新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
第3新東京市・第壱中学校。
2年A組、朝のホームルーム。
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく!」
アルファベットで黒板に書かれた彼女の名。
ふわり、と赤毛を揺らし、振り返った転校生の美貌に、
クラスじゅうの目が釘付けになった。
「「「おぉぉ…」」」
「あの子、ハーフ?」「クォーターだってさ」
「超可愛い…激マブじゃん!」「スタイルいいなー。うらやましー」
(『和を
ふふん、ミサトの言ってた事はよく解らないけど、
この称賛と羨望の視線は悪くないわね)
上官たる作戦部長・葛城ミサトの言葉を反芻しつつ、
笑顔の下に本音を隠しながら、アスカは胸を張る。
ドイツで大学まで出たにもかかわらず、
日本の『義務教育』というシステムに、初めこそ文句をつけていたが、
教室を満たす声に上機嫌になる辺りは、アスカもまた年相応の子供であった。
だが、教室の喧騒に混じった
「やっふー、アスカっちー♪」
「バッ…んぐっ…!?」
アスカの視線の先には、先日
窓側の席で、手のひらをグーパーグーパーする青髪の少女に、
アスカは喉から出かけた
クラスメート達の前でせっかく被った猫が、危うく引っ
「あー…惣流さんの席はー…そうですね…
いま、手を振っているー…綾波さんの隣がー…空いてますのでー…
そこでーお願いします…」
「ハ、ハイ…」
担任の老教師、ネブカワ先生の間延びした声に促され、
アスカは笑顔を引きつらせて席へと向かった。
「よ、よろしくね、綾波さん!
ってっ…なんでアンタが同じクラスなのよぉッ!?」
「えー、いいじゃーん?仲良くしようよー」
余所行きの挨拶の後、小声で
同じく小声で返すレイに「ぐっ」と喉を鳴らし、彼女は憮然として席についた。
この先、共同戦線を張る関係上、パイロット同士で親睦を深めておく事はアスカとしても
レイの何とも言えない
(やりにくいわね…)
戸惑いの中、惣流・アスカ・ラングレーの日本での学校生活は始まった。