新世紀エヴァンゲリオン リナレイさん、本編にIN   作:植村朗

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「書き続けなきゃ」と気合を入れるより
エタるエタる詐欺してた方が続くような気がする(´-`)


9、ケンスケくん、シンジくんの秘密にIN

休み時間、シンジの前の席を拝借し、向かい合うように座ったのは

茶色の癖っ毛に眼鏡の男子生徒だった。

 

「よ、転校生。学校(ガッコ)、慣れてきた?」

「えと、確か…相田?」

「そ、相田ケンスケ。覚えててくれたのか。…まぁ、出席番号一番だしな」

 

まだ硬い表情のシンジに、ケンスケは人懐こく笑う。

悪く言えば馴れ馴れしいとも言えるが、

自分から友達を作りにいくのが苦手なシンジにとっては有り難かった。

 

教室の反対側からは女子達の声が聞こえる。

 

「…で、あたしの担当看護婦さんがチョー可愛くてさ。

もぉ、たまんねーな!って感じだったわ!」

「アヤナン、それ完全にオッサン思考だよぉ~。

あんた外面(ガワ)だけ女子中学生(JC)のオッサンじゃん!」

「失敬な!ナウなヤングだよ!イケイケのゴーゴーだよ!」

「死語しかない!レイちょん何時(いつ)の時代の人!?」

「セッ、セカンドインパクト前ッ!?」

「「「キャハハハ…」」」

 

シンジは明るく笑い合う少女達と、その中心にいるレイを見た。

 

「綾波さん…ムードメーカーって感じだなぁ。仇名いっぱいあるんだね」

「あんな奴じゃなかったんだ」

「え?」

 

眼鏡の逆光に視線を隠して女子を見ていたケンスケを、シンジは振り返った。

 

「綾波は一年の時に転校してきてから、ほとんど話さなかったし、友達もいなかった。

今話してる連中とだってそうだ。…あんな仇名、俺も今日初めて聞いたよ」

「想像できないな…あの綾波さんが?」

「俺にとっては『あの綾波』の変わり様こそ信じられないんだよ。

碇、転校生のお前が、いつ綾波と会ったんだ?」

「う、ぁ、えーっと…第三新東京市に来たばっかの…あ、病院、病院で!」

 

危うく『幽霊』に会った時や、使徒との戦いの事を言いかけて、しどろもどろになるシンジ。

前者は未だに自分でも信じがたいし、後者はNERVの機密絡みだ。

 

リツコやミサトからは、シンジがパイロットである、という事自体は

いずれバレてしまう可能性は高いから聞かれたら無理に隠す必要はないが、

それに付随する武器や能力などのデータは口にしないように言われている。

 

「…来て早々怪我でもしたのか?例のロボット騒ぎで?」

「ロッ…!?あ、あぁ、うん。その、巻き込まれて、

いや、大した怪我じゃなかったけど、検査とか、一応…」

「そっか、災難だったな。あ、俺、次の授業の準備しないと。またな、碇」

 

ひらひらと手を振り、席を離れていくケンスケ。

シンジは彼の背中を見送り…ほっ、と一息つく…

 

 

「碇くーん!アヤナンのお見舞い行ったんだってー!?

なにーどういう関係なの二人ー?カレシなのー?」

「うぇ!?ち、違うよ!そんなんじゃ、ちょっと綾波さん!?」

「ごっめ、しゃべっちゃった♪テヘ☆」

「テヘじゃなくて!」

 

おどけるレイと、その手の話題に興味津々の女子達。

シンジはまた混乱の最中に落とされる。

 

「…俺達の知らない綾波、ロボット、あの慌て方…間違いなさそうだよなぁ…」

 

ケンスケの独白は、教室の喧騒に溶けた。


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