ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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うーむ、吸魂鬼の方の更新が一ヶ月以上前……さっさと更新しなければ……


第一の課題:金の卵を奪え【開始】

日曜、月曜が飛ぶように過ぎ(月曜の夜にはハリーとハーマイオニーが〈呼び寄せ呪文〉の練習をしていた)、試合当日の午前中もいつのまにか終わっていた。

昼食の時にマクゴナガル先生がハリーを迎えに来て、一緒に競技場へ向かうことになった。万が一の時のために、あたしにはすぐに選手の救援に行ける位置に居て欲しいそうだ。

あたしはハリーと共に選手控え室の役割を持ったテントの中に入る。みんなの目が一斉にこちらを向いた。

 

「おお、来たかハリー!それにリアスも……ああ、彼女については一応、保健のようなものだ。万が一の時──決してそんな時が来ないように祈りはするし努力はするが──その時に、君たちをすぐに助けられるように、ここに来てもらった。競技中は選手出入口付近で待機してもらうことになる」

 

バグマンさんはそう言うと、紫の絹の袋を取り出した。中には小さな、これから直面するものの模型──つまり、ドラゴンの模型が入っているそうだ。その取り出した種類とご対面ってことかな?

 

「そして、諸君の課題は、金の卵を取ることだ!」

 

卵?……もしかして、ホーンテールに卵を抱えさせた理由ってこれが理由?

一度テントの外に出てチャーリーの元へ向かう。どうしても一つ確認したいから。

 

「うん?どうしたんだい?」

 

「一つだけ聞かせて。ドラゴンの卵、無精卵だよね?」

 

「ああ……なるほど。リアスはドラゴンが暴れたりして、卵が割れてしまうことを危惧してるんだね。大丈夫、無精卵しかないことはちゃんと確認してる。有精卵が混じっている可能性は、万に一つも無い。割れずに残った卵は……そうだな、僕らで日本の卵かけご飯とやらにでもしようと思ってる」

 

「……よかった」

 

もし、生まれてくるはずの命を奪ってしまう結果になったらって、心配してた。チャーリーはドラゴンの専門家で、ドラゴンに関しての知識や見分けなら、あたしよりもずっと上だ。

あたしは胸をなでおろしながら、テントに戻った。ちょうど、バグマンさんが紫の絹の袋の口を開けるところだった。

 

「レディ・ファーストだ」

 

フラーに袋が差し出される。震える手で彼女が選び取ったのは、ウェールズ・グリーン種。首の周りには「2」の数字がついている。

クラムは中国火の玉種を取り出して、ドラゴンの首の周りには「3」と書かれていた。

セドリックは「1」の札がついたスウェーデン・ショート-スナウト種。だとするとハリーは……とても、運が無い。「4」の番号をつけた、ハンガリー・ホーンテール。ドラゴンの中でも最も凶暴な種類。

 

「さあ、これでよし!諸君は、それぞれが出会うドラゴンを引き出した。番号はドラゴンと対決する順番だ。よろしいかな?

さて、私はもう行かねばならん。解説者なんでね。ちなみに、実況にはホグワーツのクィディッチ試合を実況している、リー・ジョーダン君を招いているよ。ディゴリー君、君が一番だ。ホイッスルが聞こえたら、まっすぐ囲い地へ向かいたまえ。ああ、リアスはすぐに選手の入場口へ向かってくれ。さて……ハリー、ちょっと話があるんだが、いいかね?外で?」

 

「えーと……はい」

 

バグマンさんとハリーが外へ出る。あたしはそれに続いてテントを出て、囲い地へ向かった。ハリーとバグマンさんの近くを通ったけど、何を話してるのかは聞こえなかった。あ、ホイッスル鳴った。

 

「おっとまずい。急いで行かなければ」

 

バグマンさんが小走りであたしを追い抜く。あたしが囲い地の柵の切れ目にたどり着いた時には、バグマンさんはマイクパフォーマンスを始めていた。

 

「紳士淑女のみなさん、少年少女諸君。さて、これから始まるのは──最も偉大で──最も素晴らしい──しかも二つとない──一大試合、三校対抗試合。さあ、ホグワーツ校の生徒たち、声援をどうぞ」

 

大きな声援が上がる。

 

「さあ、ダームストラング校も」

 

また大きな声援。

 

「そして、ボーバトンの生徒たちも」

 

今度は、どことなく弱々しい声援だった。

 

「フランス校はちょっと元気がないですね。

──さて、もうそろそろ始まるわけですが、選手たちをご紹介しましょう。三つの学校から選ばれた、代表選手たちを!

ダームストラング代表、なんたる眉毛、なんたる歩き方、なんたる少年でしょう。箒を持てば自由自在の、ビクトール・クレイジー・クラム!

ボーバトン・アカデミーからは──おお、なんと、マドモアゼル・フラー・デラクール!

そしてホグワーツからは、一人ではなく、二人の生徒です。誰もがメロメロになる、セクシー・セドリック・ディゴリー!

そしてもう一人──みなさんにとっては、ご存知の『生き残った男の子』。私にとっては、小さい時から次々と我々を驚かす男の子……はりきり・ハリー・ポッターです!」

 

バグマンさんが一人ずつ名前を呼ぶたびに割れんばかりの声援が上がる。けれど、ハリーに向けられた声援は、セドリックのよりもやや少なかった。

 

「さあそれでは、第一の課題が始まります。金の卵を取る。しかも、ドラゴンの巣から!──安心してください、他の卵は無精卵です。ドラゴンを引き連れるのは、チャーリー・ウィーズリー」

 

またも声援。バグマンさんは口が上手いようだ。

 

「そして特別顧問、ホグワーツ校からの我々の協力者、リアス・クリミア。彼女にかかれば、ドラゴンどころかマンティコアでさえおとなしくなるでしょう!」

 

やめて、持ち上げないで。恥ずかしくなるから。

足音が聞こえたので後ろを振り向く。そこには、青い顔をしたセドリックが立っていた。うん、頑張れ。




呪いの子のセリフも、ほんの少しだけ混じります。

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