Fate/VR   作:ヴィヴィオ

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第13話

 

 

 

 衛宮士郎に訓練を付けて貰う約束をしたが、時刻が時刻なので今日は無しになった。そういう訳で、俺とかなで、士郎とで料理をする事になった。俺達が教えて貰う側だけどな。子供達は楽しそうにお喋りしている。正確にはジャックとジャンヌちゃんが話し、美遊が話しを聞いている。

 

「さて、二人の技術を見せて貰ったが、多少は出来るようだな。では、ここからが本番だ」

 

 用意された素材を切ったり、下準備をしたのだ。これから、衛宮士郎の技術を教えて貰う。缶詰を利用した簡単レシピも教えて貰い、大量に用意していく。俺達はメモをしつつ、しっかりと教えて貰った。

 

 

 大量の料理がテーブルの上に所狭しと置かれている。どの料理も美味しそうで、心なしかかなでもそわそわしている。俺達は全員、席についていただきますと言ってから食べだす。

 

「どうだ?」

「おいしいよ~」

「美味しいです」

「ん」

 

 ジャック、ジャンヌちゃん、かなでは好評のようだ。確かに美味しい。流石はお母さんと呼ばれるだけある。

 

「口に合ったようでなによりだ。遠慮なく食べてくれ。後でその分だけ働いて貰うからな」

「少なくとも食料調達はさせてくれ。そうじゃないと食費がな……」

「そうだな……」

「?」

 

 二人でかなでを見ると、美味しそうに食べている。俺達の視線を感じて首を傾げている。

 

「ほら、これも美味いぞ」

 

 肉団子を掴んで、かなでに差し出すとぱくっと食べる。

 

「どうだ?」

「……美味しい……」

「あっ、ずる~いっ!」

「ずるいです……いえ、なんでもないです……」

「ほら、二人共あ~ん」

 

 同じように差し出すと、口を開けてきたので肉団子を入れてあげると美味しそうに食べる。ジャンヌちゃんも顔を赤らめながら食べた。

 

「あっ、そうだ。美遊もあ~ん」

「え? えっと……」

「食べないの?」

 

 ジャックが美遊に肉団子を差し出す。美遊はどうしていいのか分からないようだ。ジャックは悲しそうにしている。

 

「美遊」

「う、うん……あっ、あ~ん」

 

 士郎が言うと、美遊は口を開けてジャックのを受け入れた。

 

「美味しいでしょ」

「う、うん」

「ジャンヌもはい!」

「私もですか? あ~ん。美味しいですね。お返しです」

「えへへ」

 

 あちらは仲良く食べさせっこしている。美遊も何度も食べさせて貰っている間に食べさせるようになってきて、仲良く笑いあった。ジャックがいい感じに間を取り持って、距離を詰めているようだ。

 

「やはり、友達は必要だな」

「それはそうだろうな」

 

 食事をしながら、俺も士郎と友好を深めていく。

 

 

 

 

 食事を終えた後、お風呂を借りた。その後、俺達は布団を持って美遊の案内で廊下を歩いていく。月の光が風呂上がりの美遊達を美しく綺麗に見せてくる。

 

「ここがお貸しする蔵です」

「おっきいね!」

「硬くて頑丈そうです」

「おっきくて太い?」

 

 確かに蔵は大きくて太い。エロく聞こえるのは俺が穢れているからだな。

 

「鍵はこれです。内側からは閉められないので、別の錠前で閉めてください」

「わかった。ありがとう」

「いえ、それでは……」

 

 美遊が開けようとするので、俺が扉を掴んで開ける。ジャック達サーヴァントならともかく、普通の小さな女の子にはきついだろうしな。

 

「ありがとうございます」

「こちらこそだな」

「探検だ~!」

 

 ジャックが早速中に入っていく。しかし、回りは暗いままだ。

 

「電気は……?」

「えっと、ここです」

 

 美遊がスイッチを押してくれると、光が灯って蔵の中が照らされる。そこはFateの原作で、衛宮士郎がランサーに襲われる中、セイバーであるアルトリア・ペンドラゴンを召喚した場所だ。ファンにとっては聖地と言える場所。かなでが居るのだから、セイバーごっことかもありかも知れない。まあ、かなでは知らないのだが。

 

「少し埃っぽいわね」

「ごめんなさい。少し前に掃除したからいけるかと思ったんだけど……」

「俺は構わないが、女の子達は今日はそっちで泊まらせてくれないか?」

「うん。じゃあ、私の部屋で……でも、桜坂さんはいいんですか?」

「ああ。流石に美遊ちゃんが居る母屋で寝るのは不味いからな。怖いお兄ちゃんに怒られるだろうからな」

「っ」

 

 美遊の顔が赤くなった。どっちの意味でかはわからない。というか、やっぱり耳年増だな。

 

「それと掃除機とか借りられるか?」

「それなら、こっちです。私も手伝います」

「ありがとう。だけど、もう暗いから明日からでいいぞ。今日は寝床に使えるくらい掃除するだけだしな」

「わかりました」

 

 美遊に掃除機を借りて、軽く掃除をしてから眠りにつく。女の子達は楽しくお喋りしながらパジャマパーティーという事になっているだろう。俺は寂しく一人だ。布団を敷いて、枕を置く。すると隣にもう一つ枕が置かれた。隣を見ると枕を置いてポンポンと叩いているかなでが居た。何故かパジャマではなくブルマの体操服だった。

 

「あの、かなでさん? なんでここに?」

「? 妻だから、夫と一緒に居る。変?」

「いや、そんな事はないが……で、その恰好は?」

「? コウが好きだと思ったから……違った?」

「いや、違わない。でも、皆の所に居なくていいの?」

「平気。だって、一緒がいいから。それに一人は寂しいから」

「わかった。確かにそうだな」

 

 無表情で可愛らしい事を言ってくれるかなでを抱きしめて、一緒にベッドに入る。そのままキスをして、かなでの身体を触っていく。

 

 

 

 

 翌日、目が覚めると何故か一緒に寝ていた人数が増えていた。それは着ぐるみパジャマの三人だ。俺の上で寝ていた。

 

「おい、朝だぞ……それと美遊を知らないか……」

「あっ」

 

 蔵の扉が開けられると、そこには士郎がいた。

 

「……ごゆっくり」

 

 そして、そのまま扉を閉めていく。

 

「待った!?」

「助けないぞ。後が怖いからな」

 

 そう言ってさっさと出て行きやがった。確かに動けないので助けてほしかった。

 

「えへへ、おかーさん~」

「トナカイさん~」

 

 寝ぼけて二人が俺の身体にキスをしてくる。かなでは俺の腕をまくらにして眠っている。その後、しばらくして起きてきた皆と一緒に食事を行う事にした。ちなみに何時入って来たのかはわからないが、美遊は俺を見るなり顔を赤くしてそっぽを向いている。そのくせ、ちらちらと見て来ては頭をふって想像を追い出している。

 

 

 

 


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