未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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椿咲南美誘拐篇
第一話


東流魂街に大虚の反応がありと報告を受けすぐ急行した雷山と椿咲だったが・・・

 

「おかしいな…ここらのはずだが…」

 

不思議気に辺りを見回す雷山

 

「虚の霊圧感じませんね。いた痕跡もありませんし…」

 

座り込み休憩する椿咲

 

雷山と椿咲は虚が出現したという場所に到着したのだが、虚の霊圧はおろか虚がいた痕跡すらないという事態に遭遇していた

 

「誤報か…?いや、そんな訳はないはずだが…」

 

「まあいいじゃないですか。仕事サボれますよ?」

 

椿咲に目を向けるといつの間にか花を摘み始め花の冠を作り始めていた

 

「…お前みたいな思考になれたらどれだけ楽か…」

 

顔に手を当て呆れたように首を振る雷山

 

「とにかくさっさと帰るぞ。いつまでもここに居ても意味はないしな」

 

「えー、もう帰るんですか?もう少しゆっくりしていきましょうよ」

 

椿咲が不満をこぼしたが雷山は聞く耳を持たず歩き始めた

 

「もぉ~待って下さいよ。隊長!」

 

椿咲も雷山の後を追って去って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿を木の上から見つめる男が二人・・・

 

「…どう?行けそうかい?」

 

雷山と椿咲が去って行ったのを確認してから男が話し始めた

 

「ああ、思っていたより霊圧が高かったが、まあ想定の範囲内だな」

 

「…いつ動く?」

 

「今日にでも動くか…」

 

「そうかいそうかい、じゃあ僕は椿咲ちゃんを迎えに行ってくるよ」

 

そう言い二人は木の上から降りた

 

「ああ、頼む。誰にも見つかるんじゃないぞ?」

 

「分かってるよ。そっちも準備をよろしくね」

 

片方の男は瀞霊廷に向かい、もう一方の男は瀞霊廷とは反対の方向へと消えて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東流魂街より瀞霊廷に帰還した雷山と椿咲

 

「あら、雷山さんと南美ちゃん。どうされたんですか?」

 

一番隊舎に向かって歩いていると途中で銀華零に会った

 

「東流魂街に大虚の反応があるから行ってくれと言われたんだが、大虚の霊圧どころかいた形跡もなくてな」

 

「それはおかしな話ですね」

 

「ああ、だからこれから山本の所に行くところだったんだ」

 

「そうなんですか。それは、お引き留めをしてすいません。それでは、私はこれで」

 

ニコッと微笑むと銀華零は歩き出した。しかし数歩歩いたところで何かを思い出したように再び雷山を呼び止めた

 

「あっ!そういえば、春麗ちゃんがとても怒っていたのですけど雷山さんまた何かをしたんですか?」

 

「なんだ、あいつまだ怒ってるのか」

 

「いえいえ、その事ではありませんよ?私も詳しく聞いたわけではないんですがなんでも…

 

『雷山君にまたバカって言われたーー!!』

 

と言っていましたよ?あれ、でも雷山さんは今瀞霊廷に帰って来たばかりなんですよね?」

 

「ああ、そうなんだが…ん~、今日2回も言った記憶がないんだがなぁ…」

 

狐蝶寺にそんなことを言った記憶がない雷山は腕を組み首をかしげて考えていた

 

「とにかく一度春麗ちゃんの所に行ってみたらどうですか?たぶん隊舎に居るはずですし、山本さんの後で行ってみてはどうですか?」

 

「ああそうだな、行ってみるよ」

 

「それでは、私はこれで。南美ちゃんまた隊舎へいらしてくださいね」

 

そういうと銀華零は去っていった

 

「…椿咲、お前三番隊舎に行ったことなんてあったか?」

 

「いえ、行ったことないんですけど…誰かと勘違いしているのですかね」

 

「うむ……まあいい、俺は山本と春麗の所に行くからお前は先に隊舎に戻っててくれ」

 

「了解しました!」

 

こうして雷山は一番隊舎に、椿咲は五番隊舎にそれぞれ向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

~瀞霊廷・一番隊隊舎内~

 

「おい山本、居るか?」

 

一番隊執務室の前に立ち、総隊長・山本元流斎重國に呼びかける雷山

 

