ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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第一の課題:【ハリー・ポッター】

ハリーがゆっくりと囲い地の中に入って、ホーンテールと向かい合う。テントで見た時は緊張してるみたいだったけど、今は……笑ってる?

ハリーが杖を上げ、何かの呪文を叫ぶ。しかし、光線が出ることもなければ岩が変身することもない。一体、どんな呪文を……?

ほんの少しの後、何かが──一本の箒が囲い地に飛び込んできた。ハリーの箒、ファイアボルト(特製版)だ。ハリーはファイアボルトに飛び乗ると、一気に飛び上がった。ホーンテールはハリーをじーっと見つめている。

ハリーはホーンテールの周りをぐるぐると飛びながら時折吐き出される炎を避けている。あ、尻尾の棘が肩にかすった。

作戦を変えたのか、ハリーはゆっくりと上昇していく。ドラゴンはそれを追うように首を伸ばし、とうとう立ち上がった。

次の瞬間、ハリーの姿が消えて、金の卵を抱えた彼がスタンドの上を飛んで行くのが見えた。

さて、仕事の時間だー!

 

「【ほら、落ち着いて。もう卵を狙ってる人は居ないから】」

 

苛立っているホーンテールにそんな言葉をかけながら引っ張って行く。しばらくして、ようやく彼女は落ち着いた。

医務室へと連れていかれたハリーが戻ってきた。ハーマイオニーとロンも一緒だ。よかった、仲直りしたようだ。

あたしは点数には興味がないから、そのまま城に向かった。例え誰が優勝しても、うちの子たちが活躍できればそれで良いからね。

 

「少しばかり、お願いがあるんじゃがのう」

 

後ろから声がかけられる。振り向くと、ダンブルドア校長先生が立って居た。

 

「えーと、何ですか?」

 

「第二、第三の課題の前に、代表選手全員に対して、魔法生物に関する講習をしてもらいたくてのう。ハグリッドでも良いんじゃが、彼は自分の趣味に走りそうな気がするし、それにハリーを贔屓するじゃろう。例え、カルカロフやマダム・マクシームが自らの学校の生徒を贔屓したとしても、わしだけは公平であらねばなるまい。故に、結果に興味を持たず、魔法生物に詳しい君が適任なのじゃ。頼めるかのう?」

 

朗らかに笑いながら、校長先生は言う。断る理由も無いし、あたしは承諾した。

 

「よかった、よかった。日にちは第三の課題の少し前じゃ。ああ、それと、湖の方は順調かのう?二月の二十四日の午前九時半から、第二の課題は開始されるのじゃが」

 

「順調ですよ」

 

マーカスとの交渉も進んでるし、うちの子たちへの説明も終わっている。あとは、どこにどの子を配置するかぐらいだ。

 

「もう一つだけ。クリスマスにはダンスパーティを開催するんじゃが、代表選手とそのパートナーには一番最初に踊ってもらうことになっておる。そして、その中には君も含まれておるから、早めにパートナーを見つけておくように」

 

「えっ」

 

校長先生は爆弾発言を残して去って行った。……ドレスってこのためか。それと、パートナーになってくれそうな相手が居ないんだけど……どうしよう。


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