ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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ホグズミード

気付けば、私はソファーの感触を楽しんでいた。

次に感じたのは薬品の臭い、セブルスの部屋の臭いだとすぐに理解する。

億劫な身体を起き上がらせようと、動かそうとしてふと耳に誰かの言い争う音が聞こえた。

 

「だから吾輩はダンブルドア校長に貴様の教職などあり得ないと進言したのだ」

「お生憎だったな、君の意見は却下されたらしい」

「その結果がこれだ、貴様のようないつ生徒を襲うかも分からない輩のせいで一人の生徒が犠牲になった」

「あれは事故だ、故意にやった訳じゃ無い!」

「学生を恐怖に陥れるつもりはなかったと、結果的にはそうなっていたがな」

 

バン、と大きな音を立ててドアが開かれる。

そのドアをポカンとした顔で見る私、それを開けた二人の人物は驚いた顔で気付く。

最初に動いたのは言い争っていてドアを開けたリーマスだ。

 

「やぁ、ハリエット!気分はどうだい、大丈夫か」

「彼女に触るな、彼女は……スリザリン生だ」

「だからどうした、大切なアイツの娘だ」

「何を言うか!昔からお前は」

「昔の話は関係ないだろ!」

 

近寄るリーマスを牽制するように、彼の服を後ろから引っ張りセブルスが邪魔をする。

振り返っては、再び言い争い、そんな大人達に呆れてしまう。

そして、しばらくして自分が倒れてセブルスの部屋に運ばれたという状況を理解した。

 

「えっと、帰って良いですか?」

「……おい、離さないか」

「ふん」

 

取っ組み合いにまで発展しそうだった二人は私に話し掛けられて佇まいを直し、なかったことにしたらしい。

そして、もう大丈夫なら寮に帰っても良いという話になった。

私がそれを聞いてドアに手を掛けるとリーマスから待ったが掛かる。

 

「ハリエット、君はどうやら吸魂鬼が苦手らしい」

「アレが苦手で無い人間がいるとは思えないがな」

「セブルス、話の腰を折らないで貰おうか。それで、良ければだが対抗策を教えたいと思っているんだ」

 

私はそれを聞き、もしかして守護霊の呪文ですかと聞き返す。

リーマスはその通りだと言い、それを教えたいと言った。

しかし、逡巡させる間もなく横にいたセブルスが前に出る。

 

「それならば、吾輩が教えよう」

「君は忙しいじゃ無いか」

「貴様こそ、慣れない教職だ。譲ったらどうだ?」

「彼女はアイツの娘だ、お前は関係ないだろ」

「彼女は吾輩の寮生だ、お前こそ関係ないだろ」

 

また喧嘩を始める二人に、相性が悪いんだなと何となく思ってしまう。

そして、考えて何年も教職に就いてるセブルスの方が余裕があるからセブルスにしようと思った。

私は二人の意識を此方に向けるために軽く手を叩いた。

 

「あの、私セブルスに教えて貰います」

「な、なんだって!」

「先生はまだ初年度ですし、スリザリン生である私はセブルスの方が移動時間とか楽なんで」

「そんな理由で、でもコイツは」

「そこまでにして貰おうかリーマス、選ばれたのはこの私だ」

「くっ……」

 

なんだろう、二人の関係性がよく分からないのだがお互いを知っている教師同士という感じじゃ無かった。

学生時代何かあったのかもしれないな、そう思いながらその日はセブルスの部屋を後にした。

 

 

 

数日後、みんなが待ちに待ったホグズミードに行ける日。

因みに、私は生憎許可書を貰うのを忘れていたのでいけない。

こんなところでうっかりミスるとは不覚である。

 

「許可書がなければいけません、規則です」

「だが、吾輩がサインすれば」

「セブルス、貴方は保護者ではございません。これは最終決定です」

 

なんとかセブルスが説得を試みたが、まぁ仕方ないことである。

それにしても、セブルスってば生徒思いの良い先生である。

ただ、生徒一人一人に熱意を注いでいたら身体を壊してしまいそうで心配だ。

 

その日の晩、むっすりしながら寮に残って本を読んだり逆転時計をいじくり回していたりしていたら事件が起きた。

グリフィンドールの談話室、太った貴婦人の肖像画が引き裂かれたのだ。

太った貴婦人は、髪の色と同じ真っ黒な男、シリウスブラックがやったのよ!と騒いでいたらしいのだが、髪が黒い奴なんかそこら辺にいるし、どうやって侵入したというのか。

グリフィンドール生はその日、別の部屋で寝ることになったそうだ。

 

「とんだ災難だったわね」

「まったくよ、どうして絵に開けさせるシステムにしたのか合理的じゃ無いわ」

「どうでもいいけど君達、いつ入ったんだい。教室に入ってくるところ見なかったんだけど」

 

