新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
原作とは違い、例のアレをぶっつけ本番じゃなく、
本部でテストする時間が取れたようですが…
「なんなのよーこれー!」
「あらアスカ、説明したはずよ。耐熱仕様プラグスーツの試験。
これは火山帯など、高熱地帯に使徒が出現した時を想定した局地戦用装備を…」
「そうじゃなくてっ!このっ!格好よっ!
冗談は金髪だけにしときなさいよね、このマッド科学者っ!」
アスカのプラグスーツは冷却ガスにより膨張しており、
結果、彼女は
NERV本部・実験棟に響く少女の不満の声もどこ吹く風とばかり。
平然と
超高性能コンピュータ・MAGIは、被験者の脳波から様々なデータを数値化しているが、
中でも高いストレス値は、アスカが
リツコの隣で、作戦部長・葛城ミサト三佐が咳払いした。
「赤木博士、人命を守るために性能重視するのは解るわ。
でもエヴァのパイロットとしては、
「配慮はしているわよ。少なくとも今回のテストに立ち会うのは女性スタッフのみ。
この先、男性を含めた不特定多数の目がある
…とはいえ、外見に関しては
安全面に比べれば、外見改善の優先度は低い、とリツコは暗に告げた。
「善処って言ったって…女の子のアスカに、この格好はあまりにも…ぷふっ」
「ミサト!笑ったわね?今笑ったわね!?」
笑いを堪え、たまらず顔を反らすミサトに、アスカは声を荒げた。
試験の順番待ちで待機していたレイは、
口元に拳を当て、ミサトと同様に肩を震わせ…
「バカナミ!アンタも笑ってんじゃ…」
「やだ…アスカっちってば、超キュート…」
「え…」
レイは潤んだ赤い瞳を細め、膨れたアスカの姿を見つめ、歩み寄り…
「惣流さーん、大きくなりましたねー。
「誰が妊婦かっ!お腹をさするなっ!
慈母の如き笑みを浮かべる青髪少女を前に、
アスカはテスト終了まで元気に吼え続けていた。
さて、次はレイの番である。
現状、耐熱装備は
だが、万一アスカが負傷してエヴァに乗れない場合など、
弐号機のコアを変換してでもレイやシンジが乗る可能性も否定できず、
新型耐熱プラグスーツのテストは全員が一通り行うことになっている。
シンジも今頃は、男性スタッフのみの試験場で力士になっているはずだ。
白のプラグスーツに身を包んだレイは、
腕の曲げ伸ばしを繰り返し、腰を捻り、自らの身体を見回した。
「ん~、今の段階だと見た目も着心地も普通のプラグスーツと変わらんね。
赤木博士~、操作はどこだっけ?」
「右手首のボタンを押せば、スーツ内部の冷却剤がガス化するわ」
「りょーかい!そんではポチっとなっ…お、おぉお~!?」
たちまちレイが
スマートな身体に戻ったアスカは、
滑稽な姿に変わったレイを見て溜飲を下げたのか、
鼻を鳴らして笑い、ビシリ、と指をさす。
「いい格好ね、バカナミ!これでちょっとはアタシの気持ちも解ったでしょ?
さっきは散々いじりまわしてくれたわねぇ!ほら、なんとか言ってみなさいよ!」
(いくら成績優秀とはいえ、アスカもまだまだ子供ね…)
リツコは小さく溜め息をつき、やや冷めたコーヒーを口に運ぶ…
先のアスカの実験で、レイがどんな姿になるかは解っていたし、
『科学者たるもの、常に冷静にあるべき』の信念のもと、
いちいち笑ったりはしない。そう、しないのだ。
「ごっつぁんですっ!」
「ブフゥ――ッ!?」
前言撤回。冷徹な科学者も
力士を真似て、わざわざ低く掠れた声色を出すレイに、
リツコのブラックコーヒーが霧状に吹き出された。
「はァ~~どすこいーどすこいっ!どすこいーどすこいっ!」
「レ、レイッ…!ひっ!やめっ…やめてっ…!ひはっ…!」
「あぁっ、先輩が笑い過ぎて過呼吸にーっ!?今、私が助けますっ!先輩っ!」
「
「葛城三佐!マウス・トゥ・マウスが必要なんです!
これは役得…じゃなくて人命救助です!離してください!HA☆NA☆SE!」
伊吹二尉すら、いつもの「ふけつです!」を言うことを忘れて暴走。
アスカは、混沌と化した状況を茫然と眺めた。
(あぁ、失念してたわ…バカナミは
たかが格好がどうこうで、コイツがヘコむわけないじゃないの…)
「稽古はーっ本場所のごとくーっ!本場所はーっ稽古のごとくーっ!
はァ~どすこいーどすこいっ!」
綾波関、大相撲NERV場所を制し、堂々の優勝であった。
ゲンドウ「げりおんっ!(超ノリノリ)」
アスカ「
【挿絵表示】
ロゴ作成は「けいおん!風ジェネレータ」をお借りしました。
http://k-0n.com/
なお、先程の放送の字幕に誤りがありました。
「けいおん!」原作者・かきふらい先生 となっていましたが、
正しくは NERV総司令・碇ゲンドウさん でした。
訂正し、お詫び申し上げます。