ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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新しいオリキャラ(若干パロキャラ気味)が出ます!会話文がカタカナ混じりで若干読みにくいかもですが、そこを含めての新キャラなのでご勘弁を。

そういえば、夜の騎士(ナイト)バスって英語版だとknight Bus(騎士バス)で、本来は『夜の』は必要ないそうですね。昼間にも走行してるそうですし。


新しい家族

駅には誰も迎えに来てくれなかったので、夜の騎士(ナイト)バスを利用して家まで帰った。代金は十一シックル。

久々の我が家だ。そういえば、この前のピーター引き渡しの時になんでママは居たんだろう。そう思いながら、あたしは玄関を開けて中に──

 

「お帰りなサイまセ、お嬢様」

 

──バタン、と、玄関を閉めた。一度離れて確認してみる。うん、あたしの家だ。あたしたちの家だ。よし、さっきのメイドさんらしき人はただの幻覚だろう。そう思いもう一度扉を開けると──

 

「先程はどウなされたノデスか、お嬢様」

 

──わーい、幻覚じゃなかったー。

現実逃避しつつ扉を閉める。うん、誰だ今の。銀髪のメイドさんが居たんだけど。お嬢様って呼んで来たんだけど。どうしよう、思考が追いつかない。

 

「どうしたのよ、さっさと入りなさいな」

 

玄関を開けてママが出てくる。今のあたしにとっては救いだ。

家に入るとやっぱりメイドさんが居た。ほんとに誰なんだこの人。

 

「雇ったのよ、メイド」

 

「いや、うちにそんなお金ないよね?そしてあまり意味ないよね?」

 

「給料ナラ必要ありまセン、お嬢様」

 

ママへのツッコミのすぐあとにメイドさんから給料要らない宣言。謎は深まるばかりだ。

 

「ピーターが見つかった時にダンブルドアのとこに私が居た理由はこの子が関係してるのよ。ルルイエのこと覚えてる?」

 

あたしは頷く。一年生の頃にママが調べてた海底遺跡で、神話生物の宝庫。神話生物たちは見つからなかったそうだけど、どうしたのだろう。

 

「何とかして結界をこじ開けて裏側に侵入することができてね。深き者共がわんさかと。……大半が深ーい眠りについてたけどね、封印という名の。で、その報告に行ってたわけ。わかったことは少なくてね。ほんの少しだけクトゥルフの確認もしたけど、アレを起こそうとするのは無謀だわ。関わっちゃいけない、手を出したら破滅する。そんな予感ばかりしてね。唯一裏側から持ち帰れたのがこの子。数億年間封印されてたショゴスよ。名前はサクヤ。名付けたのは私」

 

「初めマシテ、お嬢様。サクヤと申しマス。こレからよろシくお願いいたシマす」

 

銀髪メイドさん改めサクヤが頭を下げる。なるほど、ショゴス(奉仕種族)だったのか。ならメイドにも納得──できないや。

 

「ショゴスって『テケリ・リ』としか発音できないんじゃなかったっけ?それと人語理解できたっけ?完全に姿安定させることってできたっけ?」

 

「その前に一つ。クラッカーって魔法生物知ってるよね?」

 

「もちろん」

 

クラッカー。M.O.M.分類XX(XXXXX)の細菌のような生き物で他の生物に取り付いて(便宜上『感染』と呼んだりもする)共生する。ちゃんと意識を持って居て、共生した生物と会話可能、さらに博識。魔法が効かず透過する、魔法で作られた物に触れるとソレが粉になって崩れる、魔法がかかった物品は効果がなくなる、変身したのは変身が解ける。つまり魔法使い殺しレベルだけど単体ではそれほど脅威でもない、どこにでも居る生き物。人間やM.O.M.分類の高い生物には感染しにくいそうだけど。

 

「なんと数億年前にも存在していたそうで、サクヤちゃんにも感染してるのよ。数億年の間に完全に同化しちゃったみたいだけど」

 

……え、本当ですかお母様?

