新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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メンバー違う以外はほぼ原作通り。自己解釈あり


16、リナレイさん、シャムシエルさん置き場にIN

戦闘のあった山の麓は、金属製の衝立(ついたて)で空間が区切られていた。

横たわっているのは第四使徒の巨体…。比べてしまえば、周りの作業員は小人サイズ。

忙しく動いている重機の群れも、まるでミニカーだ。

 

「これが…僕達の敵…」

「ほぉー。エヴァ視点と違って、ナマで改めて見るとデッカいねぇ~」

 

エヴァンゲリオンのパイロット…碇シンジ、綾波レイの両名は使徒を見上げていた。

学校帰りの二人は学生服に、『NERV備品』と書かれた工事現場用のヘルメットという姿だ。

鉄骨で組まれた足場の上で、状況を見分しているのはE計画責任者、赤木リツコ博士。

なお葛城ミサト一尉は、作戦部長として今回の戦いのレポートを作成中のため不在である。

 

「第三使徒に続き、第四使徒もコア以外はほとんど無傷。

原形をとどめた理想的なサンプルって、研究者としてはありがたいわ。

零号機(だれかさん)が齧ったところ以外はね」

「てへぺろ(・ω<)☆」

 

使徒の頭には、しっかりと()()がついている。

リツコの皮肉めいた苦笑に、レイは軽くおどけてみせた。

一方のシンジは真面目な表情のまま、階段を下りてくるリツコへ視線を移す。

 

「それで…使徒の正体って解ったんですか?」

「コードナンバー601…コンピュータは解析不能を提示したわ。

辛うじて解った事は、使徒は粒子と波、両方の性質を備える、光の様な物で構成されている事。

動力部らしきものはあったけれど、作動原理もさっぱりなのよ」

「めっちゃ形がしっかりしてるのに粒子と波って…どゆコト?どう見てもUMA(トンデモ生物)じゃん」

 

レイは首を傾げた。零号機越しにフルボッコした感覚は、固体そのものだったからだ。

少なくとも、光やら波やら…はっきりしないモノ、という感じではない。

 

「生物と当てはめていいのか解らないほど、使徒は()()()()()が非常識なのよ。

LCLに近い有機成分こそ検出されているけれど、

この暑さの中、第三使徒は二週間以上たった今でも腐敗する兆候すらないわ。

そのくせ両使徒の固有波形パターンは、人間の遺伝子情報と99.89%一致しているの」

「それって…サルとかより、使徒の方が人間に近いんですか!?」

「ワケ解らんモノの塊かぁ。そりゃーコンピュータも全力で匙投げるわ」

 

専門家のリツコですらこの有様。中学生二人にはなお難解であった。

 

「人間の知恵の浅はかさが思い知らされた形ね。ミサトにも同じ事を伝えるつもりだけれど、

残念ながら作戦部長殿に有用な情報を提供することは出来なさそうだわ。

ひとまず、コーヒーでも飲んで一服しましょう」

 

休憩所に二人を案内する前に、リツコはもう一度第四使徒…『零号機の噛み跡』を振り返る。

 

(司令と副司令は、今頃()()()について委員会で詰問されてるかしらね)

 

パイロット達に複雑な表情は見せる事無く、リツコは歩き出した。


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