ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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秘密の部屋と怪物

呼び出された校長室で、私は待たされることとなった。

校長室には鳥がおり、それ以外は本や肖像画がたくさんある。

そういえば、セブルスの所で見たなと思うような盆みたいな物もあった。

それにしても……この鳥、さっきから過呼吸だけど大丈夫かしら。

 

「そろそろ、貴方も帰してあげなきゃね」

『全くだ』

「コヒュー、コヒュー、うっ……」

 

えっ、と変な音を聞いて鳥を見る。

そこにはぐったりと息絶えた鳥の姿があった。

 

「えっ、ちょ、だ、大丈夫!?」

『し、死んでる!?』

「し、心臓マッサージ!」

 

急いでぐったりとした鳥の胸を叩きまくる。

今の私はパニックで、何も考えていない。

そんなタイミングで、先生達が来てしまった。

 

「儂を信じるのじゃセブルス」

「ですから校長、納得が」

「そこで何をしておる!」

 

大きな声に、私はビクッとしながらゆっくりと先生の方を向く。

私の姿を見たダンブルドアとセブルスが口をあんぐり開けている。

それもそのはず、今の状態はぐったりした先生の使い魔らしき鳥の首根っこを掴んで涙目な私が立っているからだ。

 

「ち、違うの!ご、誤解よ!私が来る前に死んでいたのよ!」

「落ち着くのじゃ、まずゆっくりと置くのじゃ」

「本当です先生、私は悪くない」

「分かっておる、分かっておるから早く置くのじゃ」

 

無言でコクコク頷いて、可哀想な亡骸をそっと元の場所に置く。

首元でゴクリと蛇が生唾を飲み込む音が聞こえたがそっと離れた。

これ以上事態が悪化しないためだ。

しかし、そんな願いを断ち切るように目の前で鳥の亡骸が自然発火した。

 

「わひゃあ!?」

「大丈夫じゃ、それは不死鳥でなそろそろだったのじゃよ。このところしょぼくれていたのでな。ちょうど燃焼日に当たったのう」

「不死鳥、それって私の杖の」

「フォークスは死ぬ時が来ると炎となって燃え、そしてまた灰の中からよみがえるのじゃ」

 

死ぬ時って言うより、死んでいたような気もしたのだが深くは追求することはしなかった。

私は促されるように席に座らせられる。

これから何をされるのか、少し不安を抱きつつ横に丁度立っていたセブルスのローブを引っ張って聞いてみる。

 

「不本意ながら、君の記憶を見せて貰う」

「記憶を?」

「そうだ。吾輩は納得はしていないが、校長は君の見た物が見たいそうだ」

 

失礼と言いながら、ダンブルドア校長が私のこめかみに杖を当てる。

その際、ゆっくりとだが銀色の糸のような物が抜けていった。

アレは、セブルスも抜いていた奴だ。

 

「これは憂いの篩と言って、まぁ論より証拠じゃ」

「ロンより証拠?」

 

溶けるように銀色の糸は盆の中で見えなくなる。

そして、その盆を覗くように言われて指示に従うと世界が墨汁を垂らしたように変容した。

どこかに吸い込まれ、水彩画のような光景が目の前に広がり、そして色付いた世界に変ったのだ。

 

「これは、私の記憶?」

 

それはちょうど、私が必要の部屋でカボチャにレーザーを当てているところから、ミセスノリスを見つけた所までだった。

不思議な光景は、一瞬で終わりを告げそして気付けば私は席に戻っていた。

 

「ちょっと、変な気分だわ」

「ハリエット、いったい今のはなんだ?」

「……えへっ」

 

笑って誤魔化してみるが、しかしセブルスは私の肩の上に手を置いて追求の手を緩めない。

なんでセブルスが納得してなかったか分かったわ、すごくプライバシーに侵害してるもの。

 

「儂も知らない部屋じゃ。ホグワーツは真に不思議なことが多くある。そう、例えば秘密の部屋の存在などじゃ」

「その、先生。秘密の部屋って何ですか?」

「秘密の部屋については秘密じゃ、しかし蛇か……もしや」

 

何やら私の質問に答える気はなく、思考の海に航海へと向かったダンブルドアから視線をセブルスに移す。

セブルスは数秒の沈黙の後に、嫌そうな顔でちゃんと教えてくれた。

 

「秘密の部屋とは、サラザールスリザリンが残したとされる部屋だ」

「それって、あのスリザリン?」

「奴は秘密の部屋に怪物を閉じ込めている。そして、秘密の部屋を開いた者は継承者として彼の意思を継ぐ」

「彼の意思?」

「……粛清だ。痛ましいことに、かつて一度開かれ、そして一人の女子生徒が被害にあった」

 

その怪物は蛇語を解する存在であるかもしれんが、とセブルスは締めくくる。

それよりもだ、とそう言って私の顔を両手で挟んで無理矢理視線を合わせた。

ヤバい、これってもしかしなくても開心術を使おうとしてるのかしら?

