未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第十四話(第十九話)

「最高の戦いを味わおうぜ!!」

 

「最高の戦いか…確かに悪い響きではなさそうだが…」

 

六道は瞬歩で雷山との距離を一気に詰めた

 

「お前にその戦いが出来るのか?」

 

六道の斬撃を難なく受け止める雷山

 

「言ってな!”雷光光(らいこうひかり)雷鳴鳴(らいめいな)らせ”『雷斬(らいざん)』!!」

 

始解した雷山の斬魄刀から雷が吹き出した

 

放電(ほうでん)!!」

 

六道はわずかに刀を動かし感電するのを防いだ

 

六道行使(りくどうこうし)修羅道(しゅらどう)”!!」

 

雷山は六道の霊圧が上がり、動きが早くなったのを感じた

 

ガンッ!!

 

六道の刀を受け止めた雷山だったが

 

「うぐっ…!」

 

徐々に六道に押され出した

 

「どうした雷山!!これがお前の全力か!?」

 

雷山を弾き飛ばす六道

 

「くらいな!!六道行使”地獄道(じごくどう)”」

 

その瞬間雷山の身体が燃え始めた

 

「あっちぃな!!」

 

燃えながらも六道に切りかかる雷山だが、六道はいとも簡単にかわした

 

「言っておくがそれは本物の炎だ。さあ、はやく消さないと焼け死ぬぞ?」

 

余裕の笑みを浮かべる六道、一方で雷山は深く息を吸い込み

 

「”破道の八十九”『八峰降水汰咆(はっぽうこうすいたいほう)』」

 

と呟いた。すると空から大量の水が降ってきて雷山を直撃した。しかし次の瞬間には雷山を包んでいた炎は消えていた

 

「残念だが、俺の身体を燃やそうが凍らせようが無駄だぜ?」

 

「まさか自分ごと鬼道を当てて火を消すとはな…だがこれなら効くだろ?”六道行使”修羅道」

 

再び身体能力を一時的に上げ一気に距離を詰め雷山に攻撃する六道

 

「残念だがそれはもう効かない!」

 

六道の斬撃を避け反撃に転じる雷山。しかし六道はそれが当然であったかのように笑みを浮かべていた

 

「お前がよけるか受け止めるかなんて想定内の行動だ。六道行使”畜生道”」

 

六道は刀を地面に突き刺し叫んだ

 

「蘇れ!哀れな門番!!」

 

すると地面が盛り上がり次第に六道が先刻切り殺した朱洼門門番微錠丸の姿に形が整っていった

 

「お前は…!?」

 

微錠丸は雷山の背後の周り雷山を拘束した

 

「くそっ離せ!!」

 

微錠丸に雷山を捕まえさせている隙に微錠丸ごと雷山を切りつけた

 

「くっ…!」

 

六道に切られた衝撃で微錠丸は消えてしまった

 

「とうとう傷を負ってしまったな。雷山よ。六道行使”餓鬼道”」

 

そう六道が言ったとき雷山は身構えたが特に何も起きた様子が見受けられなかった

 

「…何をした?」

 

「何をしたかって?餓鬼道は他人の霊圧を奪う能力だと言えば分かるだろ?」

 

「なにっ!?」

 

その瞬間近くにいた数人が雷山の霊圧が徐々に下がっていることに気が付いた

 

「お前、俺の霊圧を…」

 

「ああ、修羅道は霊圧を多く使うからな。…よし、これだけ奪えばいいだろ」

 

「くそっ…六道のやつやってくれたな…!!」

 

霊力を奪われ息が上がりだす雷山

 

「お前も大したやつだな。本来この技を使うと相手はあまりの疲労に立っていることもできなくなるというのに…」

 

瞬歩で雷山の背後に回る六道

 

「お前が山本重國とほぼ同等の霊力を持っているという噂は本当だったようだな」

 

「っ!!」

 

振り返ろうとした雷山だったが

 

「ぐはっ!!」

 

雷山は一瞬反応が遅れた分六道の斬撃をまともに受けてしまった

 

「はぁ…はぁ…これで終わったと思うなよ…六道…!!」

 

「死にぞこないが何を言ってやがる」

 

その瞬間六道の目の端に一人の人影が映った

 

「お前は…確か雷山の副官の…」

 

「”卍解”『陽華幻想月(ようかげんそうが)』」

 

そこには卍解した椿咲の姿があった

 

「…今更卍解したところで、とっくに勝負は―――――」

 

その時六道は目の前にいたはずの雷山がいなくなっていることに気づいた

 

(雷山のやつどこに行きやがった…?いやこの場にはいるな…だが姿が見えん…どうなっている…?)

