ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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ハグリッドの授業

「……私の変身がここまで拍手を浴びなかったのは初めてですね。はぁ……唯一目を輝かせてくれたミス・クリミアに点を与えたいぐらいです」

 

変身術の授業では、まず始めにマクゴナガル先生がトラ猫に変身してみせた。先生が動物もどきだと言うことは一年の時に聞いていたけど、見るのは初めてだ。

 

「一体何があったんですか?──この授業の前の授業は?」

 

「『占い学』です、先生。お茶の葉を読んで、それで──」

 

「なるほど、そうでしたか。ミス・グレンジャー、それ以上は言わなくて結構です。今年は誰が死ぬことになったんですか?」

 

少しして、ハリーが名乗り出た。先生の話によると、トレローニー先生の死の予言は毎年のことらしい。けど、一回も当たってないそうだ。

 

 

 

変身術の授業が終わって、昼食も終了。待ちに待った『魔法生物飼育学』だ!

森の端にあるハグリッドの小屋を目指す。もちろん、一番最初についた。まだかなー?

……あら、スリザリンと合同なんだ。ドラコはむすっとしてて、ゴイルとクラッブはお菓子を持ってる。ダフネ・グリーングラスとかはドラコをなだめようとしている。ハグリッドは気にせずにニコニコしている。

 

「よし、みんな集まったか?これからいいもんを見してやる。きっと驚くぞ?え?」

 

ハグリッドが歩き出し、みんなでついて行く。森の縁に沿って五分ほど歩き、放牧場のようなところに到着した。

 

「みんな、ここの柵の周りに集まれ!ちゃんと全員居るよな?森の中に入っちまった奴は居ないな?よし、教科書を開け。さて、何ページだったか……」

 

「どうやって開けばいいんです?」

 

「あぁ?」

 

ドラコがハグリッドに質問した。うん、普通考え付かないよね、背表紙を撫でるなんて。

 

「リアスは普通に開けとるが?」

 

「えっ」

 

「背表紙を撫でればいいんだよ。この子、背表紙が弱点みたいなの」

 

みんなが唖然としてるけど、あたしは気にしないでハグリッドに何ページを見ればいいのか聞く。指定されたページはヒッポグリフのとこだった。

 

「……良く気がついたな、クリミア」

 

「少しは知ろうとする努力をすることだね、マルフォイ君」

 

ドラコに笑って言う。ハグリッドは森の中に入っていき、数分後にヒッポグリフ十数頭を連れて戻ってきた。相変わらずヒッポグリフはかっこいい。

ハグリッドが柵につないだとき、みんな退がっちゃったけどなんでだろう。

 

「ヒッポグリフだ!美しかろう、え?」

 

わかるわかる!ヒッポグリフってとても綺麗なんだよね。いや、空を飛べる魔法生物って全部綺麗!気持ち悪いとか言われてるアクババも綺麗だし、ドラゴンも天馬も宝石竜も全部綺麗!ハグリッド、ナイスチョイス!

 

「こいつらは誇り高い。絶対に侮辱しちゃなんねえ。死にたくなかったらな。必ずヒッポグリフの方が先に動くのを待つんだぞ。それが礼儀ってもんだ。んで、お辞儀だ。お辞儀を返してくれたら成功だ。触ってもええ。もしも返さなかったらすぐに離れろ。前に一度喰らったがな、こいつらの鉤爪はとても痛い」

 

……ドラコたちが聞いてないけど、大丈夫かな。

 

「よーし、誰が一番乗りだ?」

 

「あたし!」

 

やらせて!絶対に成功させてやる!

 

「おう、やるかリアス!そんじゃあ、バックビークとやってみるか」

 

ハグリッドが灰色のヒッポグリフを連れ出してきた。

 

「まあ、お前さんならいけるだろう。どうせ何度か乗ってるんだろう?」

 

「もちろん」

 

バックビークに向き合い、近づいてお辞儀する。数秒後、お辞儀を返してくれた。

「ほうれ、見てみろ!リアスが成功させたぞ!リアス、くちばしを撫でてやってくれ。それと、乗せてくれるだろう」

 

ハグリッドに言われた通り、くちばしを撫でる。すぐに気持ちよさそうに目を閉じた。あとスリスリされてほっぺた舐められた。

バックビークの背中に乗り、首回りにしがみつく。ハグリッドの合図でバックビークが飛び立ち、遊覧飛行が始まった。

うん、とっても気持ちいい。暖かいし、ふわふわだし、落ち着く。

 

「【ねぇ、バックビーク。もし誰かがあなたを侮辱しても、攻撃しないであげて?ハグリッドに失敗して欲しくないの】」

 

バックビークは頷いてくれた。問題は他のヒッポグリフたちだけど、バックビークが伝えてくれるそうだ。

 

 

 

放牧場に下りると、歓声があたしたちを迎えてくれた。最後にバックビークのくちばしを撫でて、バックビークから降りる。

次に挑戦したのはハリーだったけど、やっぱり成功。バックビークも楽しそうに飛んでいた。ハリーは少し怖がってたけど。

他のみんなもそれを見て、恐る恐る放牧場に入ってきた。やがてあちこちでお辞儀が始まった。ネビルは失敗ばっかりだったけど、もっと堂々とすればいいって助言したら成功してた。

ドラコたちは案の定侮辱──醜いデカブツの野獣とか言ってた──けど、言われた途端バックビークは背を向けて歩き去ってしまった。よかった、ドラコたちに怪我させなくて。

……でもドラコには後でお仕置きだね。マラクローによる不幸をもう一週間追加しよう。


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