未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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第六話(第十一話)

如月(きさらぎ)大閃光(たいせんこう)が炸裂したその頃――――――――――――――

 

(ん?あの光はたしか如月の…)

 

「何をよそ見している、雷山!!」

 

そう言う蜂乃背だが自身の攻撃を雷山に当てることが出来ずにいた

 

「蜂乃背、お前じゃ俺には勝てないぜ?いい加減あきらめろよ!!」

 

雷山が斬魄刀で蜂乃背を吹っ飛ばした

 

「うおっと!さすがにお前相手だときついな、雷山!」

 

「だからさっさとあきらめろよ。今おとなしく帰るんなら見逃してやる」

 

「はっ!やだね!おまえを倒すまでは死んでも逃げない!!」

 

「まったく、お前は昔からそうだ。自分勝手で負けず嫌い…」

 

そういいながら雷山は斬魄刀を前に突き出した

 

「かつての戦友(とも)をこの手で殺すのはさすがに嫌なんだがな。”雷光光りて雷鳴鳴らせ”『雷斬』」

 

始解した雷山の斬魄刀は刀身が稲妻状に折れた刀になった

 

「ようやく始解したか。力の差が少し開いたが、俺にはまだ奥の手ってのはある!」

 

雷山は椿咲に小声で話しかけた

 

「椿咲、お前は今のうちに卍解しておけ」

 

「了解しました!」

 

そう言うと椿咲は後方へ飛び蜂乃背とさらに距離をとった

 

「”卍解”『陽華幻想月(ようかげんそうが)』!!」

 

その瞬間夜だった空に再び日が差し始めた

 

「なに、副隊長が卍解をするだと…!?」

 

「そういやお前が生きていた時に卍解を使った副隊長はいなかったな」

 

「クソッ副隊長の方ならすぐと思っていたがそうも言ってられないな」

 

「言っとくが、椿咲を嘗めるなよ?こいつは俺の初の弟子であり、未来の五番隊隊長だ!!」

 

その瞬間蜂乃背の背後に椿咲が現れた

 

「なっ!?」

 

一瞬反応が遅れた蜂乃背だったがギリギリで椿咲の剣を躱した

 

「あぶないあぶない…それにしてもどうやって俺に気づかれず俺の背後に回ったんだ……?」

 

蜂乃背は不思議でならなかった。雷山だけならいざ知らず椿咲が自身の背後に回り込めるとは到底思えないからである

 

「とりあえず一つずつ試していくか…斬雨(きりさめ)!!」

 

蜂乃背が刀を振ると刃状の水が椿咲に向け飛んで行ったが

 

「へへっ。残念でしたー!!」

 

その斬撃は椿咲に当たることなく椿咲の身体をすり抜けた

 

「すり抜けただと!?相手の攻撃をすり抜ける能力なのか…?」

 

蜂乃背がそう呟いたとき突然蜂乃背の肩から血が噴き出した

 

「しまった…!」

 

椿咲に気を向けすぎた一瞬の隙を雷山は見逃さなかった

 

「椿咲に気を取られすぎたな、隙だらけだったぞ」

 

「……まったく仕方がないな。起死回生の一手となればいいんだけどな。卍解…」

 

その瞬間蜂乃背が水の壁に囲まれ姿が見えなくなった

 

「”卍解”『斬流水内連塊(ざんりゅうすいうちれんかい)』!!」

 

卍解した蜂乃背の斬魄刀は刃の周りを水が高速で回転している状態となった

 

「蜂乃背の卍解か。久々に見たな」

 

「隊長!なんですかあれ!?」

 

「蜂乃背が持っていたかつて流水系最強と謳われた斬魄刀、水内の卍解だ。原理は刃の周りを水が高速で回転していて斬撃の威力はさっきあいつが放った技[斬雨]の何倍にもなるそうだ」

 

「そういことだ!五番隊副隊長!!」

 

蜂乃背は椿咲に向かって再び斬撃を飛ばした

 

「蜂乃背さん!あなたがいくら卍解をしようとも、あなたの攻撃は私には届きません!!」

 

「冷静に考えてみてお前の卍解の能力が大方予想がつき始めててな。今最後の確認をするところだ」

 

その瞬間蜂乃背は斬魄刀を振り上げた

 

「”鎗時雨(やりしぐれ)”!!」

 

「この技はたしか……まずい!!」

 

雷山がそう呟いたとほぼ同時に空から無数の雨が降り始めた。

 

「……雨?」

 

「椿咲!!今すぐ雨の降っている場所から出ろ!!」

 

「え?」

 

椿咲がそう言った瞬間椿咲の死覇装が破れ始めた

 

「え!?何ですかこれ!?」

 

