私達は、バックビークを救うところから始めた。
どういう経緯があったのか、この世界のドラコが嫌味な奴でそのせいで処刑される事となったらしい。
「でも、死んだところを見たのでしょ?じゃあ、無理よ」
「いや、そういえば僕達は見ていない」
「そういえば、斧を振り下ろす所しか見てないわ」
と言うことは、私達が助けた場合も可能性としてはあり得るようだった。
可能性があるだけで、事実がどうかはまだ確定していない。
なら、どうとでもなるかもしれない。
ハリーとロンとハーマイオニーが、ハグリッドの小屋の前のかぼちゃ畑にやって来ていた。
そして、私達はターゲットであるバックビークが力なく畑の中で横になっている姿を目撃した。
「誰か来るわ、アレは大臣とダンブルドア、それと……」
「死刑執行人さ。僕達の方を見てニタニタ笑う陰気な奴だ」
「そうなの」
彼ら三人はハグリッドの小屋に向かってきていた。
「バックビークだ……まだ生きてるよ」
「ダンブルドアが言ってたでしょ……うまくいけば罪無き命を救えるって」
「因みに貴方達は未来の自分を過去に見ていない?」
「逆転時計なんて知らなかった、それが答えさ」
「見つからないようにしましょう」
私達がハグリッドの小屋に近づくとハグリッドの声が聞こえた。
「俺がやったとばれりゃダンブルドアに迷惑がかかる。これからお出でなさるのだ……偉大なお方だ」
「やつらが来たよ……急ごう」
「バックビークを逃がす前にファッジに見せなきゃ……ハグリッドが逃がしたと思われたら」
あれ、私いる必要あるのかと話が勝手に進む。
そんな中、 ハグリッドの小屋の中でロンの声が聞こえた。
「スキャバーズ……生きていたのか?」
「取っ捕まえてやる……僕の両親を裏切った奴だよ」
「えっ、殺したのはシリウスブラックでしょ?」
「君は知らないのか、奴がシリウスをハメたんだよ!」
「ハリーだめよ……我慢しなきゃ……今、この時間のハリーはハグリッドの小屋に居るのよ。そこにハリーが飛び込んで行ったらどうなると思う?」
「矛盾が起きるわね、私のように失敗するわ」
コソコソと私達は小屋の近くで会話を盗み聞く。
「ねえ、誰かに謝るべきじゃない」
「今度クルックシャンクスに会ったら謝っとくよ」
「私によ!」
あぁ、世界は違ってもやってることは一緒なんだなと、何だか納得である。
例の三人組がハグリッドの小屋に到着してドアをノックした。
ハグリッドが拙いと思ったのか、裏口から過去のハリー達を追い出した所でハーマイオニーが言った。
「やっと出てきたわ……行くわよ」
「さあバックビーク……僕らと一緒に来るんだ……おいで」
だが、バックビークは何故か嫌がる。
もしやハグリッドに迷惑を掛けたくないが為に死を受け入れているのだろうか。
「どうしよう、このままじゃ」
「私に良い考えがあるわ」
「ハリエット、待って!なんで杖なんか」
「インペリオ、こっちに来なさい」
言うことを聞くように思いを込めて呪文を放った私は、見事にバックビークを誘導することが出来た。
他、二人は何か言いたげだが人間じゃ無いので合法である。
大臣達はいないぞ何処行ったと大慌てで、それに憤慨して執行人が思い切り斧を振り下ろした。
それに伴い鳥たちが飛び立ち、あの時と同じだとハリー達が呟いた。
矛盾が発生しないで、過去が変ったのだろう。
だがダンブルドアの記憶とは違っているかもしれない。
それについて確かめることは、もう無理な話だった。
その後、私達は湖にやって来た。
「ここでママを見たんだ。正体は君だったけどね」
「じゃあ、後で隠れないと私が来ちゃうわ」
「そっか、そういうこともあるのか」
私達は物陰に隠れながらしばらくの間、雑談をした。
シリウスブラックを救うためにはまだ早かったからだ。
「シリウスが僕に言ったんだ。一緒に住まないかって」
「いいじゃない」
「シリウスが自由になれば、もうダーズリーの家に戻らなくてもいいんだ」
「ハリー、戻りたくないの?」
「君は戻りたいのかい?あんな生活真っ平だよ」
「たぶん、認識の齟齬があるわね」
私達はハーマイオニーそっちのけでお互いの違いを話してみた。
ダーズリー家じゃ男と女で境遇が違ったり、初日にやって来たのはセブルスではなくハグリッドだったり、ネビルが勇敢だという話には嘘だと言われたし、私がスリザリンだと言ったらあの時かとハリーは意味深に考えていた。
そして、私は叫びの屋敷での一連のことを聞いたのだった。
「そろそろだわ」
「来た!」
ルーピンが月を見て苦しんだ。
人狼になる、そして襲いかかると私は判断して爆発呪文を唱える。
横ではハーマイオニーが注意を引こうと、雄叫びを上げた。
「何してるんだ!」
「注意を引こうと思って!」
「大丈夫です、あの時もあったわ」
「大丈夫じゃ無い!こっち来た」
ヤバい、と二人が逃走する。
えっ、戦わないのだろうか?
