「いやぁ、こんなに食べれるなんて最高だよ」
「太りそう」
「ですね……」
「僕もここにいて良いのかな」
コンパートメントの中には、ハリエットとロンの他にハーマイオニーとネビルが合流していた。
というのも大量購入してしまったカエルチョコの処理のためだった。
兄妹が多くていつもちょっとしか食べれないロンはご満悦だし、別にカロリーを気にしないネビル達は好評だった。
問題は女子二名である、食べなきゃいけないがカロリーがと悩みながら食事中なのだ。
四人が入るには結構狭い場所には所狭しにカエルチョコが入っており、そのうち半分は包装されていない奴だ。
誰かの食べかけとか逃げた奴まで呼び寄せたようで、よくこれだけの量がいたなという驚きを覚える。
ちなみに女子二人はちゃんと商品として箱詰めされたのだけ食べている。
落ちても誰かの食べかけでも気にしない当たり、ロンはしょうがない奴だ。
「そういえば、君達ってマグルの所で生活してたんだろ?マグルの世界ってどんな?」
「全部魔法を使わないで生活してますよ」
「それって何か、原始的?」
食べるのに飽きたのか、ロンが話題を提供する形でマグルのことについて聞いた。
それに答えるにはやはり時間が足りなくなるだろうから、無難に説明したのだがそれは説明不足だったらしい。
結果的に、ロンの中では原始的なイメージが出来たみたいだからだ。
「あら、原始的なんてちょっと想像力が貧弱じゃないかしら?少なくともマグルは魔法を使わないで月まで行ったのよ」
「月まで?嘘だよそんなの」
「ロン、残念ながら本当よ。まぁ、一部嘘だとかアメリカの捏造とも言うけどハーマイオニーの言うとおりアポロ計画というの物があったの」
マジで、と信じられない言った感じでロンは聞き返す。
ネビルはその話を聞いて、マグル学に興味が沸いたのか習ってみようかななんて言っていた。
「マグル学の授業は先生が変だって聞いたぜ。いつもイグアナを連れてるらしい」
「使い魔でしょ、別に魔法使いなら普通なんじゃない?」
「イグアナを使い魔にする人は珍しいよ、普通はふくろうか猫だから」
そうなのか、と魔法使いの常識というのに感心する。
それはハーマイオニーも同じなのか、お互いマグル生まれと呼ばれる立ち位置なのでどれも話が新鮮なのだろう。
実際に話してみれば、お互いに教科書を手に入れて最初にしたことは簡単な魔法の実践だった。
17歳以下は魔法を使うと色々と面倒なのだが、魔法使いの近くでならバレないという抜け穴がある。
私はセブルスの近くでハーマイオニーは案内の魔法使いの近くでやったらしい。
当然、マグル生まれの人がダイアゴン横町に行けるわけ無いから案内がいるのだろう。
「君達、勉強ばかりでレイブンクローがお似合いなんじゃないか?」
「そういうロンは、ハッフルパフね。だって、ずっと食べてるから。寮は厨房の近くだって」
「そ、それはいいね。ぼ、僕はハッフルパフに行きたいから一緒になれるよ」
「えぇー、ハッフルパフは駄目だよ。彼処は落ちこぼれが行く所なんだ」
ロンはそんなことも知らないのと自慢げだったが、私はその言葉に『偏見』を感じて憤りを覚える。
ハーマイオニーは知らないのかという感じにイラッと来ていたみたいだが、意外と負けず嫌いなのだろう。
そんなハーマイオニーは勿論知ってるわと言って、それで貴方は知ってると切り返す。
「ハッフルパフは闇の魔法使いを一番出してないってことよ」
「君、何を怒ってるの?」
「はぁ、貴方ってなんて言うか空気読めないわね」
呆れたとハーマイオニーは言いながら、頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。
ロンもそんな様子にムッとしているが、怒っている相手に何で怒ってるのと原因の人間が聞いたら下手したら逆ギレ案件なのでまだ優しい対応だと私は思う。
そんな場を和ませるように私はハーマイオニーの頬を指で押して一頻り笑ってから話題を変えてみた。
「ホグワーツの寮のことは四つあることぐらいしか知らないのよね。だからロンに教えて欲しいわ」
「まずグリフィンドールは騎士道精神を持っていて勇気溢れるんだ、レイブンクローはガリ勉が多い、スリザリンは悪の道に落ちた魔法使いはみんなそこだ、ハッフルパフは……」
