新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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前回までのあらすじ

アスカ「やるな(ガシッ)」
シンジ「お前もな(ガシッ)」

トウジ「おめでとさん!(パチパチ)」
ケンスケ「めでたいなぁ!(パチパチ)」
レイ「( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!」

委員長「えっ、なにこれは(ドン引き)」


33、リナレイさん、放課後の空き教室にIN

今となっては日本から夏以外の季節は失われてしまったが、

第3新東京市・第壱中学校では(こよみ)上の秋に文化祭を行う事になっている。

2年A組出席番号1番・相田ケンスケは、当イベントに向けて熱意を燃やしていた。

 

エヴァのパイロット3名を擁するこのクラスで、

『地球防衛バンド』なる活動を行うのが彼の望みだった。

 

「と、いう事で…俺の歌を聴けェ~~ッ!」

 

元より多趣味なケンスケは音楽関係にも手を伸ばしており、

放課後の空き教室に級友(クラスメート)達を集めて、

自ら作詞・作曲した楽曲を、スピーカーから流しはじめる。

 

パソコンのフリー音楽作成ソフトとはいえ、

音はなかなかリアルなもので、刻まれる金属質なギターサウンドと、

それに被さるような歌詞無し(スキャット)コーラスで曲が始まった。

弦楽器(ストリングス)とトランペットが場を盛り上げる。

 

セカンドインパクト前、つまり彼らが生まれる前のロボットアニメ…

リアルタイムではなく、()()()で聞いたような、

()()()()()()()()()()()()()メロディだった。

 

「おっ、悪くない感じやないか」

「ふふっ、なんだか懐かしい曲調ね」

「…ガキ臭い。アタシの好みじゃないわ」

 

ケンスケの友人である鈴原トウジ、

そしてクラス委員長・洞木ヒカリの感想は、まず好印象。

一方、惣流・アスカ・ラングレーは『子供っぽさ』を一蹴した。

ジャンルがジャンルだけに、評価が割れるのは致し方ない所である。

 

仮歌はケンスケ本人が歌っている。

特段、美声というわけではないが、喋る時のハイテンションが抑えられ、

丁寧に歌い上げるその歌は、中々に聴きごたえがあるものだ。

 

吟味するように静かに聞き入っていた綾波レイと碇シンジは、

歌詞の端々に聞こえる単語に、時折眉を動かす…。

 

『エヴァ』の名はほぼ知れ渡ってしまっているから仕方ないとして。

その正式名称…出撃時の号令…組織名…武器名…そして…

彼らパイロットが、使徒との戦いで聞き慣れたワード。

()()()()()()()()()()()()()言葉が、そこにあった。

 

「ケンスケ…これ、まずいよ。なんでキミがA.T.フィールドまで知ってるのさ」

「ちょっとパパのIDをちょろまかして…」

 

シンジに問われ、サラリとケンスケは答えた。

NERVデータベースへの不正アクセス…真っ黒(ギルティ)である。

レイは微笑んでいた。目は…笑っていなかった。

 

「いい曲だ。感動的だな」

「おぉ、綾波!解ってくれるか…」

「だが無意味だ」

「ギャアアアアッ!?」

 

次の瞬間、レイの手がケンスケの顔をガッチリ捉えた。

鉄の爪(アイアンクロー)と呼ばれるプロレス技である。

 

「おっ()コレ機密情報漏洩ソングじゃん!どーすんだよ相田こらァッ!

NERV(ウチ)から黒服の兄ちゃん達(ブラックメン)が来るレベルだぞオイッ!」

「ゆ、指ィーッ!指がコメカミに刺さってる!痛い痛いイタタタ!

も、もう少し手心というかっ!なんというかっ!ア゛ァ゛ァァアッ!?」

「『痛くなければ覚えませぬ』っていうだろーがっ!てゆーか覚えろ!」

 

シェルター脱走事件に続く大問題に、さすがのレイもブチ切れであった。

ギリギリギリギリ…それはもう締まる締まる。容赦なく締まる。

 

「このアホメガネ!あんたバカァ!?

予想より遥かに洒落になってない事やらかしてるじゃないの!」

「ごめんなさい相田くん。私じゃフォローしきれないわ」

 

アスカもヒカリも怒るやら呆れるやら、といった所。

シンジは携帯電話を取り出し、上司兼保護者の番号を呼び出した。

 

「…ひとまず、ミサトさんに相談してみるよ。

いくら友達でも、これは黙ってるわけにはいかないし。

出来るだけ便宜は図ってもらえるようにお願いするけど…」

「地球防衛バンド、始まる前に頓挫しそうやのぉ…」

 

トウジは多難な前途を想い、窓の外を見やる。

 

「ふぅゥ―ッ!がるるるる…」

「……」

 

獣のように唸るレイと、コメカミからプスプスと煙を上げて横たわるケンスケから、目を反らすように…。




挿入歌:奇跡の戦士エヴァンゲリオン(作詞作曲・相田ケンスケ)
隠れた名曲です

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