新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN 作:植村朗
ABCのうちB止まりなのであしからず。
碇シンジはゆっくりと目を開けた。
視界に入ったのは灰色の天井。そして、赤い瞳と青い髪。
丸椅子に座り、制服に身を包んだ家主の少女…。
タブレット端末をいじる綾波レイだ。
「綾波さん…?」
「おっはー碇くーん。お昼寝タイムは堪能したかね?
いま
あ、服はソコね」
ここに来たのは午前中だったから…だいぶ時間が過ぎてしまっている。
半身を起こしたシンジは、ぼやけた視界のまま目を動かした。
レイが指差した枕元には学生ズボンと、白いブラウス。
ソックスに、アンダーシャツに…ブリーフ。
そう…一番上にあったのは、ブリーフである。
「服…?僕の…?」
「寝ぼけてそのカッコのまんま外に出ないようにね?おまわりさんに捕まっちゃうゾ♪」
レイは己の唇に指をあて、小首を傾げてニンマリと笑む。
シンジはようやく気づいた。自分が全裸であったことに。
「へ…?うわあぁぁっ!?」
シンジは裏返った声を上げ、慌てて布団を引き上げた。
…仰向けで転がされたあと、レイとベッドの上で何をしたかを思い出す。
疲労で意識を飛ばしてしまったシンジだが、汗をかいたはずの肌はさっぱりしている。
寝ている間にレイが彼の身体を
シンジは、発火しかねないレベルで熱い顔面を、両手で覆った。
「いやー、良くお休みだったようで。本部に行く前に頑張っちゃったねー?」
「……」
「ところで碇くん!日本語では頑張ることを『精を出す』といいますな!」
「言い直さなくていいよッ!?服着るから向こうむいてて!」
「んもぅ、男の子なのに言う事が乙女だなぁ」
「綾波さんが直球すぎるんだよ…」
どことなく泣きそうな声色のシンジに対し、
くすくすと喉を鳴らしながら、レイは体育座りで背を向ける。
着替え終わったあと、シンジは彼女と背中合わせで座った。
「ねぇ…なんで僕なんかと…あんな事」
「なんだよなんだよーぅ。あたしじゃ不満かー?んー?」
「そ、そうじゃないけど!その、びっくりしたから」
やや芝居掛かったレイの声とともに、ぴたり、と背中同士がくっつく。
シンジは身を跳ねさせたが、拒絶はしない。
レイは強引ではあったが、決して不快ではなかった。
なにより、先の『じゃれ合い』は『とてもとてもきもちのいいこと』だった。
「あえていうなら…絆…かな」
「絆?」
少々の間のあと、言葉を紡いだレイに、シンジは聞き返す。
「ほら、一緒に死線をくぐり抜けた、いわば
NERVのみんなも、そうっちゃそうなんだけど…
現場にいるのは、エヴァに乗ってるあたし達だし。
…温もりを感じておきたかったんだよ、碇くんの」
「…いつ死んでもいいように?」
「違うよ。二人とも、生き延びられるように。
よし、いい時間だし、そろそろ行こっか!」
レイが立ち上がり、シンジも続く。
愛だの恋だのとも少々違う、男女の戦友としての絆。
シンジは全てを理解は出来ぬまま…
だが、レイの無根拠にも見える自信に、安心感を得ていた。
原作でのキーアイテムであるゲンドウさんの眼鏡は、この世界では回収されてません。
ゲンちゃんとの絆?どっかにあるんじゃない?(適当)