 

「もしやと思うが闇の魔術を行っていたのではないだろうな?」

「……してない」

「何故目を逸らす、それは疚しいことがあるからじゃないのか?」

「……セブルスは私のこと、信じてくれないの?」

「くっ、しかし……だが……」

 

よし勝った、と開心術を使われる前に手を振り払う。

どうやら杞憂だったようで、普通に説教するために頭を固定しただけのようだった。

それにしても、ダンブルドアはうわの空だしセブルスも何か唸ってるし、私は帰って良いのだろうか。

 

「よし、帰るか」

「待て、まだ吾輩の話は」

「おやすみセブルス」

「うむ、おやすみ……いや、待て!吾輩の話は終わってないぞ」

 

背後でセブルスが騒いでいたが、今日は疲れたので蛇を帰してそのまま寮に帰って寝た。

翌日、朝から騒ぐパンジーに呪いを掛けてから起床して、授業を受けて昼休みに入るなり真っ先に図書室に入った。

入った瞬間、静かにするようにまだ騒いでないのに注意されたがそれよりも好奇心が優先だ。

 

「あった、ホグワーツの歴史に書いてあるわ」

 

サラザールスリザリン、秘密の部屋、そして継承者とはなんなのか。

サラザール・スリザリンはホグワーツに入る生徒をより選別すべきだと考えた。

魔法教育は純粋に魔法族の家系にのみ与えるべきだと、でも他の3人が反対したので彼は学校を去り、スリザリンは城に隠された部屋を作った。部屋には怪物がおり、怪物は秘密の部屋を開いた継承者に従う。

箇条書きになるが、要点を纏めるとこのような事が書いてあった。

 

「やっぱり秘密の部屋は実在して、そして怪物は蛇語を使うのね」

 

そして、私はパーセルマウスだから喋られる。

しかし、石化をすることが出来る怪物なんてのは限られてくる。

メドゥーサ、コカトリス、バジリスク、多くのメジャーなのはここら辺だ。

そして、蛇語を使うとしたらコカトリスは除かれる。

 

「血文字、つまり手がある……ということはメドューサが怪物の正体?」

 

しかし、コカトリス以外は伝説の生物だ。

バジリスクなんて、今じゃ現存するかも分かっていない。

メドューサも神話の怪物だし、いるかどうかも怪しい。

 

「いや、よく思い出せば。血の臭いに引き寄せられてた。つまり、それは怪物が起こした訳ではない」

 

寧ろ、血文字の臭いに釣られたということは怪物が血文字を書いてないのかも知れない。

継承者となった者が血文字を書いた。そして、そいつが石化したのだ。

つまり、怪物は石化することが出来るタイプじゃない可能性もある。

 

「候補者は三年生以上、いや優秀なら二年生もありうるのか」

 

二年生の場合、私かハーマイオニーくらいだが……ないな。

グリフィンドールかスリザリンかで言えば、穢れた血を気にするなんてスリザリンが一番……あれ?

ここに来て、私は恐ろしい事実に気付いた。

もし似たような思考をする者がいた場合、私が最も疑わしいのではないだろうか。

 

「いや、まだパーセルマウスだと……しまった!?昨日、普通に喋ってた!首に巻いてたのと喋ってた!」

「んんっ!図書室では?」

「すいません先生」

 

怒られて図書室を追い出され、更なる事実に気付いた。

私、ダンブルドアに呼ばれてるよ。

理由は第一発見者だったからだが、誤解されかねないのではないだろうか?

いや、怪物が蛇語を使うってバレた訳じゃないし大丈夫大丈夫。

 

「あら、貴方も来ていたの?」

「げっ、ハーマイオニー」

「酷い反応だわ」

 

自分を弁護していると、図書室に入ろうと廊下を歩いていたハーマイオニーと会ってしまった。

恐らく、彼女も秘密の部屋か怪物に付いて調べるために来たんだろうと当たりを付ける。

だって、マグル出身だし……私は半分だけだがハーマイオニーの場合、私より狙われやすい分だけ不安だろうからね。

 

「あまり一人で歩かない方が良いわよ」

「えっ、なんで?」

「あら知らないの?ハリエット、貴方が継承者じゃないかって噂になってるのよ。だってパーセルマウスで、しかもスリザリンで、更に例のあの人を倒したのよ。それに廊下で人に呪いを掛けるし、ダンブルドアに呼ばれてる。後は――むぎゅ」

「もういい、聞きたくない」

 

話したがりなハーマイオニーの口を無理矢理に手で塞ぎながら私は凹んだ。

終わった、私ってば終わった。

 

「畜生、これも継承者が悪いんだ。誰だよ、スリザリン生?」

 

こうなったら私が継承者を捕まえて、コイツが犯人ですとみんなに言うしかない。

というか、もし継承者が見つからないと私が継承者って事で、人でも死んだら真っ先に疑われる。

その日、私は継承者を捕まえると決心したのだった。

そして、その日の晩に第二の犠牲者が出た。

それはコリンクリービーという、私に写真を取らせてくれと言った少年である。

 




不死鳥「逝く、逝く逝く、逝っちゃう!」
ハリエット「コイツ、死んでる!?」
ダンブルドア「犯人、アイツだろ」
セブルス「風呂場だったらどうするの!納得いきませんよ」
ハリエット「早く言えよ!ドッキリかよ!」
ダンブルドア「火傷しなくて良かった、セブルス煩いし」
ダンブルドア「憂いの……説明ダルイ」
セブルス「闇の魔術、リリー、うぅ頭が……」

※後書きは事実ではありません。本編との因果関係は科学的に証明されてません。

変更点
ダンブルドアの疑いにより憂いの篩が使われる。
秘密の部屋を探して、必要の部屋が見つかる。
ダンブルドアがバジリスクの正体に気付きかける。
ドジによりパーセルマウスがバレる。
ダンブルドアにより生徒に疑われる。
コリンにより、すごく疑われる。
スリザリンだから、信憑性が高くて疑われる。
パンジーのせいで、ヤバい奴だと思われてる。
ハリエット迷推理によりバジリスクに辿り着き掛けるが別方向に予想する。
スリザリンにすら継承者と疑われていた。

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