戻って……来た。
「うぅ、ここは……」
そこは鬱蒼と茂る森の中、私はどうやら病室では無くホグワーツの外にいるようだった。
一体、今が何時なのかそれが大事になってくる。
だが、答えは得た。
私は私の記憶をセブルスが死ぬ前に、私が私を止めようと過去に飛ぶ前に送れば全てが解決するはずだ。
「私に任せて逃げるんだ!」
そんな声が聞こえ、何かが唸る音が聞こえた。
音の正体は、森から抜けて少し離れた場所だった。
そこには、人狼となったリーマスルーピンをシリウスブラックが犬になって食い止めている光景だった。
「なにこれ、どうしてどちらも生きているの?」
私の知らない光景、そこに新たな人物が現れる。
それはセブルススネイプ、彼がハーマイオニーとロン、そして見知らぬ少年を庇うように現れたのだ。
「セブルスまで、どうなってるの……」
人狼がセブルスに飛び掛かった。
瞬間、セブルスと人狼の間で小規模な爆発が起きる。
その前に閃光がどこからか飛んできたのが見えたので、恐らく誰かの呪文だ。
その衝撃で注意がそれたことを良いことに、男が杖を手にした。
リーマスの杖を手に取った男、それは小太りな男だ。
だが、その杖は謎の少年が武装解除呪文を当てたことで防がれる。
その事に対して悔しそうに、男はネズミになって逃走した。
……まぁそんなことはどうでもいい。どうして誰も死んでいないの、そんな私は何もミスをしてないはずだ。
なのに、未来が変ったというの?
「アオォォォォォ!」
どこからか、遠吠えが聞こえて人狼がそちらに興味を引かれて移動する。
それを見計らったの謎の少年がシリウスブラックのいた方向に移動を開始した。
分からない、分からないけど恐らくあの少年が謎の鍵を握っている。
私は、彼を追いかけることにした。
暫くした場所、湖の近くで二人の人物がいた。
苦しそうに呼吸する傷付いた様子のシリウスブラックと謎の少年だ。
そして、そんな人物達を囲むように空中から黒い影が降りてくる。
吸魂鬼か、鬱陶しい。
「エクスペクトパトローナム」
私の守護霊が展開される。
奴らが近づいたことで出来た霧を払い、そして光を放ち吸魂鬼達を追い払った。
追い払う途中、少年が私の方を見ながら何かを呟き意識を失う光景を目にするのだった。
倒れた少年とシリウスブラックを見る。
ここでシリウスブラックを殺しておくか、そう思いながら少年を見て固まった。
「パパだこれ!?」
どういうことだ、もしかして着いて来てしまったのだろうか。
まるで意味が分からんぞ。
困惑する私、そんな私の元にまた吸魂鬼が集まってきた。
チッ、また追い払うか。
「そこか、そこにいるのか!」
その声は、ハグリッドの声だった。
このままでは見つかってしまう、そうなるとこの時間の私との矛盾がバレる可能性がある。
そこからダンブルドアが時間を戻る魔法に気付くかもしれない。
いや、そもそも今の時間軸はダンブルドアと敵対する前なのだろうかというのも問題だ。
「今は時間を稼いで、状況を見極めなくては……」
私は二人から離れて、隠れるようにホグワーツに移動した。
スリザリンの談話室に戻り、透明マントを探すも私の私物は悉く消え去っていた。
というか、別の誰かの物が代わりにするように置いてあった。
「どういうことなの、やっぱりおかしいわ」
どうする?恐らくあの少年は病室に運ばれているはずだ。
あの少年から話を聞くか。
私は病室に向かうことにした。
「その砂時計を3回ひっくり返せばよいのじゃ……困った時にはもう一度元に戻ってやり直してみるがいい……幸運を祈る」
病室までの道すがら、私はダンブルドアの声を聞いた。
この会話を私は知らない、やはり違う未来、違う世界に来たと考えるのが妥当だろう。
ダンブルドアが居なくなったのを見計らって、私は病室に入った。
「貴方、誰?」
「ハーマイオニーは私の事が分からないか、なるほど」
「私の事を知ってるの?」
「えぇ、それだけじゃないわ。逆転時計の事も知っている」
その言葉に、ハーマイオニーは驚きの表情を浮かべる。
だが、そんな彼女に構っている暇はない。
私の目的は横の少年だ。
私の顔を見て驚いているこの少年、私の予想が正しければ彼は……。
「初めまして、ハリエットポッターよ」
「ポッター、ポッターだって?そんな筈は無い」
「あり得ないことはあり得ないわ」
私の予想を的中させるように、彼は言った。
「だって、ポッターは僕だけのはずだ。僕に親戚はいない」
