未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第十話(第十五話)

十一番隊隊長・大澄夜剣八と十一番隊副隊長・旭屋順は未だ初代十三隊の誰とも会わず瀞霊廷内を歩いて移動していた

 

「辺りで戦いが始まってるみたいだな」

 

「そうですね…、こちらが優勢と見るべきでしょうか」

 

「…いや、まだそれは判断するべきでな―――――」

 

その時大澄夜は旭屋を制した。それと同時に旭屋も何かの気配を感じ取った

 

「…隊長」

 

「ああ、どうやらお出ましのようだ」

 

警戒する大澄夜と旭屋の前に初代二番隊隊長・四楓院昼一が歩いてきた

 

「……」

 

昼一は目の前にいる大澄夜達に気付きはしたもののなんの反応も見せずそのまま歩いていこうとした

 

「おいおい、俺たちを無視するなよ」

 

大澄夜は昼一の肩を掴み無理に引き止めた

 

「……」

 

チラッと大澄夜の方を見た昼一は一切その気配を悟らせず大澄夜に斬りかかった

 

「うおっと!」

 

不意を突かれた大澄夜だったが、その攻撃をかわした

 

「さすがは最強と謳われる初代十三隊隊長…攻撃する気配が全く感じられなかった。だが、剣速が遥かに遅い。あれでは俺を倒すことはできない」

 

大澄夜は先刻の攻撃を評価したその時初めて昼一の声を聞いた

 

「…今のが本気だと思ったのか?」

 

「何―――――っ!?」

 

大澄夜はその時驚いた。先ほどの倍以上の側で昼一が迫っていたからである

 

(バカな…こいつ先ほどとは明らかに動きが…!!)

 

「だから言っただろ。今のが本気だと思ったのかとな!!」

 

昼一はそのまま大澄夜を斬りつけた

 

「…なんだと?」

 

大澄夜は斬られながらも昼一の剣を受け止めていた

 

「剣八の名をなめるなよ…!!」

 

「剣八だと…?くっ…!!」

 

昼一はこのままでは斬られると判断し斬魄刀を手放し大澄夜と距離をとった

 

「…冷静な判断だな。”()()れ”『突鎌(とがま)』」

 

始解した大澄夜の斬魄刀は大鎌になった

 

「なるほど。お前が現在の十一番隊隊長か。確か名は大澄夜剣八だったかな」

 

「よく知っているじゃないか。そういうあんたは誰なんだ?」

 

「…いいだろう。私は四楓院昼一(しほういんちゅうい)、初代二番隊隊長にして四楓院家の創設者だ!!」

 

その瞬間昼一は瞬閧を発動させた

 

「なんだ…その技は…!?」

 

「貴様が知る必要はない!!」

 

その瞬間大澄夜の視界から昼一の姿が消えた

 

「消え―――」

 

大澄夜が言いきらぬうちに昼一の拳が飛んできた

 

「ぐわっ!!」

 

大澄夜は何度も地面にぶつかりながら吹っ飛んでいった

 

「くそっ!!お前よくも隊長を!!”()することもできず、永遠(えいえん)(なが)らえよ”『鐚刀(びとう)』!!」

 

始解して昼一に攻撃を仕掛ける旭屋だが昼一はその攻撃を躱し旭屋も殴りつけた

 

「がはっ!!」

 

「貴様らなど私にとっては取るに足らぬ相手よ。さあ、立て。どうした?今の十一番隊隊長大澄夜剣八とはこれほど弱き者なのか」

 

「っは…!!誰が弱き者だって…?」

 

ふら付きながらも立ち上がる大澄夜

 

「たかが数分の手合わせで俺のことを知ったような口ぶりをするなよ…四楓院昼一!!」

 

今度は昼一の視界から大澄夜の姿が消えた

 

「…なるほど。どうやら私は貴様の実力を見誤っていたようだ。瞬閧などという遊びではなく私の斬魄刀で相手をしてやろう」

 

昼一は背後に瞬歩で現れた大澄夜の斬撃を受け止め呟いた

 

「”()しめ”『毒芹(どくぜり)』」

 

大澄夜は態勢を整えるために一時的に昼一と距離をとった

 

(今、奴は確実に始解をしたはずだ…しかし奴の斬魄刀も周りの景色も変わった様子がない…一体どのような能力だ…)

 

「そんなに身構えなくても良い。私の斬魄刀は空気中から刃が飛び出したりするなどの不意打ちのような能力ではない。まあ、説明するより見せた方が早いか」

 

その瞬間何の前触れもなく昼一が2人に分身した

 

「分身しただと…?幻覚…ではないな」

 

「ああそうだ。これは私の幻覚ではなく私自身だ。私の持つ斬魄刀『毒芹』の能力は私を分身させることができるというものだ。そして分身したとしても霊力は分割されずそれぞれが元々の霊力を持っている」

 

昼一の説明を聞き大澄夜は冷や汗を流し始めた

 

「なるほど…。初代隠密機動総司令官は何人もの影武者がいたと聞いたことがあるが、それは奴が斬魄刀の能力で分身していたというわけだったのか」

 

