新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
ラジオDJ「では、次の曲です!
ラジオネーム『コマンダー☆ゲンちゃん』さんからのリクエストで…
『奇跡の戦士エヴァンゲリオン』!どうぞっ!」
オペレーター衆「「「あっ(察し)」」」
第壱中学2年A組・地球防衛バンドは、スタジオ練習を再開していた。
今は指導役として、NERVオペレーターにしてバンドマンの青葉シゲルが、
ギターを担いで訪れている。
「俺の特訓は厳しいぜぇ~?」
と、冗談交じりに笑っていた青葉だったが、実際の彼は面倒見が良く、
バンドメンバー全員が
またギター担当のトウジ、ベース担当のヒカリの演奏技術は、各段に上達していた。
1時間程練習したあと休憩を取り、
青葉の前に6人の少年少女が、お茶やジュースを手に扇状に並ぶ。
「いやー、あたし正直ロンゲくんを見直したわ。
バンド全体の音が気持ちよくまとまったもん」
「いいんですか、青葉さん?使徒戦の事後処理で忙しいのに…」
「ハハッ、大丈夫だって。葛城さんからは
『経験者として地球防衛バンドを助けてやって欲しい』
って頼まれてるからね。
俺の方も、若い世代との交流は刺激になるから、大歓迎だよ。
…
「…すいません。父さんが暴走したばっかりに…」
シンジは申し訳なさそうにしているが、青葉の表情は楽しげだ。
レイから『ロンゲくん』と呼ばれるのも最早慣れたし、称賛されれば悪い気はしない。
ケンスケとトウジは練習の汗を拭いながら、充実した顔をしている。
「資金的にも技術的にも、NERVの全面サポート有りで音楽活動が出来るなんて、
まさに持つべきものは友達って感じだよ、なぁトウジ?」
「せやなぁ、センセェ達にもシゲル
ミサトさんにも、よろしくお伝え願いますわ!」
「葛城さんも昇進して忙しい時期だからな。
あの曲も今じゃNERVの応援歌みたいになってるし、
君達が頑張ってくれれば、励みになると思うよ」
青葉の言葉にアスカが小首を傾げ、ヒカリはパチリと手を叩いて表情を明るくした。
「えっ、ミサト…昇進したの?」
「まぁっ、おめでたい事ね!」
「しょっ、昇進んん~~!?一尉から、三佐になったって事かぁーっ!?」
突然興奮しだしたケンスケに、皆がギョッとして顔を向けた。
青葉が乾いた笑いを浮かべる。
「ケ、ケンスケくん、ちょっと落ち着きなって…」
「これが落ち着いていられますか青葉二尉っ!?
NERVの作戦部長として功績を重ね、あの若さで佐官にまでなったんですよ!
綾波、惣流!ミサトさんの襟章は確認したか?ラインが増えてなかったかっ!?」
「やー知らん。そこまで見てないよあたしは」
「そんなマニアックな所を見るの、アンタぐらいよアホメガネ」
ふるふると首を横に振るレイに、ドン引きした様子のアスカ。
ケンスケは何とも言えぬ形相で顔を動かす。
「じゃ、じゃあシンジは!?
ミサトさんの家にお世話になってるシンジなら、
それがどれだけ凄いことか…解るだろう!?」
「いや、ミサトさんは何も言わなかったし…
あ、でも冷蔵庫の中のツマミの種類が、やけに増えてたなぁ…
お店でも開くんじゃないかってぐらいに。そうか、昇進してたのか…」
葛城家の
子持ちシシャモの袋を爪で器用に開け、優雅に晩酌していたのを、
シンジはようやく思い出した。
「あぁぁっ…嘆かわしい!
一番身近にいるはずのパイロット達が、この有様とは!
君達には思いやりというモノはないのかっ!?」
「ホンマやでぇ。人の心ォ持っとるのはワシらだけやな!」
「ふん、バッカみたい」
大げさにガックリと
「でも確かに、ちゃんとミサトさんに『おめでとう』って、言ってなかったな」
友人達の言葉に思う事があったか、シンジはポツリポツリと零した。
「だったら、今からでも遅くないわ。
葛城さんにはバンドとしてもお世話になってるし、お祝いしましょうよ!
わたし、お料理だったら作るわよ?」
「ヒカリちゃんのお料理かぁー。お弁当いつも美味しそうだから期待大だなぁ。
あたしも碇くんから教わったの、チョイチョイ作ってみよっかな?」
ヒカリとレイが相槌を打つ。
(幸せだな、葛城さんは)
自然と盛り上がる子供達の話に、青葉は目を細めて場を見守った。
ロンゲくんこと青葉さんが地球防衛バンドの指導要員に入る話は、
サターン版2ndインプレッションより。
ミサトさん、失策の少なさから原作よりも使徒二体ぶん早く昇進。
これにより葛城家の冷蔵庫がツマミ天国と化す。
なお、即席ユニゾンをサクッと成功させちゃったので、
アスカっちは葛城家に同居してません。
おそらくNERV職員寮在住。
しばらく細かいエピソードは順番シャッフルされる予定です。