういうことなの?」

 

「あなた程度ならわざわざ動きを止めなくとも倒せると判断したのですよ」

 

「ありゃりゃ、私も甘く見られちゃったね。だったらさ、やれるものならやってみなよ!!」

 

 

 

 

 


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