「私に影武者がいただと?笑わせるな、四楓院昼一は過去にも未来にも現在にも私一人しか存在しない。まあ、名が受け継がれているなら同名の者がいるということにはなるがな」

 

そう言った瞬間昼一は自身の姿を4人に分身させた

 

「さあ行くぞ!大澄夜剣八!!」

 

分身した4人の昼一が大澄夜にそれぞれ攻撃を仕掛け始めた

 

(どういうことだ…どいつも攻撃が単調だ…これでは攻撃を当ててくれと言っているようなものだぞ…)

 

不思議に思いつつ昼一を一人斬り捨てる大澄夜

 

「残念、外れだ」

 

「なんだと?……っ!!」

 

突然肩に傷が出来体勢が崩れる大澄夜

 

「なんだこれは…!?」

 

「いくら私自身だろうと所詮分身は分身だ。本体以外を斬れば貴様にダメージが入り本体である私を斬れば私にダメージが入る。そういうことだ」

 

「なるほど…つまりこちらが倒れる前にお前た全員を叩き斬ればいいということだな」

 

再び4人に分身する昼一

 

「果たして出来るかな?」

 

「おら!!」

 

再び大澄夜に攻撃を仕掛けようとした昼一の前に旭屋が割り込んできた

 

「ちっ…」

 

ギリギリで旭屋の剣を躱す昼一

 

「…副隊長が私の瞬閧を受け気を失わぬとはな。思ったよりやりおる…」

 

「なめるんじゃねぇよ。俺は十一番隊副隊長だぞ。あの程度の攻撃なんともないわ!!」

 

瞬歩で昼一の背後をとる旭屋

 

「なるほど。確かにお前をなめていたようだ。お前は強い、だが…」

 

昼一は旭屋の攻撃を躱し逆に旭屋の背後をとり斬りつけた

 

「あくまで副隊長の中ではの話だがな」

 

「くそ…」

 

その場に倒れる旭屋

 

「さて、続きをするか。大澄夜剣―――がっ!!」

 

その瞬間昼一の腹部に激痛が走る

 

(何が起こった…これは、血…だと…!?)

 

何とか背後を見る昼一は目を疑った。ついさっき斬り倒したはずの旭屋が無傷の状態で自身に刃を立てていたのである

 

「…初代十三隊隊長はどいつもこいつも強い、雷山隊長や銀華零隊長がいい証拠だ。だが、いくら強かろうと油断していればこれくらいの傷は負わせることができる…いや、お前が特別油断しすぎていただけかな。四楓院昼一(ちゅうい)

 

「ぐっ…」

 

昼一は無理やり身体を捻り腹に刺さっている斬魄刀を引き抜いた。そしてそのままの要領で旭屋を蹴り飛ばした

 

「はぁ…はぁ…、いったいどうなっているんだ…」

 

傷口を抑えながら昼一が呟いた

 

「簡単な話だ」

 

蹴り飛ばされ壁に激突した旭屋だったが平然と昼一の前まで歩いてきた

 

「俺の斬魄刀を使っている、ただそれだけの話だ。ついでに言っておくがお前じゃ俺を殺すことはできない」

 

「貴様…」

 

旭屋を睨む昼一

 

「さて、そろそろ大澄夜隊長と交代しますか…時間稼ぎも出来ましたし」

 

そう言い終えると旭屋は瞬歩で消えた。そして昼一はその時自身が嵌められていたことに気づいた

 

(そうか…!こやつが私に向かってきた理由は――――)

 

振り返った昼一はどこか楽しそうだが悔しげに呟いた

 

「くそったれ…!!」

 

「”卍解”『血鋭大尖鎌(けつえいおおとがま)』」

 

卍解した大澄夜の斬魄刀は依然大鎌の状態だった

 

「卍解か…しかし今更したところで私の優勢は―――」

 

ザシュッ!!

 

「――――――っ!?」

 

その時昼一は驚愕した。自身は大澄夜に対する警戒を怠っていないにもかかわらずいつ大澄夜が自身の隣にいた分身を斬り倒したか見えなかったからである

 

(バカな…こやついつの間に私の分身を…いや、それよりもこやつの動きが見えなかっただと!?)

 

「ちっ…こいつも外れか。さて、さっさと次のやつを斬り殺すか」

 

そう言い振り向いた大澄夜の目を見た昼一は戦慄を覚えた

 

(こやつ、なんという殺気だ…。これほどの殺気を持つものなど初めて見る…)

 

そう思った昼一はある覚悟をした

 

「やれやれだ。…まさか使うことになるとはな”卍解”『大致死毒芹群(だいちしどくぜりぐん)』」

 

その瞬間昼一の分身が本体を含め10人になった

 

「大澄夜剣八、ここからは根競べだ!貴様の剣が私に届くか私の能力の前に貴様が倒れるか…勝負は最後まで立っていた者の勝ちだ!!」

 

10人の昼一が大澄夜に襲い掛かる――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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