 

「おいお前。いったい何をした?」

 

「何もしてないよ。それよりさ、私の相手をしてよ」

 

その言葉を聞いた六道は椿先を馬鹿にするように続けた

 

「俺がお前の相手をするだと?やれやれ…お前程度じゃ俺には勝てんぞ?」

 

「やってみないと分かんないよ?」

 

その瞬間椿咲の姿が一瞬歪んだように見えた

 

(なんだ…今のは…?)

 

刀を構え何が起きても対処できるように臨戦態勢に入る六道

 

「う~ん…どうやらまだまだみたいだなぁ~」

 

「…何の話だ?」

 

「いやいやぁ。私が完成させようとしてる技の話だよ。まだ姿が歪むだけしかできないのか…」

 

「よく分からんが、俺の行く手を阻むなら―――――」

 

六道は椿咲の背後に回り斬りかかった

 

「迷わずに殺すだけだ」

 

さすがの椿咲も初代隊長の攻撃を避けることはできず体から鮮血が吹き出した

 

「そん…な…」

 

力なく倒れる椿咲

 

「言った通りお前では俺には勝て…なんだと!?」

 

六道は驚愕した。先ほど切り倒したはずの椿咲の姿がどこにもなかったからである

 

「何を驚いているの?」

 

驚いている六道を尻目に椿咲が六道の隣を歩いて行った

 

「さきほど切り倒したはずのお前がなぜ平然と立っている!?」

 

不敵な笑みを浮かべ椿咲は答えた

 

「さあ?なぜでしょうかね?」

 

「卍解の能力か…」

 

「そうだよ。私の卍解の能力は相手に幻覚を見せることが出来る。それが私よりはるかに強い人でもね」

 

「なるほど。それは実に厄介な能力だ」

 

「…疑問に思わなかったの?」

 

「何がだ?」

 

「なんで私がこんな簡単に自分の能力を言ったか不思議に思わなかったの?」

 

六道はしまったと思い後ろを振り向いた

 

「残念だけど、あなたはもう雷山隊長にはかつことができないよ」

 

「そう言うことだ!!」

 

その瞬間振り向いた六道の背後から雷山が現れた。六道は反応が遅れてしまい雷山の攻撃を避けるころができなかった

 

「ぐはっ!!」

 

六道に斬魄刀を突き刺す雷山。続けざまにこう叫んだ

 

「放電!!」

 

瞬間、雷山の斬魄刀から雷が放出された

 

「ぐわああぁぁ…!!」

 

六道は悲鳴を上げ後ろに数歩歩いたのちその場にひざま付いた

 

「ようやくひざまずいたな、六道…!!」

 

「くそっ…!!」

 

雷山を睨む満身創痍の六道。しかし雷山も万全の状態とは言えず、ふら付いていた

 

「お前に霊圧を奪われ、斬られたときはもうダメかと思ったよ。椿咲が咄嗟に機転を利かせてくれて助かった」

 

「それほどでもないですよぉ~」

 

「さて、お互いこの様だ。この戦いも決戦といくか」

 

「…そう…だな…」

 

六道は深呼吸をしゆっくりと立ち上がった

 

「やれやれ…この技は山本重國を殺すために取っておいたのにな…六道行使(りくどうこうし)人間道(にんげんどう)”」

 

その瞬間雷山は六道の霊圧がどんどん下がっていくのを感じた。普通の死神なら生命維持すらできないほどにまで

 

「先ほどまでの俺と思うなよ…雷山…!!」

 

六道の目に鋭い殺気が映る。その殺気に晒された椿咲は咄嗟に六道との距離を多めにとってしまった

 

「なかなかの殺気を出すじゃねぇか。殺気だけで椿咲をあそこまで距離を取らせたのはお前が初めてだ」

 

「…褒め言葉として受け取っておこうか」

 

次の瞬間雷山を含め周囲は驚愕した

 

「なっ!?」

 

六道が目にもとまらぬ速さで雷山の懐に近づき斬りつけていたのである

 

(こいつ…なんて速さだ…!!見えなかったぞ…!!)

 

反射的に六道から距離を取る雷山

 

「どうだ?俺の切り札”人間道”だ。この技は俺の霊圧を極端に消費する代わりに斬拳走鬼すべてを限界以上に向上させる技だ。しかしいいデータが取れたよ。お前をここまで圧倒できるなら山本重國も苦労することなく倒せるだろうな」

 

「…なるほど。確かにこれなら山本に戦いを挑むのも無謀なことではないな。それにしても斬拳走鬼すべてを限界以上に向上させる技…か。ハハハ…!!楽しくなってきたじゃねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

 




破道の八十九”八峰降水汰咆(はっぽうこうすいたいほう)
効果:空から大量の水を降らす。使用者の加減により雨程度から滝ほどにまで水量を変えることも出来る

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