ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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決闘クラブ

私が偉大な魔法使いになるための第一歩として継承者を捕まえなくてはいけないと思い至った。

至極危険な行為だが、リスクを犯さずして得られる物は少ない。

それに、これ以上誰かの犠牲を出すことのないように急がないといけない。

 

「あっ……」

 

決意した日、ばったり寮でドラコと会ってしまった。

クラッブとゴイルは何を考えているのか分からない顔で此方を見ている。

何よ、何か話したいことでもあるのかしら?

 

「そ、そういえば決闘クラブがあるらしい。良かったら、どうだい?」

「……遠慮しておくわ」

「そ、そうか」

 

何だか気まずくて、話は終わりだと言わんばかりの態度で拒絶する。

それに、今はやることがあるからそんな遊びに付き合っていられない。

 

「じゃあ、そういうことだから」

「あっ、待ってくれ!」

 

擦れ違う間際、ドラコが私の腕を掴んだ。

結果、私は転びそうになりながら制止する。

それが妙に恥ずかしくて、ちょっと棘のある声で何と睨み付けながら答えた。

ドラコはそんな私の様子に気圧されながら、怖ず怖ずと言葉を口にする。

 

「父上の話では『秘密の部屋』が開かれたのは50年前だって……開けた者の名はいえないが、追放されたらしい。前に『秘密の部屋』が開かれた時には穢れた血が一人死んだ」

「だから?次はお前だって言いたいわけ?」

「ち、違っ!そんなこと言ってないだろ!」

「どうでも良い事よ。貴方が穢れた血なんて言葉を使った時点で、聞く意味を感じないわ。二度と、私の前で口を開かないで頂戴、離して」

「待て、ハリー!」

「私はハリエットよ!気安く呼ばないで!」

 

無理矢理ドラコの腕を振りほどき、出来るだけ早足でその場を立ち去る。

私のことを実はハリーなんて呼んでいたことは無視してだ。

そういえば、その言葉で思い出したがあの屋敷しもべ妖精はどうしたのだろう。

ドラコの家は秘密の部屋について知っているのなら、アレも知っているはずだ。

アレはたぶん汽車に乗せないように邪魔した犯人だろう。

その犯人が、何もせずに終わりなはずがない。

 

私は急に浮かんだ考えを元に、ある女子トイレに向かった。

そこは人気が全くない場所、嘆きのマートルと呼ばれるゴーストがいる所だ。

 

「あら、ハリエットじゃない?また、私に魔法でも掛ける気かしら?」

「ご機嫌ようマートル、ちょっと一人にしてくれる?」

「勿論よ。また石にされて、ゴーストにも魔法が効くのねなんて素っ頓狂な反応見たくないからね!」

 

そう言ってマートルが勢いよく便座の中へと頭から突っ込んでいく。

瞬間、便座の中の水が盛大に吹き飛んだ。

どうでもいいが、ゴーストなのに物理干渉とかあるのだろうか。

頭から水を被った状態で、私はマートルにまた呪いを掛ける事を密かに誓うのだった。

 

まぁ、そんな訳でマートルがいなくなった女子トイレで、私はドビーを呼んでみた。

呼んで出てきたら苦労しないんだろうなとか思ったのだが、目の前に一瞬で姿あらわししたかのようにドビーは現れた。

 

「やっぱり、私のことを監視してたのね」

「言うことをお聞きになるべきだったのです。汽車に乗り遅れた時に、お戻りになるべきだったのです」

「貴方の気持ちには感謝してるわ。でも、私は怪物と継承者を見つけないといけない」

「それは、ダメでございます!お考え直しを、どうか、どうか」

「過去に秘密の部屋が開けられた事は知ったわ。そして、誰かが死んだこともよ。これ以上、継承者の好きにはさせない」

 

私は縋り付くドビーを抱き起こし、目線を合わせてお願いする。

何か知っていることを教えてくれるようにと、お願いしたのだ。

 

「日記でございます。大事な日記、お預かりしていた日記」

「日記?」

「そうでございます。ウィーズリーを使って、御主人様は……これ以上は言えません」

「十分よ」

 

本当に十分であった。

その日記をドラコの父親が普通に渡せる訳がない。

じゃあどうやって、ウィーズリーの誰かに渡したのか。

恐らくはあの時、本屋だったのではないだろうか。

ドラコに渡していないということは、何らかの呪いの掛かった道具なのかもしれない。

ウィーズリーを使って、つまり洗脳や誘導する道具か。

いつ、ウィーズリー家とドラコの父親が関わったかと言えば本屋くらいだ。

ロンかフレッドとジョージかそれとも妹ちゃんか、少なくともグリフィンドールの中に日記があるはずだ。

 

