新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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◇さんとの戦いはまだです。
イチャり成分を入れたかった。
ほら、生&性の衝動(リビドー)って生き延びるためには大事やし(震え声)


23、リナレイさん、自販機コーナーにIN

今回の作戦は碇ゲンドウ総司令・冬月コウゾウ副司令に伝えられ、承認された。

 

葛城ミサト作戦部長は戦略自衛隊と交渉しに筑波へ。

赤木リツコ博士はエヴァ射出リフトの調整のため、

技術部と整備部の共同作業指揮に大忙しだ。

 

青葉シゲル二尉が政府、および関係各省への通達に追われる中、

パイロット両名は作戦概要の確認を日向マコト二尉から、

そして使用する武器の説明を伊吹マヤ二尉から受けた。

 

その後、作戦時間までは待機となったわけだが、

職員用の仮眠室でベッドに腰かけ、

うつむいている同僚…碇シンジを見つけた綾波レイは、

しゃがみ込んで彼の顔を見上げるように覗き込んだ。

 

「…夢を見たんだ」

 

掠れた声でシンジは呟く。

 

 

青水晶めいた使徒の放つビームが、初号機の胸を直撃する。

電荷が解けて、澱んだオレンジ色に戻ったプラグ内用液(LCL)がゴボゴボと沸き立ち、

シンジの吐いた血が、赤い靄になってその中に散る。

 

鳴りやまないビープ音。真っ赤な警告(WARNING)の文字。

悲鳴のようにシンジの名を呼ぶミサト。

そして視界の隅にあるのは、体表面を無残に融解させ、倒れているエヴァ零号機…

 

 

シンジは自分の絶叫で目を覚ました。

夢のはずなのに、痛みや熱さまで感じたような錯覚がある。

 

「夢で良かったって安心した。

けれど現実になったらどうしようって不安になった。

…死ぬかもしれないって思ったんだ。

 

…ごめん、作戦の前なのにこんな事言って。

…でも怖いんだ。震えが止まらないんだよ!

 

ビルもドロドロに溶かすような、あんな攻撃を喰らったら…

それに、もし…綾波さんが撃たれたら…!」

「碇くん、今は余計な事考えないでお茶しよう」

「…へ?」

「お茶しましょう。何かあったかいモノ飲もう。ホレ、あっち」

 

シンジの言葉を遮り、レイは親指で自販機コーナーの方向を差した。

 

二人だけで廊下を歩く。

広いNERV本部の中でも奥まった区画だ。人はあまり通らない。

自販機コーナーに入った所で、レイは不意に足を止める。

 

「ここね、ちょうど防犯カメラの死角なんだ。

何か聞かれても飲み物買ってましたーって()()()出来るし」

「え?んんっ!?」

 

シンジの唇はレイの口で塞がれていた。

細く、しなやかな両腕は、見た目よりも力強く彼の身体を抱く。

…吐き出される弱音を全て封じ、心に巣くった恐怖を喰らい尽くすように。

 

ふは、と息継ぎをし、レイは至近距離でシンジを見つめた。

 

「あ、綾波さん…?」

「…エネルギー注入!どーぉ?元気出た?」

 

蒼白だったシンジの顔に血色が戻っていくのを見ながら、レイは笑う。

 

「ねぇ、この街に来た日を思い出してみて?

碇くんは、自分の意思でエヴァに乗った。

怖い思いをして、痛い思いをして…それでも逃げなかった。

気絶したあたしを守ってくれた。そして…使徒に勝った!」

 

少女は、少年の手を取り、指を絡める。

赤い瞳には、真剣な光が宿っていた。

 

「言っとくけどね、あたしは空気なんて読んであげない。

碇くんがどんだけ後ろ向き(ネガ)になっても、

一緒に絶望なんてしてあげないよ。

あの八面サイコロ、一緒にブッ飛ばしに行こ?ね!」

「…強いんだな、綾波さんは」

「そーだよ。超強いよ。だから安心しなさい」

 

レイの言葉は九割方ハッタリと勢い任せだったが、

時としてそれは生き延びる強さになりうる。

シンジはいつしか、彼女と共に笑っていた。

 

三回目の戦いは、近い。


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