慌てて雨の降っている場所から出る雷山と椿咲

 

「なるほどな、相手の攻撃をすり抜ける能力だと思ったがもう一つの方だったか」

 

「……椿咲、一か八かの賭けをする」

 

「何をするんですか?」

 

「ああ、よく聞けよ…」

 

雷山は椿咲に耳打ちをした

 

「なるほど。しかしそれじゃあ隊長が…」

 

「俺のことは気にしなくていい。今はあいつを倒すのが先決だ」

 

「……了解しました」

 

「ではいくぞ。縛道の五十六”雷鳴光(らいめいこう)”」

 

すると雷山のいた場所に雷が降り注いだ

 

「目暗ましのつもりか。だが、甘いな」

 

椿咲の目の前に蜂乃背が瞬歩で現れた

 

「椿咲南美!厄介なその卍解ごと……消えてなくなれ!!」

 

「かはっ…!!」

 

蜂乃背に斬られ後ろに倒れる椿咲

 

「ちっ、浅かったか…!」

 

なおも追撃を加えようとする蜂乃背

 

「させねぇよ!!」

 

ガンッ

 

雷山が椿咲を庇って蜂乃背の斬撃を受けた

 

「てめぇ…やりやがったな…!!」

 

「おいおい、これは戦争だぜ?それに初めに言ったろう。”副隊長以下は殺害の予定には入ってないが、邪魔するようなら殺害の対象に入れることになる”ってな!!」

 

「ぐわぁ!!」

 

弾き飛ばされる雷山

 

「この副隊長が斬られたことでお前に動揺ができたな。……昔のお前なら、こうも容易くはいかなかったんだろうな。五番隊副隊長椿咲南美、お前の卍解は大したものだった。手合わせができたことには感謝しよう、さらばだ」

 

椿咲に斬魄刀を突き立てようとしたそのときだった

 

「!?」

 

蜂乃背の身体が椿咲の斬魄刀に貫かれた

 

「ぐはっ!!」

 

椿咲はニヤッと笑い呟いた

 

「放電…」

 

その瞬間蜂乃背の身体に電気が流れた

 

「ぐわああぁぁぁ!!!!」

 

椿咲が斬魄刀を蜂乃背の身体から引き抜くと蜂乃背は斬魄刀を地面に突き刺し何とか倒れるのだけは耐えていた

 

「はあはあ…バ、バカな…お前はすでに瀕死のはず…!」

 

「私がですか?はて、あなたには私が瀕死に見えるのですか?」

 

「なんだと…!?」

 

「ふふふっ、残念ですね蜂乃背さん。私が椿咲南美に見えていましたか?」

 

そういうと同時に蜂乃背の目の前にいた椿咲の姿がノイズが走ったように歪み次第に雷山に変わったいった

 

「雷山!?お前…いったいどうなって…!?」

 

目の前の椿咲が雷山に変わったことや雷山の攻撃を受けたことで蜂乃背には明らかな動揺ができていた

 

「お前、椿咲の卍解の能力が分かったんだろ?なら、言わなくてもだいたい想像がつくだろ」

 

「俺に姿を誤認させたのか…!しかしいつ姿を入れ替えた。まさか初めから…!?」

 

「残念だがそれは違う。ほら、お前の視界から俺と椿咲が消えた瞬間があっただろう?」

 

「……!!雷鳴光を放ったときか…!」

 

「大正解。まあ、これは一か八かの賭けだったんだがな。もしこの作戦が失敗してたなら俺が卍解して戦うつもりだったんだ」

 

「成功してよかったですね、隊長」

 

蜂乃背に吹っ飛ばされた椿咲が歩いてきた

 

「さて、蜂乃背。お前とお別れの時間だ」

 

「はぁ…結局お前には一度も勝てずじまいだったな」

 

立ち膝状態だったが座り両手を上げ降参の意思を見せる蜂乃背

 

「…春麗に何か言いたいことがあれば伝えとくが?」

 

「お前なぜそれを…!?」

 

「お前が春麗に好意を抱いていたなんてバレバレだ」

 

「ってことはまさか…」

 

「安心しな。春麗は鈍感だからな、お前が春麗に好意を抱いていたことなんか気づいてないはずだ」

 

 

安心したように息をつく蜂乃背

 

「今更何を言っても遅いからな、狐蝶寺には何も伝えないでおく」

 

「……そうか」

 

そう言い雷山は斬魄刀を蜂乃背の喉元に突き立てた

 

「じゃあな、蜂乃背」

 

そしてそのまま喉を斬魄刀で貫いた

 

貫かれた勢いで後ろへ倒れる蜂乃背

 

戦友(とも)よ安らかに眠れ」

 

 

 

 

 

 

 

 


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