それでもグリフィンドールかよと思ってしまう。
「何してる、早く」
「ステューピファイ!」
「キャイン!?」
飛び掛かってきた瞬間、真顔で私は麻痺呪文を放った。
意外と効いてなかったので、倒れたリーマスに何発か放つ。
「もうやめて、リーマスの意識はもうゼロよ!」
「ビクンビクンしてるだろ!何て過激なんだ」
いつの間にか私をハリーとハーマイオニーが羽交い締めにするまでそれは続いた。
「怖かった……」
「今夜は散々だな……」
「何がって感じだけど、半分は貴方が原因だからね」
「端から見たら僕ってこんな感じなのかな……」
殺してないのに責められるとは解せぬ。
まぁ、私の方は憎しみもあるので仕方ない。
君は綺麗なリーマスしか知らないからね、一回自分の父親の過去を見た方がいいよ。
そして、私達は全ての目的を達した。
ここで、私は彼らとお別れである。
「行かないのかい?」
「何となく、私はシリウスブラックと会わない方がいい気がしたの。どうせ、私はこの世界にいるはずない人間だったから」
「そうか……」
そう言った私をハリーが抱きついてきた。
ハーマイオニーが、まぁと顔を真っ赤にして驚く。
おい、手で目を覆っているようでチラチラ見るなよ。
「あの時はありがとう。妹が出来たら、こんな感じだったのかな」
「ハリー、ハグとか恥ずかしいんだけど……それに助けるのはこれからだし、助けられてる時点で貴方が弟よ」
「いや、いやいやいや」
「納得いかねぇ……」
私達はお互いの額の傷を見ながら、そんなことはあり得ないななんて笑い合う。
だって、私達はお互いとも違った可能性だけど同じ人物だ。
本来、一緒に居るわけが無いのである。
それを証明するかのように、同じ場所に稲妻の傷があった。
「さようなら、元気で」
「君もね」
私は飛び立つ彼らを見送り、そして呪文を使って過去に今の記憶を送りつけた。
ハッと、私はまるで夢を見ていたかのように今までのことを記憶する。
タイムリープによる矛盾の解消と世界の誤認を利用し、セブルスを救う答えは得た。
この記憶は私の妄想かもしれないし、実際にあった出来事かもしれない。
だが、これからの行動次第では実際に起きることは無い。
つまり、全ては妄想へとなるのだ。
私はパパにルーモスを喰らわせて未来へと戻った。
この結果が最適解だったかは見るまで分からなかった、だが正解だったようであった。
「……重い」
「重くない!」
「ハーマイオニー、私が分かるの?」
「貴方、何言ってるの?頭でも打った?」
どうやら私は、セブルスが死ぬ前の時間に来ているようだった。
そして、私はハリーに言われた方法でセブルスを助ける。
話を見守り、セブルスを吹き飛ばし、そして人狼に襲われて、逆転時計は使わなかったので普通に対処して、その途中に一応ピーターペティグリューを逃がした。
こうして、私の長い時間旅行は終わった。
軽はずみにちょっとパパとママの子供の時を見に行こうと時間旅行するんじゃなかったと反省する。
悪い夢というか変な妄想してしまったからだ。
……でももしかしたら、本当に遭った事かもしれない。
それを確認する術を、私は知らない。
ハリー「世界を騙せ、自分を騙せ!それがシュタインズゲートへ到達する条件だ!」
ハーマイオニー「ピーターペティグリューがシリウスブラックをハメる……」
ハリエット「く、腐ってやがる……」
ハーマイオニー「ハリー、我慢しなきゃ」
ハリー「僕はホモじゃない!」
ハリエット「獣だから合法だよ」
ハーマイオニー「脱法マジックだわ!規制するべきだわ!」
ハリー「スリザリン?だから、野蛮なんだな」
ハリエット「HA!NA!SE!」
リーマス「アヒン、アヒン!」
ハリエット「実は会ったら殺した罪悪感で死にたくなる、とは言えない」
※えっ、ルーモスをしたことでハリエットが生まれるならルーモスをしたハリエットはどこから来たのかって?それは鶏が先か卵が先か答えが分かればきっと理解できる。
失禁したリーマスはいない、だって本編と後書きは関係ないからね。
変更点
セブルスに謝る。
シリウスブラックに塩対応。
ダンブルドアが何かしたのか、何故かシリウスブラック逃走。
リーマスルーピンがいなくなり大喜び。
セブルスを慰めるように撫でる、なお本人困惑。
ドラコと仲直り、しかし気まずくて出来ない。