ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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話し合い

「まず一つ聞かさせてもらうがね、ダンブルドア。こんなにも小さな子が我々と行動を共にしても平気なのかね?危険性は?そもそも、ホグワーツの代表選手に情報を流さないと言う保証がない」

 

一番最初に発言したのは、カルカロフ校長だった。あたしがこの話いるのがふさわしくないと言っている。

 

「カルカロフ、この子はわたーしのウーマ……アブラクサンを簡単に手懐けまーした。それに、あしもとで寝てるのはあのシュヴォルフでーすよ?この子の魔法生物に対すーる能力は、誰にーも劣りまーせん」

 

カルカロフ校長に対して反論したのはマダム・マクシーム。気性が荒いアブラクサンを扱ったことで、あたしを信用してくれたようだ。

 

「ですが、なにーか隠してるでーしょう?見せてくださーいますか?」

 

残念、追求されないわけじゃないのか。

あたしは立ち上がり、端っこの方で杖を取り出して魔法を使った。

 

「〈おいで、コアトル(インヴォーカレ・コアトル)〉!」

 

蛇の胴体を持つ、有翼の魔法生物、コアトル。その正体はオカミーと言う魔法生物だ。M.O.M.分類XXXXなので、だいぶ危険な生物。

 

「ほう、オカミーを手懐けるか。噂によると、バジリスクやヌンドゥまで飼育するとのことだが?」

 

「呼びましょうか、ムーディ先生?」

 

「……大惨事になるからやめろ。たとえお前にその気がなかろうと死ぬことになるかもしれん」

 

唖然とするみなさま(ムーディ先生以外のホグワーツ教師陣を除く)を放って、コアトルに広間を一周させる。

 

「【おかえり。今度はもっと飛ばしてあげるからね】。〈ありがとう(レパトリエーション)〉」

 

コアトルを家に帰してから、もう一度席につく。

 

「さて、ミス・クリミアの実力はわかっていただけたじゃろう。あの者を除いて、わしが最も敵に回したくない一人は彼女じゃ。ゆめゆめ忘れることのないようにお願いしたい。彼女の家族──母親であるエリザベート、そして魔法生物たち──を理不尽に傷つけることは、ミス・クリミアの怒りを買うことと同義じゃ。わしは、怒りを買った者の結末をよう知っておる。

では、第一競技の話し合いじゃ。第一の課題は卵取りじゃったな?」

 

「ああ、その通りだ!」

 

校長先生の言葉に、バグマンさんが頷く。たしか、ドラゴンだったよね?ウェールズ・グリーン種にスウェーデン・ショート-スナウト、中国火の玉(チャイニーズ・ファイアボール)種に保険としてのハンガリー・ホーンテール。

 

「幸いなことに、四頭全てのドラゴンが、宝石竜ではないと確定した。エメラルドの竜には誰も当たらない」

 

クラウチさんが補足する。よかった、怪我人が出る確率がぐんと減った。

 

「ドラゴンが守る金の卵を取りに行く競技だったか。安全対策は万全なんでしょうな?」

 

「大丈夫じゃよ、カルカロフ校長。優秀なドラゴンキーパーたちに、ミス・クリミアも加わってくれるからのう。危険な時は──えー、なんと言ったかのう──そうじゃ、レフェリーストップをかければ良いじゃろう?」

 

「そんーなに上手くいくのですーか?」

 

「大丈夫ですよ、マダム・マクシーム。ミス・クリミアにはバジリスクやヌンドゥを飼いならした実績がありますし、ルーマニアからの連絡で、幼少の頃に宝石竜──それも、一番プライドの高いエメラルドの竜の背中に乗って空を飛んだとの話も聞いています」

 

「第一の課題においては、リアスは安全対策に回ってもらおうと思っておる。第二課題、宝探しについての話をせんかのう?」

 

第二課題。この課題から、あたしの本当の仕事が始まる。

 

「第二の課題は、水中で『大切なもの』を一時間以内に取り返すことだ。まず最初に、湖に住む水中人(マーピープル)たちに協力を取り付けなければならないが……ミス・クリミア。君に、障害物含め、全権を委任したいと思っているのだが」

 

……はい?今バグマンさん何て言った?

 

「あの、もう一度おっしゃっていただけますか?」

 

「君に第二課題の全てを任せたい。もちろん、ミネルバと私が補佐につこう。さて、これで第二課題についての議論は終了でいいかな?最も重要な第三の課題だ!」

 

ろくな話し合いをせずに第二課題の全権を任されちゃったんだけど。先生たちも納得してるみたいだし。こんな小娘にどうしろと?

 

「第三の課題は迷路。第一、第二課題の合計得点が優秀な者から迷路の中に入っていく。魔法の罠はムーディに、魔法植物の罠はスプラウト先生に、魔法生物の罠はハグリッドとミス・リアスに任せたい。良い人選だとは思わんかね、ダンブルドア?」

 

「そうじゃな、ルード。さて、リアス。第三の課題に関して一つ、言わせてもらいたいことがあるのじゃ。迷路設置前にも言わせてもらうがのう」

 

「は、はい。なんでしょう?」

 

「自重はせんでよい。君が投入できる最大量の魔法生物たちをお願いしたいのじゃ──君の家族たちを、思いっきり、暴れさせてあげたいとは思わんかね?」

 

あたしは、頷くしかなかった──ダンブルドア校長の提案が魅力的すぎて。合法的にみんなの力をほぼ最大限引き出してあげれるなら、あたしに拒否する理由はない!

 

「優勝杯の設置はムーディ先生に任せよう。では、話し合いを終わりにしようかの。みな、明日以降に備えて存分に寝てくだされ」

 

席を立ち、広間からあたしは出ていく。その途中で、こんな喋り声が聞こえた気がした。

 

「……全然喋ってない気がするんだがな、マダム・マクシーム」

 

「わたーしもでーす、カルカロフ」

 

……気にしないようにしよう。




なんとなく思いついた日本魔法界について
杖よりも呪符や魔法具が発展している。神職の使う祓い串は杖の名残り。杖を使う魔法使いたちもいる。
昔に、魔法使いと陰陽師などの祓屋たちに別れた。時々対立することがあるらしい。妖怪は魔法生物の一部と認識されている。時々、魔法生物ではない妖怪も見つかる(ガシャドクロなど)。

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