吸魂鬼の方は三月中には投稿する予定です。
「ああ、来たな!代表選手の四番目、それに我々の協力者!さあ、お入り、二人とも」
バグマンさんに促されて、あたしたちは彼に近づく。
「これから行うのは『杖調べ』の儀式だ。一応、ミス・クリミアも受けてもらう。杖が万全の機能を備えているかどうか調べるんだ。上で、ダンブルドアと専門家が話しているよ。それから、ちょっと写真を撮ることになってる。こちらはリータ・スキーターさん。『日刊予言者新聞』の記者だ。短い記事を書いて貰う予定でね……」
「ルード、そんなに短くはないかもね」
リータ・スキーターの目はハリーに向けられている。確かこの人は、新聞で魔法省をこき下ろしていた人だっけ。なんと言うか、気に入らない。
「儀式が始まる前に、ハリーとちょっとお話していいかしら?だって、最年少の代表選手ざんしょ……ちょっと味付けにね?」
……嫌な予感がするけど、何かやったら矛先がこっちに向きそうな気がする。ごめん、ハリー。ちょっと見捨てさせてもらうね。
スキーターはハリーを連れて部屋を出て行った。
少ししてカルカロフ校長、マダム・マクシーム、クラウチさんがやって来て、ビードロカバーのかかった机に座った。あたしはその少し横だ。
さらに少しして、ダンブルドア校長がオリバンダーさんを連れてやって来た。部屋の中を見渡すと首を傾げて、部屋を出て行った。そして、ハリーとスキーターを連れて戻って来た。
「では、オリバンダーさんをご紹介しましょうかの?試合に先立ち、みなの杖がよい状態かどうかを調べ、確認してくださるのじゃ」
校長先生に呼ばれて、オリバンダーさんが部屋の中央に進みでる。
「マドモアゼル・デラクール。まずあなたから、こちらに来てくださらんか?」
フラー・デラクールが立ち上がり、老人に杖を手渡す。
「ふむ、ふむ……二十四センチ、しなり難い……使われている木は紫檀じゃ……芯には……おお、なんと……」
「ヴィーラの髪の毛でーす。わたーしのおばーさまのものでーす」
「ほう、わし自身はヴィーラの髪を使用したことはないが──わしの見るところによると、少々気まぐれな杖になるようじゃ……しかし、人それぞれじゃし、あなたに合っておるなら……〈
杖先に咲いた花を摘み取ったオリバンダーさんは、杖と一緒に花をフラーに手渡した。
「では、次はディゴリーさんじゃ」
セドリックが杖を渡し、オリバンダーさんはその杖を検分していく。
「この杖はわしの作った物じゃな?よく覚えておるよ。際立って美しい牡の一角獣の尻尾の毛が一本入っておる……身の丈百六十センチはあったのう。尻尾の毛を抜いた時に、危うく角で突き刺されるところじゃった。三十センチでトリネコ材、心地良くしなる。上々じゃ。魔法もちゃんと使える」
オリバンダーさんが杖を振ると、銀色の煙の輪が次々と部屋に放たれた。
次はビクトール・クラムだ。無愛想に杖を突き出した。
「フーム、わしの目に狂いがなければ、グレゴロビッチの作かのう。優れた杖職人じゃ。ただ、製作様式などはわしとは合わんかったが。……クマシデにドラゴンの心臓の琴線かな?」
クラムが頷く。当たっているようだ。
「あまり例のない太さじゃ……かなり頑丈、二十六センチ……〈
銃を撃つような音がして、杖から小鳥が数羽出てくる。オリバンダーさんは杖をクラムに返して、代わりにハリーの杖を受け取った。その途端、彼の目が急に輝いた。
「そうじゃ、よく覚えておるよ。この杖はわしにとって印象深い杖の一本じゃ……もう一本も、この部屋の中にありますがな」
ハリーの杖って、特別な杖なのかな。例えば、ビードルの物語の、『ニワトコの杖』みたいに。もう一本の杖は……まさか、あたしの杖?
オリバンダーさんはそれまでよりもずっと長い時間をかけて、ハリーの杖を調べた。最後に杖からワインを出して、杖はハリーに返却された。
「では、最後にクリミアさん、よろしいかな?」
あたしは立ち上がって、杖をオリバンダーさんに渡す。彼の目はハリーの時みたいに輝いている。
「この杖もよぉく覚えているとも。なんとも言い難い特別な杖じゃ……二十五センチの檜の杖。頑固な杖じゃ……〈
オリバンダーさんは杖をくまなく調べると、自らの腕に魔法でロープを巻きつけた。近くにロープを巻きつけてもいい物が見当たらなかったようだ。
「結構。この杖は万全じゃ。大切にしなされ」
杖を返してもらい、席に戻る。ダンブルドア校長先生が授業に戻る──には時間が遅いから、夕食に行って良いと言ったけど、その前に写真撮影が行われることになった。審査員と代表選手全員、それに個人写真。とっても緊張したし疲れたよ……部屋に戻ったらもふもふに癒してもらおう。
リアスの杖
檜に海獣クリードの骨、二十五センチ、頑固で何かを呼び出す呪文が得意