高校二年生の皆さん、夜はチャレンジセンターですね。頑張ってください。
「──なんと、そんなことが……」
十数分後、校長室。あたしたちはダンブルドア校長、マクゴナガル先生、スネイプ先生、ファッジ大臣と向き合っていた。椅子にどっしりと構えてるシリウスにおどおどとしているピーター。それと……
「ここも変わりませんねぇ、校長?」
「君ものう、エリザ」
なぜかいるママ。ケラケラと笑いながら校長室を物色してる。
「いやー、本当にピーターが生きてたなんてね。驚いたわ。不健康そうだけど。リーマスは失神してるけど、ここで教鞭をとってるし、セブルスもいるし、あの頃の悪戯好きども大集合ってところ?ジェームズとリリーいないけれど」
「君たちには本当に手を焼かされたのう。何回『百味ビーンズゲロ味詰め』を送ってきたのやら」
「少なくとも五回。多くて百は超えたかな?」
楽しそうに言い合ってるママと校長先生。ママは学生時代ほんとにどんな生徒だったのよ……。
「真実薬で裏も取れたことですし、シリウス・ブラックに対する容疑はこれで晴れたでしょう。問題は、ピーターをどうするかです。コーネリウス、私はこのまま吸魂鬼に引き渡してもいいと思うのですが」
「落ち着け、ミネルバ。ピーター・ペティグリューは裁判にかける。よくてアズカバン、悪くて極刑だろうさ。ああ、まずはフリーの闇払い含め、魔法省の職員全員にこのことを伝えなければ」
大臣は動転しつつも冷静に判断する。机借りて何か書いてるけど、魔法省の各部への連絡だろう。
「まったく、貴様が軽率な行動を取らなければこうはならなかったのだ。反省しろ駄犬が」
「言ってくれるね泣き虫スニベルス。『あの人』を恐れて向こう側から戻ってきたのは誰だったかな?そう、君だ」
「リリーが死ぬきっかけを作ったのはお前だろう、ブラック」
「その予言を『あの人』に伝えたのは君だ、スネイプ」
「よく聞こえんなぁ、駄犬」
「耳まで阿呆になったのかい、泣き虫」
「「……よろしい、決闘だ」」
「ごめん、誰かわたしの上でいがみ合ってる二人を止めてくれ!」
スネイプ先生とシリウスは言い争いをしている。今さっき杖を抜いたけど、半泣きしてるピーターがなんとか二人を抑えている。
「オホン。取り敢えずピーターは拘束してどこかの部屋に閉じ込めておくべきじゃろう。早朝に魔法省に送還するのがよいのう」
「そうさせてもらうよ、アルバス。どこかいい部屋はないかね?使わない教室などは」
「ならばそうじゃのう、城のてっぺんに牢獄じみた小部屋がある。そこなら平気じゃろうて。もちろん、パイプなどは通っておらんし、万一通ってたとしても、パイプの中には頼れる者が──リアスのペットがおる。逃げられはせんよ。コーネリウス、入り口は君が見張っていればよい」
「そうさせてもらおう。案内してくれるかね、ミネルバ」
「こちらです、大臣」
マクゴナガル先生がファッジ大臣とピーターを連れて部屋を出て行く。あたしたちはダンブルドア校長からココアをもらったあと、寮に戻り眠りについた。シリウスは校長室の一角を借りたみたいだ。
翌日、ダンブルドア先生から生徒全員に向けて発表があった。シリウスが無罪で、ピーター・ペティグリューは生きていたと。みんなは半信半疑だったけど、シリウス自身の登場、マクゴナガル先生の肯定で納得したようだ。シリウス、〈破れぬ誓い〉を結んでもいいって言ってたしね。
吸魂鬼たちは朝食前にアズカバンに帰っていった。でも、吸魂鬼全員に頭を撫でられるのは流石に恥ずかしかった。いや、気持ちいいけどさ?
ルーピン先生は辞表を出した。狼人間とみんなに知られてしまった以上、ここにいることはできないと。うん、スネイプ先生がみんなにバラしたのよね。
……翌日、ママからピーターが逃げ出したと手紙を受けた。何やってるんだ魔法省。
寮杯は今年もグリフィンドールが手に入れた。それと、ハーマイオニーが『
ロンは新しいフクロウを手に入れた。シリウスが送ってきた豆フクロウだ。元気いっぱいな頑張り屋。
今あたしたちはホグワーツ特急に乗っている。もうそろそろキングズ・クロスに着くだろう。確か、今年の夏はクィディッチ・ワールドカップがあるはずだ。ママのことだからチケットは手に入れてるだろうし、ママの同僚のみんなと見に行こう──
シリウスの無罪は魔法省関係者並びにホグワーツ生などには伝わっていますが、一般のマグルや魔法使いには伝わっていません。