未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第八話(第十三話)

「”大閃光(だいせんこう)”!!」

 

如月の刀から眩い光が放たれた。それは目を瞑り手で覆っていた六道にも届くほどのものだった

 

「ぐわああぁぁ…!!」

 

目を抑え悶絶する六道

 

「さあ、今度はこちらの番だ。六道死生(りくどうしせい)!!」

 

「……!!」

 

(くそっ、油断した…!!まさかここまでやるとは…)

 

しかしそこで六道はあることに気づく

 

(如月という隊長といた副隊長の霊圧が感じられん…)

 

六道がそのことに気づいた瞬間背後から声が聞こえた

 

「”(ひび)け”『木管琴(もっかんきん)』!!」

 

「っ!?しまった…!!」

 

六道の背後には九番隊副隊長の音羽音色(おとわねいろ)がいた。六道には見えてないが、始解した音羽の斬魄刀は琴の形に変わった

 

「”絶体怨感(ぜったいおんかん)”!!」

 

音羽はそう言い琴の弦を勢いよく弾いた。その瞬間不協和音がその場に響いた。その不協和音の影響で六道は吐血した

 

「かはっ!!」

 

(まさかこれほどとは…!!だが、決して耐えられぬものではない…それにかすかだが目が見えるようになった)

 

「よくもやってくれたな!!これで勝負が決まったと思うなよ!?」

 

目を開いた時六道の目の前まで如月の剣が迫っていた

 

「ちっ!!」

 

如月の剣を間一髪で避けた六道

 

「なるほど…先ほどの音は俺からこいつの意識を外させるための囮か…」

 

如月の斬撃を避けた六道だったがすぐ後ろに音羽の追撃が迫っていた

 

「ふっ…見えてないと思ったか?六道行使(りくどうこうし)畜生道(ちくしょうどう)”!」

 

その瞬間六道は如月の斬撃を避けた体勢のまま斬魄刀を自身の背後に突き刺した。すると突如地面が盛り上がり先刻斬り殺した朱洼門(しゅわいもん)門番微錠丸(びじょうまる)の姿に変わった

 

「ぐはっ!?くそ…またオレァをこんな目に…」

 

そのまま音羽の攻撃を受けた微錠丸は霧散して消えてしまった

 

「ははっ…はははっ…!はっはっはっはっは!!」

 

その様子を見た六道は不意に高笑いをし始めた

 

「ますます俺のコレクションに加えたくなったよ。九番隊隊長の如月陽水!!そして、副隊長の音羽音色!!」

 

「あたしはそのコレクションになるつもりはないんだけど」

 

「そちらがなくとも俺には関係ない。正直言うとな、俺たちだけじゃ雷山と山本の二人を倒すには少々戦力が足りないと思っていてな。こちらが使える駒はいくつあっても足りないくらいなんだ」

 

斬魄刀を構え攻撃態勢に入る六道

 

「だからこそお前ら現在の護廷十三隊に俺の駒になってもらう必要があるんだよ。六道行使”修羅道”!!」

 

移動する瞬間地面を思いっきり蹴り速度を上げ猛スピードで如月と音羽の二人に向かっていく六道

 

「速い…!!”破道の三十一”『赤火砲』!!」

 

「そんなもの食らうわけないだろ!!」

 

音羽は六道に向け鬼道を放ったが六道はそれを斬魄刀で斬り相殺した。そしてそのままのスピードで音羽の懐に入った六道

 

「六道行使”天道(てんどう)”」

 

斬魄刀を一瞬で峰内側に持ち替え音羽を斬りつけると見せかけた六道

 

「そん…な…」

 

斬られたと錯覚し意識を失う音羽

 

「音羽副隊長!!」

 

すぐさま六道に斬りかかる如月だったが六道は簡単に躱した

 

「何をした…?」

 

「何もしてないさ。ただ、斬られたと錯覚させ意識を奪っただけのこと」

 

「…仕方がない”卍解”『暗灯不青天(あんどんふせいてん)』」

 

卍解した如月は切先を六道に向けた

 

「これでおぬしも終わりだ。六道死生!!”光弾砲(こうだんほう)”!!」

 

あたり一面が閃光に包まれた

 

 

 

*  *  *

 

 

 

十三番隊舎から北東へ5㎞地点では猫間若亜(ねこまにゃあ)と十三番隊隊長狐蝶寺春麗(こちょうじしゅんれい)と同隊副隊長の山吹雷花(やまぶきらいか)が相対していた

 

「久しぶりだね、狐蝶寺隊長。隣にいるのは副隊長さんかな?」

 

「猫ちゃん久しぶり!!何年ぶりだろうね!」

 

「やれやれ…相変わらず君は人の話を聞こうとしないね」

 

「それで猫ちゃんたちは何しに来たの?」

 

「君らを殺すためだよ。ああ、そうだ。そこの副隊長君」

 

斬魄刀を構えたまま微動だにせず警戒する山吹

 

「そんなに警戒しなくてもいいのに…まあいいや、君は攻撃対象に入ってないからそこで大人しくしててね。僕の邪魔をしたら……分かるよね?」

 