その呼びかけに答えるように中から声が聞こえてきた

 

「なんじゃ、雷山」

 

その声が聞こえたと同時に隊首室に入る雷山

 

「いや、大した用じゃないんだが」

 

「…?まあ良い、申してみよ」

 

「ああ、東流魂街に大虚の反応があると俺に報告が来てな。それで実際に行って確認してきたんだが大虚がいた痕跡すらなくってな、それでお前の所に何か報告が来てるかと思ってだな…」

 

その話を聞き終えた元流斎は不思議そうな顔をした

 

「いったいおぬしは何を申しておるんじゃ?大虚の報告など儂の所には来ておらぬぞ」

 

「おいおい、マジかよ」

 

元流斎は自身の所には大虚の報告は来ていないとはっきり言った、雷山は元流斎が嘘をつくとは到底思えないので報告が来てないのは本当の事だと思った

 

「おぬしはその報告を誰から聞いたのじゃ?」

 

実松(みまつ)からだが?」

 

「うむ…分からぬが、とにかく儂の所には報告は来てないとだけ言っておこう」

 

「そうか。とりあえずそんなことがあったと報告しておくよ」

 

 

 

 

元流斎に今回の不可思議なことを報告した雷山は狐蝶寺に会うために十三番隊舎に向かい始めた

 

歩きながら雷山は今回の事を考えていた

 

(いったいどうなってるんだ…?あることないことがあふれてやがるな…)

 

そう考えているといつの間にか十三番隊舎に着いていた

 

「さて、行くか」

 

隊舎内を歩いていると十三番隊副隊長・山吹雷花(やまぶきらいか)と会った

 

「あれ、雷山隊長?どうされたんですか?」

 

「ああ、春麗に会いに来たんだが…」

 

「狐蝶寺隊長なら今中庭にいますよ」

 

「すまんな」

 

山吹に言われた通り中庭へ行くと春麗が花を植えている姿が目に入った

 

「ふんっふんっ ふんっ 」

 

狐蝶寺はえらくご機嫌で鼻歌まで歌っていた、その姿に

 

(白が言っていたのと全く違うんだが…)

 

と思う雷山であった。

 

「よ、よお。春麗」

 

雷山の声に気づき振り返る狐蝶寺、その顔は怒りに満ちているどころか

 

「あれ、雷山君?どうしたの?」

 

雷山がここに居ることが解せぬという顔をしていた

 

「いや、白がお前が怒ってると言ってたから様子を見に来たんだが…」

 

「…ちょっと前に雷山君が私にバカって言ったことでしょ?もう怒ってないよ?あれは私も調子に乗りすぎたしね」

 

雷山はその言葉に違和感を覚えた

 

「ああ、あれは俺も言い過ぎた。…なあ春麗一つ聞いていいか?」

 

「ん、なに?」

 

「お前、今日白に会ったか?」

 

その問いに春麗から衝撃の答えが返ってきた

 

「今日はまだ会ってないよ。仕事が終わったら会う約束はしてるけどね」

 

(どういうことだ…?白は春麗から詳しくはないにしろ事情を聞いている…しかし春麗は今日はまだ会っていないと言っている…どうなってやがる…)

 

「雷山くーん?聞いてるー?」

 

「あ、ああ。すまん、聞いてなかった」

 

「もーっ、雷山君も一緒に来るって聞いたんだよ」

 

「…すまんな春麗。今日はやることが多くてな、行けそうにない。またの機会にしてくれ」

 

「そう、じゃあまた今度ね」

 

そう言って狐蝶寺と別れた雷山は少し速足で隊舎に向かって歩き始めた。

 

 

その頃五番隊舎では椿咲の身に不可解なことが起きていた

 

「隊長いない間何しようかな。うん、隊長にどんな悪戯を仕掛けるかを考えよう!」

そう言いつつ執務室の襖を勢いよく開ける椿咲

 

「さてと…えっ?」

 

椿咲は絶句した。目の前には今十三番隊舎にいるはずの雷山悟が立っていたからである

 

「た、たた、隊長…!?なんでいるんですか…?」

 

 

 

困惑する椿咲がそう言うと雷山はニタァと笑ったのだった

 

 

 

 

 


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