ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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第一の課題:【セドリック・ディゴリー】【フラー・デラクール】【ビクトール・クラム】

セドリックは囲い地にあった岩をレトリバーに変身させてショート-スナウトを挑発した。多分、レトリバーの方をスナウトに追いかけさせる気なんだろう。目論見通り、スウェーデン・ショート-スナウトは犬の方を追いかけ始めた。その隙をついて、セドリックは卵に近づいていった。

けれど、途中でぐるりと、スナウトの首が回ってセドリックの方を向いた。彼女の気が変わったようだ。

 

「うわっ!」

 

セドリックは慌てて退却して、次の瞬間には、セドリックの立っていた位置に鮮やかなブルーの炎が浴びせられた。その場にあった岩は、炎が消えた時には溶けてなくなっていた。

あ、レトリバーがショート-スナウトに噛み付いた。スナウトが追いかける対象がまたレトリバーに変わって、卵の見張りがおろそかになる。

そして、セドリックが卵を取った。ここまで、約十五分ほど。

観客席からは歓声が聞こえて、あたしはショート-スナウトを抑えるために囲い地の中に入った。あ、彼女案外物分かりが良い。

 

 

 

あたしがスナウトを別の場所に移動させている間に点数発表は終わって、セドリックが囲い地から出てきた。少し、火傷をしている。

次はフラーだね。相手はウェールズ・グリーン普通種。ドラゴンの中では最も扱いやすい種類。

フラーが囲い地に入ってくる。試合開始だ。

彼女は杖を上げて、何か呪文を唱えた。すると、途端にドラゴンがふらふらになって、少し気持ちよさそうにしている。どんな魔法を使ったんだろう。

もう少しで卵を取れる、といったところで、ドラゴンの鼻から細い炎が吐き出された。その炎は伸び、フラーのスカートに燃え移る。そして、観客席の一部からはセドリックの時よりも大きい歓声が。

 

「〈水よ(アグアメンティ)〉!」

 

水増し呪文でスカートの火を消火するフラーと、少し興奮度合いが下がった観客席。一体何を期待してたのやら。

ようやく、フラーは金の卵を手に入れた。ここまで十分ほど。

あたしはすぐに、ドラゴンに近づいて引っ張っていった。うーん、これは……魅惑呪文ってやつかな?ヴィーラの血が混じってるのなら、ヴィーラの特性に近い魔法は使いやすいだろうね。

 

 

 

次は、中国火の玉種とビクトール・クラム。

彼が入ってくると、すぐに火の玉種は鼻からキノコのような炎を出して威嚇する。それに、あれは獲物を狙う目だね。火の玉種って、豚とヒトを好んで食べるから。

火の玉種がゆっくりとクラムに近づいていく。当のクラムは落ち着いて杖を取り出し、ドラゴンの眼球に呪文を当てた──〈結膜炎の呪い〉だ。

火の玉種は突然の痛みに暴れまわり、卵の半分が粉々になった。よかった、無精卵で。

ドラゴンが卵から離れ、ドスンと倒れ臥す。そして、クラムは悠々と金の卵を持ち上げた。

火の玉種の移動はチャーリーに任せよう。あたしだと持ち上げられない。

次はハリーだけど……相手は、普通のドラゴンと定義される種の中で最も危険なドラゴン、ハンガリー・ホーンテール。ハリーはどうやって、ホーンテールを出し抜くのかな?


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