ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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エリザベートとヨハンナが話し合うだけの幕間です。


幕間──とあるパブにて

ホグズミード村の一角にあるパブ、『ホッグズ・ヘッド』。そこは、秘密の話をするには最適な場所である──ただし、誰かに聞かれる可能性も高いのだが。

その日の客のうち二人──エリザベート・クリミアとヨハンナ・ファウストはパブの二階の部屋を店主から借り、酒を飲みながら愚痴を言い合っていた。だいたいは仕事に関係することではあるが、極々稀に機密事項が混ざるので、メフィストフェレスによる結界付きで。

 

「最近、新しい古龍(エンシェント・ドラゴン)見つかったって聞いたけど」

 

「そうなのよねー。しかも、そのうちの一体の居場所がとても面倒な場所で……聞く?」

 

「聞かせろよ、エリザベート。もしかしたら儲け話になるかもしれないからな」

 

「強さ的には古龍種の中でも最下層──それこそ、普通のドラゴンに毛が生えた程度か、もしくは普通のドラゴンやヌンドゥにも倒されるようなほど弱いんだけど……住処が、遺跡の最奥なの。南米の密林地帯には覚醒寄生種ババラント、ハワイ島の火山には覚醒火炎獣マグドフレイモス、ロシアのバイカル湖の底に覚醒多触類オクタイール、サハラ砂漠には蘇生古代獣ハーラ・ジガント、ロシアの雪山に覚醒大氷塊フリザーニャ、時を超えた場所にある神殿には覚醒甲殻眼シェルドゴーマ、天空には覚醒炎翼竜ナルドブレア。古龍認定された理由は、住処の遺跡が『勇者たる者』ぐらいにしか入らない場所だから」

 

「へぇ、なるほど……って、おい待て、南米って言ったか?」

 

「言ったわよ。蜘蛛のお膝元ね」

 

「あー、そりゃ厄介だな……あの水晶蜘蛛(ORT)のところか。魔法生物規制管理委員会も大変だな。暗殺王の廟を探してる私のとことどっちが大変だろうな」

 

「そりゃあんたのとこに決まってるでしょ」

 

笑い合う二人。酒が進めば話も進み、そして、今回の話し合いの中心となる、とある話がヨハンナの口から飛び出してきた。

 

「なぁ、なんでリアスにあんな能力(動物に好かれるチカラ)が宿ったんだと思う?」

 

「どうしたの、急に。私としては気にしてないけど」

 

「いや、結構大切なことなんだよ。だって──リアスの出生に関わる話だからな」

 

「──どういうこと?」

 

蛇語使い(パーセルマウス)や七変化と言った能力は、先天的に持ってる者と後天的に手にした者がいる。後者の方は努力と才能がモノを言うが──前者の方は隔世遺伝だろう。例えば、先祖がそういった研究をしていただとか──前世が、その能力を持っていた、だとかな。リアスは動物の言葉がわかり、彼らに好かれる。人望もまあまあある。そういった存在が──はるか昔に、生きていたとしたら?」

 

「──まさか、リアスがその人の生まれ変わりとでも?」

 

「まだ確証はないけどな。つい先日、こういった遺物を見つけてな──読んでみろよ。そりゃあ、メフィストフェレスも気にいる訳だ」

 

「──さっすがうちの娘!面白いわね!」

 

「──ああ、うん。知ってたよ。お前がそういう奴だってことは。全く、あの回帰の獣が動き始めてるって噂話もあるのに。そっちはどうするんだ?」

 

「え?どうせリアスがテイムするでしょ?」

 

「あながち冗談だと言い切れねぇんだよなぁ」

 

 

こうして夜は更けていく。更に多くの災厄の種を撒きながら。たった一人の少女を中心として、全ては動いていく。




ババラント、マグドフレイモス、オクタイール、ハーラ・ジガント、フリザーニャ、ナルドブレア
一応古龍種。ただしこの世界基準だと弱い。詳細を知りたい人は『トワイライトプリンセス』で検索すれば出てくるはず。

水晶蜘蛛
なんのひねりも無くあの水晶蜘蛛。この世界では古龍種と扱われる。眠っているが、この先どうなることやら。

回帰の獣
正体と行き先はお分かりですよね?

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