ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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ボガート

「さあ、ネビル。質問だ。君が世界一怖いものは何だい?」

 

「え、えっと……」

 

「落ち着いて。これがボガートの退治には必要なんだ」

 

「スネイプ先生……です」

 

ネビルの回答にみんなが納得する。毎回被害にあってるしね。

 

「スネイプ先生か。……そうだ、確か君はおばあさんと暮らしているね?いつもどんな服を着てるんだい?」

 

「え、ボガートがばあちゃんに変身するのも嫌ですけど」

 

「違うよ。ボガートの退治法は『笑い』なんだ。私は以前、ミス・ロングボトムとあった覚えがあるんだけど、面白い服装をしていた記憶がある。さあ、思い出してごらん?」

 

ネビルが考え込む。そして、ポツリポツリと話し出す。

 

「高くて、てっぺんにハゲタカの剥製がある帽子をいつも被ってる。それに、緑色の長いドレスを着て、時々狐の毛皮の襟巻きをしてる。ハンドバックは……おっきな赤いやつ」

 

「ようし、思い出せたね?次はそのイメージをボガートにぶつける。このタンスを開けたらボガートが襲ってくる。君を見たらスネイプ先生に変身するだろう。そこで、さっきの呪文を使う。何か面白いもの──君の場合はおばあさんの服装──に精神を集中させながらね。そうすれば、ボガートの変身は君たちのイメージと混ざり合う。聞くよりかは実際に体感した方が早いだろうから、ネビル、準備はいいかな?」

 

「は、はいっ!」

 

先生がみんなを順番に並ばせる。そして、ネビルが杖を構えたのを確認すると、タンスの戸を開けた。

中からはスネイプ先生が出てくる。本物そっくり。

 

「リ、〈ばかばかしい(リディクラス)〉!」

 

ネビルの呪文と共にボガート・スネイプ先生がつまずく。あー……スネイプ先生が出て行って正解だわ。スネイプ先生が見たらネビルに罰則が追加されるだろうし。

パーバティが次に挑むようだ。ボガートが変身したのは血塗れのミイラだった。結果は、包帯に絡まって転ぶ。シェーマスはバンシーの声を出さないようにした。そのあとも色々とあり、だんだんボガートは混乱してきた。

ロンの番も終わり、次はあたしの番だ。前に出る。

パチンという音と共にボガートが変身する。さて、どんな風になったのか──

 

【ごめんなさい謝りますからこの人たち止めてぇぇぇぇえ!】

 

──はい?黒いもやもやがあたしに抱きついて泣いてる。あー、最近見てなかったけど、このもやもやってボガートの正体みたいなもんだっけ。

 

「【ごめん、あたし退治する側】」

 

【後生ですから助けてください!】

 

いや泣かれても困るんだって。おいこらジャパニーズドゲザしようとしない。ほらルーピン先生や周りのみんなが硬直してるでしょうが。

 

「……ルーピン先生、ボガートにもうやめてくれって泣きつかれたんですけどどうしたら良いでしょうかね?」

 

「ああ……うん、君の判断に任せるよ、リアス。私には何がなんだかわからないからね」

 

ルーピン先生の表情が一気に疲れたものになった。ボガートはとりあえずディリコールを呼んで家に送り届ける。多分住み着くだろう。

 

「……イレギュラーがあったけど、これで授業はおしまいだ。ボガートと対決したグリフィンドール生一人につき五点。ハーマイオニーとハリーにもね。クラスの最初に、私の質問に正しく答えてくれたからだ。リアスには十点与えよう。面白いものを見せてもらった。宿題として、ボガートに関する章を読んで月曜までにまとめを提出すること。以上だ。解散!」

 

みんなが興奮した様子で職員室から出る。……あたしも、ボガートが何に変身するか興味あったんだけどなぁ……。


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