 

「本当よ我が娘。しかもこの子、ショゴス・ロード並みに知識持ってるし、クラッカーの魔法無効化能力の範囲を弱める──つまり、魔法物品に触っても崩れたりしないようになってるの。で、私を主人(マスター)として認識したみたいだから連れて帰ってきたの」

 

「なるほど……つまりママが色々とおかしいと。あ、この紅茶美味しい」

 

「それは酷くない?その紅茶はサクヤちゃんが淹れたのよ」

 

いつのまにかサクヤが淹れてくれてた紅茶を飲みながら話を続ける。ワールドカップのチケットはちゃんと手に入れたそうだ。

 

「豪華ってわけじゃないんだけどねー。貴賓席のチケットなんだけどさ」

 

「いや、豪華すぎるでしょ。どうしたのよソレ」

 

「ルードには感謝してるわ」

 

どうやら、ルードという人を何かしらの方法で脅して手に入れたようだ。さすがママ。

 

「そう言えば、神秘部って何してるの?」

 

「今更?」

 

「今更」

 

神秘部って、何をしてるのかよくわからないのよね。ルルイエの調査してたと思ったら黒い森に行ってたりするし。

 

「元々は生命や運命について研究してた部門なの。時間、予言、生、死。ある意味では範囲の狭い、人間に関わってくる神秘ね。でもある時から神秘の範囲を拡大させたのよ。伝承や伝説、言い伝えとかにもね。例えば、初代オリバンダー……よりもさらに昔にもオリバンダーが居たらしいんだけど、裏切りの魔女、メディアに杖を売ってるって記録があったのよ。それに、古代には神が本当に地上に降りてきて居たってことも判明してる。その証拠がナスカの地上絵。

あと、歴史的な史跡の調査もしてるわね。大昔の魔術痕やら魔法的トラップとかが仕掛けられてたりして、闇払いじゃ手に負えないから神秘部に回ってきたり。さらに、大英博物館とかに展示されてるロゼッタストーンに隠された魔法の調査や初期の英国国旗を媒介とした大魔法の再現、キャメロットやアヴァロンの捜索、エクスカリバーが返還された湖の捜索、初代山の翁についての調査だとか色々とね」

 

なるほど、つまりわからないことがあれば神秘部に回せば良いと認識されてるようだ。

さて、聞きたいことも聞いたしさっさと宿題を終わらせてみんなと遊びますかね。あ、新しい教科書とかも買わなくちゃか。

 

「それは私ガ行キますのでご安心ヲ」

 

サクヤは有能だった。




クラッカー
M.O.M.分類XX(XXXXX)
大体は本文に書いた通り。取り付く理由は生命維持で、宿主が死ぬまで出て行くことはない。宿主の種にもよるが、宿主を介しての会話も可能。宿主が死んだ時に体外に出て、その近くで最も(種としての)知能が高い生物に取り付く。周りに生物が居なかったときは死滅する。
取り付いてから二十年ほどで一度分裂し、その後は十年ごとに倍々に増えて行く。
(XXXXX)の理由は、取り付いた種によっては甚大な被害をもたらすため。以前、魔法に弱いが強力で広範囲の攻撃方法を持つ種に取り付き、剣や槍、弓などの武器を持ち出してようやく討伐することができたことがある。
白煙さんのアイデアです。ありがとうございました!

ショゴス
M.O.M.分類不明
不定形の奉仕種族。簡単に言えばメイドスライム。

サクヤ
この度クリミア家に雇われたショゴスのメイド。クラッカーに取り付かれているが完全に同化している。趣味はお世話で恋人は仕事と言ってのける。家事などに関しては万能。本人曰く、「完璧デ瀟洒なメイドを目指シてる」とのこと。セリフはカタカナ混じりになる。
出展:東方Projectの十六夜咲夜
あくまでも咲夜さんの皮を被ったオリキャラですので。

神秘部の仕事
原作よりも手広くなりました。オリバンダーの記録については、代々のオリバンダーが死ぬ間際に、誰にどの杖を売ったと書き残すという設定を創作。
英国国旗の大魔法→とある魔術の禁書目録に出てきた〈連合の意義(ユニオンジャック)〉ですね。この世界においては『全国民に宿る魔力を再分配し、発動中はマグルでも魔法が扱える』という代物。使用後は魔法省が後始末で押しつぶされる模様。格好いいんですよね、あのセリフ。「さあ、群雄割拠たる国民総選挙の始まりだ!!」一度言ってみたい。キャラに言わせてみたい。

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