「予想通り、貴方は私が男になったときの同一可能性存在たり得るということよ」
何かが噛み合わない結果、私の存在は抹消され男として産まれる未来が形成されたと言うことだろう。
だが、どうして私が存在しているのかは謎だ。
「どういうこと、貴方の言い振りからすると同じ人間って事でしょ?別世界の人間とでも言うつもりかしら」
「そうよ。私は時間を巻き戻る魔法で過去を変えてこの世界に来てしまったのよ」
「あり得ないわよ。だとしたら、貴方という存在は消えるはずよ。タイムパラドックスが起きないなんて」
私が生まれないなら、過去に戻ることはなく、そして世界が変ることは無い。
世界が変らないなら、私は生まれるので過去に戻ることになり、世界は変る。
世界が変るなら、男の私が生まれて、私という存在は生まれない。
この状態は矛盾していると言うわけである。
辻褄合わせに修正力が働いているのだろうと考えられるが、そうなると私がいる必要があるということである。
私という存在を肯定する、私がいないといけない理由がこの世界にあるのだ。
……そう考えると、私が過去に戻りすぎると言うことは記憶を送る手段を考えるために必要なプロセスとも考えられる。
「そうか、君だったんだ。僕はママだと思ってた。でも違った、君が吸魂鬼から助けてくれたんだ」
「そうね、湖で私は守護霊の呪文を使ったわ」
「じゃあ、私達が襲われそうになったときに呪文を放ったのも貴方なのね」
「何の話かしら?」
ハーマイオニーの言葉に首を傾げる。
ハーマイオニーもアレ?と首を傾げた。
「ねぇ、よく分からないけど僕も混ぜてよ。僕、ロンって言うんだ」
「よく分からないならロンは黙ってて」
「分かったよ。ハーマイオニーは神経質だぜ」
「聞こえているわよ!」
あぁ、世界は違えどロンの扱いは変らないのだなという実感をする今日この頃、私はハーマイオニーが疑問を覚えた事を考える。
恐らく、彼女達はあの時の爆発の事を言っているのだろう。
だが、アレは私がやった訳じゃ……いや、本当にそうだろうか。
もし、もし私がやったとしたら、過去に戻っていたとしたら可能だ。
そして、それが必要な事だから私は存在しているのでは無いだろうか。
いや、別に私である必要は無い。
なら他に理由があるのだろうか……そうかそうだったのか。
「私、貴方に聞きたいことがあるの。叫びの屋敷で何があったのか」
「そんなことより、なんとかしないとシリウスが死んでしまう」
「……分かったわ。全てが終わったら話を聞かせて貰うわ」
「僕も、僕が女の子だとどんな生活しているか聞いてみたいよ」
私がハーマイオニーに頷くと、ハーマイオニーは察したのか鎖を首に通して逆転時計を三回ひっくり返した。
そのことになれている私達だが、謎の少年は何が起きているのかは理解している様子では無かった。
「何をしたの、どうなったの?」
「時間を巻き戻したの。逆転時計って言ったじゃ無い」
「君と違って言葉を聞いただけでそれが何か知ってる訳じゃ無いよ」
過去に戻ったのだろう。
それで、何をするのかバックビークがどうのと彼女達は話していた。
「色々と世界が違うから事情も違うみたいね、それについても教えて。そういえば、まだもう一人の私について名前を聞いていなかったわ。まさか、男の子でハリエットじゃないわよね」
「僕、ハリーポッターだ。よろしく」
「えぇ、よろしくね」
そして、私達の過去改変が始まるのだった。
シリウス「オレに任せて先に行け」
ハリー「死亡フラグだよ!」
リーマス「オレ、オマエ、マルカジリ」
セブルス「私が守らねば!」
ハリエット「ホグワーツに潜入した。大佐、指示を頼む」
ハーマイオニー「タイムパラドックスだ!それ以上の干渉はいかん!」
ロン「分かっていたさ、結局こうなるって事をね。フフッ……フフフ」
ハリー「僕の名前はハリーポッターです」
※正直、逆転時計は何でもありになるからJKローリングはやり過ぎたと思っている。
でも新しい新作で使えてるしまぁ、いいのかもしれない。
そんなこんなでネタに走ってるけど、本編と後書きは関係ないです。
変更点
全員生存ルート。
謎の爆発が起きる、一体何エットがやったんだろ?
吸魂鬼追い払われる、ママ!ママなんだね!オマエのような息子がいるか、私はヴァージンだ!
もう一人の僕、シルバーとか付けろよ。逆転時計の鎖を付ける、時間が巻き戻る。
ポッターが二人……だと!?