新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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皆様明けましておめでとうございます
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11、リナレイさん、ネルフ本部発令所にIN

黒塗りの車が第3新東京市を駆ける。

 

街のビル群が地下空間(ジオフロント)に収納されていく様が

視界の後ろに流れていくのを、碇シンジは後部座席の窓から見た。

 

前回の使徒戦の後、葛城ミサトに連れられ、夕陽に照らされた高台から

『ビルが生えていく』第3新東京市の光景に目を奪われた事があるシンジだったが、

間近で姿を変えていく風景を見ると、改めて己が

『戦うために作られた街』にいる事を自覚させられ、ごくり、と唾を飲み込む。

 

サイレンの唸りが長く響いた。

シンジが初めてこの街に訪れた時と同様、

特別非常事態宣言が発令されたのは想像に難くない。

 

『NERV本部、第一種戦闘配置。繰り返します。NERV本部、第一種戦闘配置…』

「おっ、毎度おなじみ伊吹二尉(マヤちゃん)のアナウンス。こりゃー冬月副司令(ふゆつきのじっちゃん)が動いたな。

…黒服のおにーさん!最速でヨロシク!」

 

シンジの隣、手元のタブレット端末を弄りながら、綾波レイは運転席に声を投げた。

ハンドルを握る『黒服のおにーさん』こと保安部のエージェントも慣れたもので、

黙って頷くと『さっきまでビルの屋上だった』地面を突っ切り、車をカッ飛ばす。

 

「イィィヤッフゥゥイ!!」

(綾波さん楽しそうだなぁ…)

 

拳を突き出し、ドライブ感覚でテンション上げ上げなレイ。

そのはしゃぎっぷりは、先程殴られたシンジを気遣ってのものか否か…

シンジは、少し心が解れるのを感じていた。

 

 

 

予定よりも早く発令所に訪れたチルドレン達を見て、作戦部長のミサトはニヤリと笑う。

 

「シンジくん、レイ、ご苦労様…良く来てくれたわ。マヤちゃん、お願い!」

「了解。映像、主モニターに回します」

 

指示を受けた伊吹マヤがキーに指を走らせると、

主モニターには我が物顔で箱根山間部を飛ぶ第四の使徒が映し出された。

 

赤黒いボディの形だけ見ればイカの胴体のようだが、

腹部には赤い球核(コア)を挟むようにエビのような節足が四対。

頭部に二つの目玉模様があり、ユーモラスな深海魚にも見える。

 

無人迎撃システムによる機銃やミサイルはA.T.フィールドに防がれてダメージゼロ。

盛大な税金の無駄遣いに、副司令の冬月コウゾウは苦笑していた。

 

国連上層部や委員会との折衝で多忙の父、碇ゲンドウ司令は姿が見えず、

シンジは残念なような、ホッとしたような、複雑な表情でモニターに視線を戻した。

 

「それにしても…来るペースが早いですね」

「この前の使徒は十五年のブランク。今回はたったの二週間だからね」

 

シンジの言葉に、眼鏡のオペレーター…日向マコトが答える。

ミサトが肩を竦めた。

 

「…敵さんはこっちの都合なんて考えちゃくれないってことよ。女に嫌われるタイプだわ」

「え、そう?キモカワイイ系っていうか嫌いじゃないデザインだよ?

あと何か美味しそう。煮込むと良いダシが出そう」

「見た目は関係ないわよ!ていうか飯テロやめてレイ!ビール飲みたくなるでしょ!」

 

レイの素ボケに、ミサトの本音がダダ漏れした。 

…想像する。熱々で旨味たっぷりの魚介スープをアテに、冷えたエビチュをクイッと…

 

「これより、使徒を殲滅じゅる!」

「ミサト、ヨダレ拭きなさい」

 

親友、赤木リツコ博士に突っ込まれる作戦部長。赤面しながら口元を拭いて、Take2。

 

「…改めて。そろそろ上から『エヴァを出せ』ってせっつかれると思うんだけど…」

「葛城一尉、今まさに来ました。委員会からの出撃要請です」

「ありがと青葉くん。という事で、シンジくんには初号機で出て欲しいの。

ここ二週間の訓練でシンジくんの操縦技術は高まっているし、

シンクロ率は二人乗り(タンデム)よりも安定してるわ。

初の一人乗り、がんばってちょうだい」

「は、はい」

 

前回は、先輩パイロットのレイが同乗していた安心感があったこともあり、

緊張した面持ちでシンジは頷いた。

 

「レイは乗機がまだないから今のところ待機で…」

「あ、零号機が凍結解除されてるはずなんで確認ヨロシク。

起動に時間掛かるかもしれないけど、あたしはそっちで出撃するよ」

 

「「「…え?」」」

 

レイの予想外の言葉に、幾つもの声が重なった。




数日前。

レイ「ゲンちゃんの!ちょっといいとこ見てみたい!」
ゲンドウ「ゼ、零号機の凍結を、現時刻を以って解除!」
レイ「ヨッシャアアアア Σd(゚∀゚ )」

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