新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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42、リナレイさん、職員食堂にIN

「このっ、もぐっ!惣流・アスカ・ラングレー様をっ、はぐっ!

甘い物で釣ろうなんてっ、むぐむぐっ、安く見られたものねっ!

ごくっ、おかわり!!」

「見事に釣られてるじゃないか…」

「さすがアスカっち。チョロいっ、かわいいっ!」

「そこのバカップル、なんか言った?」

「「いいえ、なにも」」

 

NERV職員食堂のテーブルには細長く巻かれた「フルーツたっぷりクレープ(クリーム増し増し)」が山盛りになっており、アスカはそこからひょいひょいとクレープを取って黄色い山を削っている。

レイはその様子を眺めながら、マイペースにクレープを()()()()とパクついていた。

 

女同士とはいえ堂々と乳揉み(セクハラ)かましたレイと、彼女を止めずに恐れを為して逃げ出したシンジ。

 

アスカのプライドを傷つけた落とし前をどうつけるか、という話になり、

レイから「クレープ食べ放題奢るよ!」という提案が出た結果…

 

「絶対にスイーツなんかに負けたりしない!(キリッ)」

「やっぱり勝てなかったよ…(´・ω・`)」

 

というお決まりの流れになったわけである。

 

 

桃、バナナ、キウイといった果物に生クリームとチョコソースを絡め、

しっとりしたクレープ生地で包んだNERV職員食堂の人気スイーツメニューは、

アスカの舌を充分に満足させる出来だった。

 

 

「あれ、碇くんは紅茶だけ?食べないの?クレープおいしーよ?」

「いや、甘い物は好きだけど、この量はさすがに…

カロリーが凄く高そうで、見てるだけで胸やけが…うぅっ…」

「あんたバカァ?アタシがこの程度で太るわけないじゃないの」

 

青ざめた顔で砂糖なしのホットレモンティーを啜るシンジをよそに、女子組は余裕である。

 

運動量のせいか新陳代謝が良いのか、アスカは『いくら食べても太らない』という

NERV女性職員から羨ましがられそうな体質だった。

実際に太った経験がないだけに、疑似的にではあるがお相撲さん体型になる耐熱プラグスーツは、

アスカには耐えがたかったのかもしれない。

 

その時、三人の携帯端末にコールが入った。

チルドレンの非常招集…すなわち、使徒が出現した可能性が高いことを意味する。

レイは眉を動かし、シンジは顔に緊張を走らせ…

アスカは手に残ったクリームをペロリと舐め取って不敵に笑った。

 

「ほら、アタシ達の仕事よ。

ちょうどいい腹ごなしが出来そうじゃないの」

「気楽だなぁアスカは。えぇっと場所は…浅間山」

「アサマヤマ?どこよ?」

「長野と群馬の県境にある活火山だね。

標高2400mちょい。セカンドインパクト前はもっと高かったみたいだけど…」

「火山…!?まさか…」

 

シンジは端末で確認した情報を、アスカに伝えていく。

彼女の顔色が沈むのとは対照的に、レイはにっこりと花のように微笑んだ。

 

「うむ!高熱地帯ですな!

例のどすこいスーツとエヴァ弐号機・耐熱(D型)装備の出番でしょうな!

やったねアスカっち!活躍の場が増えるよ!」

「ちょっと、その言い方は洒落にならないから止めなさいバカナミッ!

嫌ぁー!あんなみっともない格好はいやぁー!」

 

取り乱すアスカ。

耐熱局地戦の場合、パイロットが膨張式のスーツを着るだけでなく、

エヴァ弐号機にも特殊装甲が装備されることになっている。

 

CG(コンピュータ・グラフィックス)で、ずんぐりとした()()()そっくりの耐熱耐圧防護装備…

通称D型装備をまとったエヴァ弐号機のシミュレーション映像を見た時、

レイは「ちょっとカワイイ♪」との感想を抱いたのに対し、

アスカは先のような悲鳴を上げたものだった。

 

「よーし、腹くくっていこーかーアスカっち!非常招集(ひじょーぅしょぉーおしゅー)~♪」

「アスカ、しょうがないよ。任務だからね」

「いーやぁ~~~~!!」

 

レイのカードで清算を済ませ、食堂を後にする三人。

アスカの叫びが空しく響いた。


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