「そんなことを言われて「はいそうですか」と言うわけがないでしょう。”炎天渦巻(えんてんうずま)け”『炎風(えんぷう)』!」

 

山吹が始解したと同時に日差しが強くなり炎天下になった

 

「やれやれ…言うことを聞いてくれたら楽なんだけどなぁ…」

 

「山吹ちゃんもう戦うつもりなの!?」

 

「当たり前です!!敵を目の前にして戦わない護廷十三隊がどこにいるんですか!!」

 

「ここにいるじゃない」

 

「隊長いい加減にしてください!!」

 

そんな狐蝶寺と山吹の会話を見ながら

 

(うわぁ…絶対狐蝶寺隊長の相手大変だっただろうなぁ…)

 

と敵ながら山吹の苦労を労っていた

 

「もういいです。私が方を付けてきますから」

 

「ふにゃ?」

 

猫間が気付くと山吹はすぐ目の前まで迫っていた

 

「ふむふむ、君の瞬歩なかなか早いね」

 

山吹が目の前まで迫ってきていてもなお猫間は冷静にそう感嘆の言葉を口にした

 

「それはどうも!!」

 

山吹は渾身の一撃を猫間に与えたが猫間はそれを何事もなかったように受け止めていた

 

「……もう一度だけ忠告しておくよ。大人しくしていてくれないかな?」

 

「なんども言わせないでください。貴方は私たち護廷十三隊の敵です。そのような者を放って置くことはできません」

 

「はぁ…仕方がないかにゃ"()わせろ"『木天蓼(またたび)』」

 

始解した猫間の斬魄刀は木天蓼の枝を模した形になった

 

(これが史上最強と謳われる初代十三隊隊長の始解……注意しなければ…!)

 

灼熱旋風(しゃくねつせんぷう)!!」

 

炎天下と相まって猛烈な烈風となった風が猫間と覆いこんだ

 

「ぐぬぬ…思ったより熱いな。だけど、どこを狙っているんだい?」

 

「っ!?バカな…」

 

猫間は旋風が吹いているすぐ横で平然とした様子で山吹を見ていた

 

「そんな…確かに灼熱旋風が当たったはずなのに…」

 

「君の感覚では当たったように見えただろ?だけど、それはあくまで君の感覚ではの話だよ」

 

「なっ!?」

 

「僕の斬魄刀の名前は木天蓼って言うんだ。猫が好きなあれだね。そしてその能力は”対象を正常に動けなくすること”」

 

「対象を正常に動けなくすること…?そんな能力があるわけが…!」

 

再度猫間に斬りかかる山吹だがその攻撃も猫間には届かなかった

 

「頭で考えてどうこうできる代物じゃないんだよねぇ。これで最後だよ。君は大人しくしていてくれないかな?」

 

「そ、そんな…」

 

山吹はその場にへたりこんでしまった

 

「さて、これで君と思う存分戦えそうだよ。狐蝶寺隊長」

 

「もぉ~。山吹ちゃんはせっかちなんだから…それで猫ちゃん何か言った?」

 

「君は本当に人の話を聞かないね。もういいや。さっさと終わらせよ…ん?」

 

猫間は狐蝶寺の斬魄刀が巨大な扇に代わっているのに気付いた

 

「っ!!しまった…!!」

 

「”風化”!!」

 

その瞬間猫間の足元が崩れバランスを崩した。それと同時に狐蝶寺は斬魄刀を開放する前の状態に戻して猫間との距離を一気に詰めた

 

「よいしょー!!」

 

そんな掛け声とともに猫間に斬りかかる狐蝶寺

 

「あぶなっ…!!」

 

猫間は間一髪で狐蝶寺の斬撃を受け止めた

 

「ぐっぬぬ…!」

 

段々と狐蝶寺に押され始める猫間

 

「相変わらず力は強いねぇ…」

 

「しょうがないじゃない。雷山君がいつも斬術の相手に私を選んでくるんだもん」

 

「確かにそれなら否が応にも強くなるわけだね。だけど僕もいつまでもこの状態でいるわけにはいかないんだよ。破道の七十八”斬華輪(ざんげりん)”!」

 

斬魄刀と手をすり合わせ霊圧の斬撃を飛ばした猫間

 

「うおっと~!」

 

しかし狐蝶寺は至近距離で飛ばされた斬撃をいとも簡単に避けた

 

「まさか、あんな至近距離で放たれた鬼道をいとも簡単避けるなんてね…」

 

「私は猫ちゃんが亡くなった後も隊長として経験を積んでいるからね!これくらい余裕余裕」

 

「なるほど、経験ねぇ…だけどその経験とやらも通じない時があるみたいだね」

 

「え?」

 

「気が付かないかった?僕は君が床を風化させた時からこれを張り巡らせてたんだよ。破道の十二”伏火(ふしび)”」

 

そう猫間が言ったと同時にクモの巣状に張り巡らせられた霊圧の糸のようなものが現れ始めた。その糸のようなものは狐蝶寺の身体にまとわりつき自由を奪っていた

 

「ありゃりゃ。捕まっちゃった」

 

「よし、とりあえず一段落ついたかな。このまま六道が来るまで大人しくしててもらうよ。狐蝶寺隊長」

 

 

 

 

 

 

 


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