新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
本編:チルドレンはみんなお休み。放っておかれてたアイツが登場。
浅間山上空を旋回する
火口外部からの透過画像では、マグマ内に『影』のような異物がある事は検知されたものの、正体は不明。
スーパーコンピューター・MAGIの予測では、これが使徒か否かは
現地…浅間山・地震観測所に向かったミサトと、彼女の副官である日向二尉がVTOL機から降りた時…
出迎えたのは、同観測所の所員ではなかった。
やや斜に構えたスーツ姿…三十代半ばといった年頃の、少々前髪が後退気味の男。
初対面ではあるが、データ上で見覚えのある顔に、ミサトは息を飲んだ。
「
「こぉれはこれは、NERVの女傑・葛城ミサト作戦部長殿!一足遅かったようですなぁ!?
なぁに。マグマ内の『異物』…その観測・回収は我々に任せてもらいたいのですよ」
政府を後ろ盾に持ち、ロボット工学ではNERVに迫ろうかという技術力を持つ民間組織…
日本重化学工業共同体のトップ・時田は笑いに顔を歪める。
嫌悪を催す表情に、ミサトは鼻を鳴らした。
「この件に関してはNERVの方が専門です。余計な手出しはご遠慮願いたいわね。
迂闊なことをして、セカンドインパクトの二の舞は御免だわ」
「
日本政府…そして、あなた方の上層組織である
「委員会が…?」
怪訝な表情のミサトの眼前に、時田は判子を押されたA4の書簡を掲げ、正式な書類である事を示した。
ミサトの後ろに控えていた忠実な副官が進み出て、時田を睨みつける。
「君は?」
「こちらの葛城の部下…NERV作戦部の日向マコト二尉であります。
貴共同体が開発したロボット…ジェットアローンと言いましたか。
確かリアクター内蔵による長時間行動を売りにしていたと記憶しています。
「心配ご無用。新たに開発した局地仕様の機体『ジェットアローン・マグマダイバー』は、核動力を使っておらんよ。
それに…パイロットを危険に晒してまで有人ロボットを潜航させるよりは、遠隔操縦のJAの方がよほど人道的と考えるがね」
「…っ!」
ギリリと奥歯を噛みしめた日向をミサトは片手で制し、時田へと向き直った。
「解りました。ですがもしマグマ内の異物が
倒せるのは我々NERVだけです。その時は特務機関権限を行使させて頂きますので悪しからず」
「A.T.フィールド、ですか?その研究は我々も日々進めています。
…いつまでもNERVの時代ではないのだよ、
「若く見られるのが嬉しい年頃になったとはいえ、
相手と言い方によっては、こんなに虫唾が走るなんてね。
行くわよ、日向くん。時田代表のお手並み、とくと拝見しましょう」
「…はい」
(諜報部を出し抜いたのは、こいつか…!)
地球防衛バンドとは別件で外部に流れた情報の
時田の脇を抜け、ミサトは携帯電話を取り出し…本部へとコールを入れた。