久し振りのロンに、私達は怪しまれていた。

それもそのはず、逆転時計で移動したから気付いたらいた状態なのだ。

つまり、ロンがびっくりしても仕方ないのだ。

しかし、ハーマイオニーは不遜な顔で最初から居たけど、アンタ馬鹿ぁと言い放つ。

平然と嘘を吐くとかすごいなハーマイオニー。

 

「やべっ、先生来た」

 

バン、バン、バン、と魔法によって窓が閉まっていく。

上からはスルスルとスクリーンが下りてきて、そこに狼人間のような絵が投影された。

何故か教壇に立ったのはリーマスではなくセブルスだった。

セブルスはムスッとした顔で何故ここにいるかの説明も無く、教科書394ページとだけ呟いた。

 

「えっ?」

「聞こえなかったか、教科書394ページを開け。諸君、動物擬きと人狼の違いは?」

「はい」

 

勢いよく、ハーマイオニーが手を挙げたがセブルスは何かの準備か後ろを向いていたので見えては居ない。

そして聞こえなかったのか、まさかのスルーをして嘆かわしいと残念がる。

いや、ハーマイオニーが分かってたよ。

 

「グリフィンドールは理解を深めるために人狼の見分け方について課題を出す」

「えぇ……」

「ウィーズリーが一枚では足りないようなので、全員、最低三枚はレポートに纏めるようにしよう」

 

お前、ふざけんなとロンがグリフィンドール生から非難を浴びる。

仕方ない、宿題に対して不満を先生の前で抱いたからだ。

 

「先生どうして人狼なんですか、リーマス先生の授業ではまだです」

「今は私が先生だ。カリキュラムは私が決める、分かったら座れグレンジャー」

「さて、動物擬きと人狼の違いは……」

 

そうして、セブルスの代理の授業を受けるのだった。

 

 

 

次の休み、ホグズミードに行きたくなった私は忍びの地図を使った。

アイエー、忍者ナンデーなあの地図である。

それによってホグワーツの抜け道を見つける事が出来た。

凄い、流石忍者である。

いつか、本物の忍者がいるというジャパンに行ってみたいと思う。

透明マントを使ってハニーデュークスの地下室に移動する。

お菓子に囲まれるこの場所は女子に取っての楽園であり、地獄でもある。

取りあえずレジにお金を置いておけば良いだろうと、いくらかおいて商品をくすねて外に出た。

外は雪が降っていて、足跡でバレないか少々不安である。

 

なんとなしに探索していると、ハーマイオニー達がいた。

なんてことだ、あのロンとハーマイオニーが叫びの屋敷という近くまで行ってこわーいとやるカップル御用達のデートスポットにいるではないか。

そういえば、さりげなくボディータッチも多いし、実はそういう仲だったのか。

 

「うん、あれは?」

「おい、ウィーズリー新居でも探してるのか?」

「何の用だマルフォイ」

 

そんなカップル達の邪魔をするかのように、ドラコ達がやってきた。

グラッブとゴイルはブツブツ爆発と呟いている。

と、友達のピンチなんだがいいぞもっとやれという私がいる。

 

「おい、ウィーズリーは礼儀を知らないようだ。やっちまえ」

「イチャイチャしやがって」

「このリア充が」

 

傍観していた私だったが流石にアカンと杖を使って雪玉を操り投擲する。

それは放物線を描き、グラッブに当たった。

 

「だ、誰だ」

「えいっ」

「ぐえっ!?」

 

楽しくなってきた私は杖をブンブン振り回す、するとポンポンポポンと雪玉が大量に飛んでいった。

土砂降りに遭ったように雪玉がドラコ達に当たる。

 

「う、うわぁぁぁぁ」

「待て、おいくそ!」

 

こうして、私の活躍によりドラコ達は去って行った。

もうちょっとやりたかっただけに、残念である。

 

「いるんでしょ、ハリエット」

「いるよー」

「ありがとう、何その顔」

「いや、デートの邪魔したなぁと思って」

 

透明マントから顔だけだし、近づいた私に気付いたハーマイオニーに答える。

だが、ハーマイオニーはべべ別にそんなんじゃないしとバレバレなキョドりっぷりで否定した。

おい、横でロンが雪に沈んでるぞ、凹んだのかお前。

 

「それよりどうやってここに来たの、私気になるわ」

「また私の秘密を教えなきゃいけないのかー」

「さぁ、吐きなさい。隠し事はなしよ」

 

うなだれる私を引きずるハーマイオニーは元気溌剌としていた。

 




リーマス「そんなぁー」
セブルス「うしっ!」
セブルス「やだやだ、ハリエットと行きたい」
マクゴナガル「またお前か」
ロン「ありのまま(ry」
ドラコ「馬鹿な、先を越されただと……」

※後書きと本編は関係ないよ、あけましておめでとう。
皆さんの協力により、誤字脱字システムによってこの小説は校閲されながら出来てます。
ありがとうございます。

変更点
セブルスと秘密の放課後授業フラグが建つ。
ロン、女子と二人で歩いていた事から噂が立つ。
ハーマイオニー、しのびの地図を認知する。

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