新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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50、第3新東京市さん、静止した闇の中にIN

陽炎が揺らめくアスファルト、緑の葉を繁らせる街路樹、やかましく鳴き続けるミンミンゼミ…。

前の戦いから幾日かが過ぎ、エヴァパイロットの三人はNERV本部までの道のり…見慣れた光景に戻ってきていた。

 

「みんな…元気そうで良かった。心配してたんだよ」

「アンタもクラスの連中も大袈裟ねぇ。たかが数日会わなかっただけで感動の再会ー、みたいな雰囲気作っちゃってさ」

 

安堵の表情を浮かべるシンジに、アスカが呆れ気味に答える。

 

沖縄への修学旅行から帰ってきた第壱中学2年A組の面々は、

洞木ヒカリ委員長をはじめとして、綺麗な褐色に日焼けしていた。

 

日焼け対策を勧められた時に「んなチマチマした事やってられるかいな」と言い放ったトウジと、

女子の水着姿をカメラに収めることに没頭していたケンスケは、

中途半端に皮が剥けて()()()()()になったが、おおむね皆無事である。

 

レイは温泉旅館の売店で買い込んだ温泉まんじゅうをクラスメート達の沖縄土産と交換しまくっており、大振りのビニールバッグを手にホクホクした顔をしている。

道すがら、今も()()()の一つをポリポリと齧っていた。

 

「んで…バカナミは何食べてんの?歩きながらは行儀悪いわよ?」

「はいアスカっち」

「あんっ?」

 

パリッ…

 

「はい碇くん」

「んっ」

 

ポリッ…

 

レイが口元に差し出した()()の何かを反射的に噛んだアスカとシンジ…。

 

「んぐっ!?」

(にっが)ぁい!なによこれー!?」

 

悶える二人を余所に、レイはパリパリポリポリと同じものをハイペースに食べ進めていた。

 

「ゴーヤチップス。慣れると結構いけるよ!この苦味が癖になる感じでさ」

「誰よ、こんな()()()()買ってきたの!」

「むらみー」

「あぁ…村宮さん…ならしょうがないか…」

 

村宮ユウコ。

茶色のストレートヘアに釣り目勝ちな、レイと仲の良い女子グループの一人の名に、シンジは納得した。

()()()()()()()()()()な上に結構ないたずら好きな少女だ。

 

アスカとピッタリ合わせた『サラウンド・あんたバカァ?』や、

微妙にタイミングをずらして被せつつ徐々に音量を下げる

『エコー・あんたバカァ…バカァ……バカァ………?』

など多彩な技をやってのける、なかなかの強者である。

 

「アイツ!今度シメてやるわっ!」

「まぁまぁ、後でお口直しに『ちんすこう』あげるからさ。むらみーは許してあげてよ」

「ちんす…何?」

 

アスカは別のものを連想して、顔をしかめた。

 

「沖縄のクッキーみたいなやつ…あ、もしかして響きでエロい想像しちゃった?んもーぅアスカっちもお年頃だなぁ♪」

「音楽の授業で作曲家の名前に過剰反応する奴に言われたかないわよ。

『マーラー』やら『ドビュッシー』やらが出るたびにゲラゲラ笑うとか男子かアンタは」

「あ、あはは…」

 

レイにジト目を返すアスカ。

シンジは二人のやりとりに乾いた笑いを漏らしつつ、本部前のゲート…カードスリットに、IDを滑らせる。

 

「…あれ?」

 

反応がない。開くはずのゲートは沈黙したまま。ディスプレイもまったく無反応。

シンジの顔に、不安がよぎった。

 

「どしたん?普通にカード通せば…およ?」

 

レイが挑戦し、同じく何も起こらず、首を傾げる。

アスカが二人を押しのけ、進み出た。

 

「ちょっと、退きなさい!ん…?んん……?

もーっ、壊れてんじゃないのぉ、これぇ!?」

 

何度IDカードを前後させても、うんともすんとも言わぬまま。

アスカの声が、閉じたゲートの前に響き渡る。

 

レイ達は気づいていなかった。信号が不意に消えていた事に。

科学の街、第3新東京市は、完全に沈黙していた。




お友達女子グループのモブ子さん達の名前は多分ご想像通りです。
次回、ザトウムシ使徒…まで行くかは不明。真っ暗な本部内を進撃予定。

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