「取りあえず、ロンは偏見が強いって事が分かったわ」
まぁ、これも仕方の無いことなのだろうと一人思う。
魔法使いは魔法が使えない者を無意識に差別しているからだ。
マグルやスクイブに対する本の記述は微妙にそう言った物が根底に窺える。
それは魔女狩りなどの歴史的な要因もあるだろうが、一番は純血主義という思想が原因だろう。
純血主義は魔法使いの中に優劣を考え、それを突き詰めればマグルより魔法使いは素晴らしいという考えに行き着くからだ。
純血主義も求められる時代背景があったに違いないが、今は少し即してない。
一部の過激な思想家が純血主義を理由に犯罪を起こしたのも悪い印象に繋がっているだろう。
例えばグリンデルバルドやヴォルデモートが悪い印象を与えてしまった。
グリンデルバルドはマグルを守る法律が魔法使いを守っていないと思って活動したし、ヴォルデモートはマグルよりも魔法使いは優れているという思想が行き過ぎて、純血は優れていると思って活動してしまったのだ。
「僕が偏見が強いって?そんなことないよ」
「もし私がスリザリンに入ったら性格が悪いって思わない?」
「……思わないよ」
「ハリエット、ロンは嘘吐きよ。私、分かるんだから」
「なんだよ、君は関係ないだろ!」
何かと口喧嘩に発展して、相性が悪いなぁと二人を見て思うのだった。
だが、それぞれに行きたい寮を聞いてみると綺麗に分かれる事が出来た。
私はセブルスと同じスリザリン、ロンは家族がいるグリフィンドール、ネビルは自信がないからハッフルパフで、ハーマイオニーは勉強が好きだからレイブンクローに行きたいらしい。
だが、行きたいとこに行ける訳ではないようだ。
「僕、フレッドとジョージに聞いたけどトロールと戦うらしいよ」
「馬鹿ねロン、それでどうやって適性を見るって言うのよ」
「馬鹿とはなんだ、勇気とか見るんだよ!」
「お生憎様、それじゃあグリフィンドールしか見れません」
まぁまぁ、と二人の口喧嘩を仲裁してネビルとロンには退出して貰った。
というのも、そろそろホグワーツだからローブに着替えるためだ。
着替えながらハーマイオニーとホグワーツがどんなところか話しながら、どこの寮になるんだろうなと考えた。
ホグワーツに着くと、駅構内に巨大な影が見えた。
毛むくじゃらだが人であり、一目見てハグリッドだとピンときた。
大きい毛むくじゃらだというセブルスの言うとおりだ。
「よっく来た、イッチ年生!こっちだぞ!ほらほらぐずぐずせんと、急いだ急いだ。ほら」
「うわーぉ」
「こんばんわ、貴方がハグリッドであってるかしら?フクロウのお礼が言いたいの」
「おぉ、おぉ!やれ嬉しや、お前さんハリーだな!やっと会えて嬉しいぞ、さぁこっちだ。ホグワーツはボートで行くぞ」
ハグリッドに先導されて大きな城にボードで移動する。
すごい、これがホグワーツと驚きながらハグリッドと分かれて中に入る。
中には女の人、変身術のマグゴナガル先生らしき人がいた。
「ようこそ、ホグワーツへ。さて、今からこの扉をくぐり、上級生と合流しますが……その前にまず、皆さんがどの寮に入るか組み分けをします。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリン。学校にいる間は寮があなた方の家です。良い行いをすれば寮の得点となり、規則を破ったりすれば、減点されます。学年末には最高得点の寮に優勝カップが渡されます」
「競い合わせることが目的なんですかね」
「学校は贔屓があるって聞いたわ。だから、個人じゃなくて寮にすることで人間関係や団結力とかに気を使ってるんじゃないのかしら」
そんなことをハーマイオニーと喋りながら時間が来るのを待った。
セブルス「まだかよ」
ダンブルドア「落ち着けよ」
マクゴナガル「そろそろですよ」
セブルス「キター!」
※キャラ崩壊してますが本編とは一切関係ありません。
変更点
ハグリッドとの絡みが減少、ナカヨシではなくシリアイ。
ロン、偏見がちょっとなくなる。
ハーマイオニー、偏見がなくなる。
ネビル、ハッフルパフ以外も進路を考える。