そうと分かった私は、ハーマイオニーの協力を得るためにグリフィンドール生の元に向かった。

多くの生徒が決闘クラブに行っているため、接触は容易い。

だが、うまく行かないのも事実であった。

 

「おや、おやおや、ヒーローのお出ましです。主役は最後にやって来ると言いますが遅刻ですよ、ハリエット・ポッター!」

「……ギルデロイ・ロックハート」

 

こっそり移動していたにも関わらず、私が入室するや否や大きな声で名前を呼びやがったのだ。

周りは私から距離を取り、まるで私を中心にクレーターが出来たような隙間の出来具合だった。

そんな中でギルデロイロックハートの拍手だけが空しく響く。

 

「では、彼女の相手を誰かに頼みましょう!そうですね、ミスグレンジャーどうですかね?」

「願ってもありません」

「それは僥倖。ささ、此方に来て遠慮なさらず」

「ちょ、引っ張らないで下さい。行きます、行けば良いんでしょ」

「早く、ミスグレンジャーは準備万端なんですよ」

 

何故か勝手に私も参加する流れにさせられて、困惑せざるを得なかった。

ただ、ハーマイオニーと話をしたかっただけなのに何故戦っているのだろうか。

まぁいい、ここは適当にやって本題に入ろう。

お互いに御辞儀をして、そして杖を構える。

 

「サーペンソーティア」

「ッ!ヴィペラ・イヴァネスカ」

「タラントアレグラ」

「サルビオ ヘクシア!エクスペリアームス!」

「ッ!まだ習ってない呪文を」

 

牽制として、先に私が動いた。

杖先からいつもの蛇を呼び出してハーマイオニーに飛びつかせたのだ。

しかし、ハーマイオニーはノータイムで空中にいた蛇に反対呪文を浴びせて蛇を消し去る。

仕方ないので、次の笑い続ける呪文を唱えるが、それを読んでかハーマイオニーは呪文を逸らさせ、そして予想外にも習ってもいない武装解除呪文を私にぶつけてきた。

それによって私の杖は飛んでいき、これ以上の戦闘を続けられなくなる。

 

「ブラボー、ブラボー!さぁ、みんな拍手して。生徒にしては中々な戦いでした、スリザリンとグリフィンドールに5点あげましょう。さぁ、握手して」

 

悔しいが、負けてしまったのは実力差だから仕方ない。

素直に私は認めて、ハーマイオニーと握手する。

その際、何故かハーマイオニーがハグを求めてきた。

 

「ちょ!?」

「良い勝負だったわ」

「痛っ、なんか髪に引っ掛かった」

「ご、ごめんなさい」

 

慌てて謝るハーマイオニー、アクセサリーでも引っ掛かったのかと頭を摩りながら思う。

それにしても、講習の面前でハグとか恥ずかしいです。

あぁ、やめて!セブルス、そんな生暖かい視線を向けないで、あぁもう!

 

「それよりハーマイオニー、話したいことがあるの」

「ごめん。最近忙しくて、時間がないの」

「えっ、ちょっとだけなんだけど」

「ほんの一ヶ月ほどのことだから、今度にしてくれない?」

「あぁ、うん……わかった」

 

あ、あれ?私達友達だよね、と思わず確認したい衝動に駆られながらハーマイオニーと一緒に壇上を下りる。

ハーマイオニーはそのまま祝福するグリフィンドール生の方に行き、私はヒソヒソと遠巻きに会話するスリザリン生の輪に、入ろうとして避けられる。

な、なんだこの差は!負けたから、負けたからなのか!

 

「あぁ、ナイスファイト?」

「うるさい!ドラコの馬鹿!」

「ハ、ハリエット!」

 

今だけは、ドラコの優しさが辛かった。

くそ、これも全部継承者の野郎がいけないんだ。

 




ドラコ「な、何してるんだ僕ぅぅぅぅ!」
クラッブ「爆発しねぇかな」
ゴイル「爆発しねぇかな」
マートル「便座にシュゥゥゥーッ!超エキサイティン!」
ドビー「呼ばれて飛び出て屋敷妖精のドビーでございますっ!」
ハーマイオニー「ドヤァ」
ハリエット「くっ、殺せ!」
セブルス「百合は良い物だ」

※マートルの行為はよい子は真似しないで下さい。本編とは関係ないです。

変更点
パーセルマウスバレ、知ってた。
日記がヤバいことが判明。
グリフィンドールが怪しいことが判明。
ドビーに聞く、たぶんコレが一番早いと思います。
ハーマイオニー、別の相手と決闘する。





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