新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
1、リナレイさん、サキエルさん襲来シーンにIN
担当の
点滴の管が外れてからレイは旺盛な食欲を発揮し、毎回食事のトレーを綺麗に空にしていた。
食べ物をよく噛んで飲み込み、最後は「ごちそうさまでした」と両手を合わせる。
病院食というのは常人にとっては薄味で大して美味くもないものだが、
以前はほとんど
栄養バランスはばっちり計算されていることもあり、
「もうちょい量が欲しいかなー。それに病院食で塩気のあるものってハムぐらいしかないし。
いやぁハムはいいねぇ。人類の生み出した食文化の極みだね!」
「綾波さん、お肉嫌いじゃなかった?」
「それがねー、食べてみたら美味しかったんよ。
食わず嫌いとか、もったいない事してたわー…あたし、肉食系女子になります!」
「リアルな意味の肉食系ねぇ」
にひひ、と冗談めかして笑うレイ。
こんな風に笑える娘だったのか、と驚きつつ、看護師もつられて笑う。
そんな穏やかな語らいは、枕元からのビープ音に遮られた。
音源はパイロットおよび関係職員に情報を伝えるためのタブレット端末。
プツ、と音声が繋がる僅かな音の後、若い女性の声が流れる。
『NERV本部、第一種警戒態勢。繰り返します。NERV本部、第一種警戒態勢。
正体不明の移動物体が第3新東京市に接近中…』
「あ、
「警戒態勢…?なにかしら…」
レイは、制服を着せれば自分の同級生でも通じそうな二尉の愛らしい童顔を思い出した。
タブレットから聞こえた女性オペレーターの声に看護師は不安そうに声を漏らす。
画面に指を滑らせ、情報を得るべく端末を操作するレイ。
そして[
VTOL戦闘機の一機から映像が送られる。
巨大な人型の物体が、街に近づいていた。
首のないモスグリーンの胴体。胸部にある赤い球体。その上に仮面のような顔…
「…あー、これが赤木博士の言ってた『あれ』か…」
15年前、人類の大半を失わしめた災厄…セカンドインパクトを起こした『第一使徒アダム』。
それに連なる第三の御使いが、迫っていた。
戦闘というには、あまりにも一方的な蹂躙劇が始まる。
VTOLの機銃やミサイルは雨あられと降り注いでいるにも関わらず
使徒はまったくの無傷。一機が裏拳で叩き落とされ、
また一機が使徒の肘から伸びた光り輝く
「『あれ』相手に通常兵器じゃ無理。行かなきゃ…っうっ」
「綾波さん!」
目眩と鈍い頭痛に顔をしかめ、ふらついたレイを、看護師が支えた。
まだ万全には程遠い…だが。
「…大丈夫!動けない
「えぇ、解ったわ。…ごめんなさい。本当なら無理させたくないんだけれど」
「いいよ。あたしは『このための』パイロットだもん。
その辺りの情報は、知ってるでしょ?」
脂汗が浮く少女の笑顔に胸を締め付けられながらも、看護師は頷く。
細い腕を己の肩に掛け、ゆっくりと歩き出した。
食事をちゃんと摂取してるせいか、前向きな性格改変に影響されてか、
ここのリナレイさんは本編のレイさんよりちょっと回復速めです。
ズタボロ状態でストレッチャーに運ばれる事はなく
看護師さんの手を借りればなんとか動けるぐらい。
次回シンジくん出せればいいなぁ