新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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前回までのあらすじ

ラジオDJ「では、次の曲です!
ラジオネーム『コマンダー☆ゲンちゃん』さんからのリクエストで…
『奇跡の戦士エヴァンゲリオン』!どうぞっ!」

オペレーター衆「「「あっ(察し)」」」


38、ロンゲくん、バンド指導にIN

第壱中学2年A組・地球防衛バンドは、スタジオ練習を再開していた。

今は指導役として、NERVオペレーターにしてバンドマンの青葉シゲルが、

ギターを担いで訪れている。

 

「俺の特訓は厳しいぜぇ~?」

と、冗談交じりに笑っていた青葉だったが、実際の彼は面倒見が良く、

バンドメンバー全員が音響機器(PA)の使い方を一通り覚えた。

またギター担当のトウジ、ベース担当のヒカリの演奏技術は、各段に上達していた。

 

1時間程練習したあと休憩を取り、

青葉の前に6人の少年少女が、お茶やジュースを手に扇状に並ぶ。

 

「いやー、あたし正直ロンゲくんを見直したわ。

バンド全体の音が気持ちよくまとまったもん」

「いいんですか、青葉さん?使徒戦の事後処理で忙しいのに…」

「ハハッ、大丈夫だって。葛城さんからは

『経験者として地球防衛バンドを助けてやって欲しい』

って頼まれてるからね。

俺の方も、若い世代との交流は刺激になるから、大歓迎だよ。

()()()()()()ギターにも触れるしな」

「…すいません。父さんが暴走したばっかりに…」

 

シンジは申し訳なさそうにしているが、青葉の表情は楽しげだ。

レイから『ロンゲくん』と呼ばれるのも最早慣れたし、称賛されれば悪い気はしない。

 

ケンスケとトウジは練習の汗を拭いながら、充実した顔をしている。

 

「資金的にも技術的にも、NERVの全面サポート有りで音楽活動が出来るなんて、

まさに持つべきものは友達って感じだよ、なぁトウジ?」

「せやなぁ、センセェ達にもシゲル()ィにも頭下がりっぱなしや!

ミサトさんにも、よろしくお伝え願いますわ!」

「葛城さんも昇進して忙しい時期だからな。

あの曲も今じゃNERVの応援歌みたいになってるし、

君達が頑張ってくれれば、励みになると思うよ」

 

青葉の言葉にアスカが小首を傾げ、ヒカリはパチリと手を叩いて表情を明るくした。

 

「えっ、ミサト…昇進したの?」

「まぁっ、おめでたい事ね!」

「しょっ、昇進んん~~!?一尉から、三佐になったって事かぁーっ!?」

 

突然興奮しだしたケンスケに、皆がギョッとして顔を向けた。

青葉が乾いた笑いを浮かべる。

 

「ケ、ケンスケくん、ちょっと落ち着きなって…」

「これが落ち着いていられますか青葉二尉っ!?

NERVの作戦部長として功績を重ね、あの若さで佐官にまでなったんですよ!

綾波、惣流!ミサトさんの襟章は確認したか?ラインが増えてなかったかっ!?」

「やー知らん。そこまで見てないよあたしは」

「そんなマニアックな所を見るの、アンタぐらいよアホメガネ」

 

ふるふると首を横に振るレイに、ドン引きした様子のアスカ。

ケンスケは何とも言えぬ形相で顔を動かす。

 

「じゃ、じゃあシンジは!?

ミサトさんの家にお世話になってるシンジなら、

それがどれだけ凄いことか…解るだろう!?」

「いや、ミサトさんは何も言わなかったし…

あ、でも冷蔵庫の中のツマミの種類が、やけに増えてたなぁ…

お店でも開くんじゃないかってぐらいに。そうか、昇進してたのか…」

 

葛城家の飼いペンギン(ペンペン)がその恩恵に預かり、

子持ちシシャモの袋を爪で器用に開け、優雅に晩酌していたのを、

シンジはようやく思い出した。

 

「あぁぁっ…嘆かわしい!

一番身近にいるはずのパイロット達が、この有様とは!

君達には思いやりというモノはないのかっ!?」

「ホンマやでぇ。人の心ォ持っとるのはワシらだけやな!」

「ふん、バッカみたい」

 

大げさにガックリと項垂(うなだ)れるケンスケと腕を組んで頷くトウジを、アスカは鼻であしらう。

 

 

「でも確かに、ちゃんとミサトさんに『おめでとう』って、言ってなかったな」

 

友人達の言葉に思う事があったか、シンジはポツリポツリと零した。

 

「だったら、今からでも遅くないわ。

葛城さんにはバンドとしてもお世話になってるし、お祝いしましょうよ!

わたし、お料理だったら作るわよ?」

「ヒカリちゃんのお料理かぁー。お弁当いつも美味しそうだから期待大だなぁ。

あたしも碇くんから教わったの、チョイチョイ作ってみよっかな?」

 

ヒカリとレイが相槌を打つ。

 

(幸せだな、葛城さんは)

自然と盛り上がる子供達の話に、青葉は目を細めて場を見守った。




ロンゲくんこと青葉さんが地球防衛バンドの指導要員に入る話は、
サターン版2ndインプレッションより。

ミサトさん、失策の少なさから原作よりも使徒二体ぶん早く昇進。
これにより葛城家の冷蔵庫がツマミ天国と化す。

なお、即席ユニゾンをサクッと成功させちゃったので、
アスカっちは葛城家に同居してません。
おそらくNERV職員寮在住。

しばらく細かいエピソードは順番シャッフルされる予定です。

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