ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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ハリー祝勝会

後片付けや水中人の女首領マーカスとの打ち合わせとかを終えて寮に帰ると、談話室ではハリーのお祝いパーティが行われようとしているところだった。

 

「おう、お帰り、リアス!」

 

「今回出番なかったけどなー」

 

「いやいや、出番あったら大変なことになってるからな?そこんところちゃんとわかってるよなフレッジョ」

 

「「わかってるさ、リー!」」

 

相変わらずのフレッジョを尻目に、机の上に乗せられている金の卵を見る。マーカスたちが込めた音までは知らないけれど、多分、開けたら、普通の人にはすごくうるさく聞こえるはず。

 

「よーし、ハリー!卵開けろよ!」

 

「おお、そうだな。中身はなんだ?」

 

「ちょっと、二人とも!ハリーは一人でヒントを見つけることになってるのよ。試合のルールでそう決まってるのよ?」

 

フレッジョとハーマイオニーが卵のことで言い争う。私は中立。なるようになれ。だって、卵を開けようと開けないでいようと、何も教えるつもりはないからね。

結局、卵は開けられることになった。

 

「それじゃ、開けるよ」

 

ハリーが卵の周りについてる溝に爪を立ててこじ開ける。その中身は空っぽだったけど──代わりに、大きなキーキー声が──聴こえる人にとってはとても綺麗な歌声が──部屋中に響き渡った。

 

『捜しにおいで 声を頼りに

地上じゃ歌は 歌えない

探しながらも 考えよう

我らが捕らえ──』

 

「それを黙らせろ!」

 

バチンと音がして、卵が閉じられる。残念、もうちょっと聞きたかったのに。

閉じられたから最初に口を開いたのは、シェーマス・フィネガンだった。

 

「今のは何だ?バンシー妖怪の声みたいだったけど……」

 

「だ、誰かが拷問を受けてる声に聞こえた!」

 

「いやいや、あれはパーシーの歌声だぜ。それも、風呂の時に歌ってる声にな」

 

「そうだな。奴がシャワーを浴びてる時に襲わないといけないんじゃないか?」

 

シェーマスに続いて、ネビルとジョージ、フレッドが思い思いの意見を口にする。そして、一通り話終わったところで案の定あたしの方に目を向けた。

 

「そうだ、リアスはこの声について知ってるよな?こっそりと教えてくれないか?ハリーやハーマイオニー、ロニーには絶対に教えないからさ」

 

ジョージの問いに、あたしは首を横に振ることで答える。

 

「そうかい。そりゃ残念」

 

フレッドがヘラリと笑う。そのタイミングで、クリームサンド・ビスケットを食べてたネビルが大きなカナリアに変身した。

 

「おっと、忠告するのを忘れてた。それじゃ、また明日」

 

あたしは一人奥へと進み、フレッジョが発明したカナリア・クリームの宣伝を聞きながら寮室へと戻った。ダンスパーティの相手を誰にするかを頭から締め出して。


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