《》は蛇語です。【】を動物の言葉と動物言語で使っちゃったので、動物言語と蛇語を分けるために。
僕は地下道を歩いていた。ハリー・ポッターはクィディッチ中に手痛くやられて、今は保健室で休んでいるらしい。確か、彼を信奉しているマグル生まれの男子がいたはずだ。確か、コリンと言ったか。カメラ好きだと『この子』が話してくれた。今度はそいつを襲わせるとしよう。
ふう、ようやく着いた。まったく、なんでこんな面倒な場所にスリザリンも部屋を作ったんだ?確かに、この部屋はバレると面倒だとは思うが、せめて道を整備して欲しかった。
「《開け》」
秘密の部屋の扉を開ける。まだ自分の肉体を顕現させられないから、『この子』を一時的に乗っ取るしかないし、それもしばらくすれば解除されてしまう。さあ、もっと心を開くと良い。そうすれば、僕は自由になり、また闇の帝王と──
「そこまでじゃ、トム。君はこの時代の者ではなかろうて」
・side Rias
校長先生をはじめとした先生方(ロックハートを除く)とロン、ハーマイオニー、マダム・ポンフリーが治療して無事退院したハリー(一度ロックハートが何かしようとしてたけど最初の授業の時以来捕まりっぱなしだったピクシーたちをけしかけておいた)と一緒に、目の前の人物──シャルロッテに命令して、ミセス・ノリスを襲わせた人物を追い詰めている。
「ヴォルデモート……お主がそう名乗りこの部屋を開けたことが敗因じゃよ。そこのバジリスクに自らの名を教えてしまったことがのう。五十年前、君が名乗らずにバジリスクに命令を出せば真犯人が君とはバレなかったじゃろうし、君がその子を操らずに遠隔でバジリスクに命令すれば、君は追い詰められることはなかったじゃろう。君の敗因の最大の要因は、慢心なのじゃ、トム」
目の前の人物──ジニー・ウィーズリー、ではなく、彼女を操っているトム・マールヴォロ・リドルに話しかける校長先生。
「ばかな、この僕がこんなに追い詰められるだなんて。……いや、貴方ならあり得るか、ダンブルドア先生。ああ、五十年前も貴方だけが僕を疑っていた!アーマンド・ディペットのじいさんをはじめとして、貴方以外の教師はみんなハグリッドを疑って退学させた。僕の計画通りに。ハグリッドは怪物関係では疑われやすかったからね。狼人間の仔をベッドの下で育てようとしたり禁じられた森でトロールとすもうをとったりね」
「去年はこっそりとドラゴンを飼おうとしていたのう。ハグリッドは信用も信頼もできるが、怪物を愛しすぎているのが長所であり短所じゃ。リアス、君はハグリッドのようには……なりそうじゃの」
ダンブルドア先生はこっちを向いて諦めたような顔をした。ハグリッドは尊敬してます。将来は日本のムツゴロウさんとやらみたいになりたい。
「秘密の部屋の入り口を発見するのにも五年かかった。なんでお前たちはこんなに早くこの部屋を見つけられたんだ!」
「この子のおかげじゃよ。ほれ、リアス。トムに挨拶でもしてやりなさい」
あたしは校長先生の横まで歩いて行って、リドルにお辞儀した。
「どうも、トム・リドル。リアス・クリミアと申しますわ。以後お見知り置きを」
ママの同僚から教わった気品のある挨拶。ママの同僚ってほんとどうなってるんだろ。
「トム、君は記憶にすぎない。儂らに君が勝てるわけがなかろう。さあ、その本が本体のようじゃし、終わらさせてもらおう。〈
ジニーの手の中から黒い本が飛び出してくる。これは、日記帳?
ダンブルドア先生はそれを掴むと、少し確認した後にシャルロッテの口の中に放り込んだ。シャルロッテがその本を噛むと、まるで血のように黒いインクが溢れ出してきた。
「なっ、ぐ、クソォォォォっ!」
リドルは悲鳴をあげ、のたうち回り、やがて糸が切れたようにドサリと倒れた。マダム・ポンフリーが診断して、少し衰弱しているが問題はなく、美味しい物を食べて寝てればそのうち回復すると判断した。
「では、これにて一件落着かのう。さあ、後は勉学に励みなされ。冬はまだまだ長い。クリスマス休みまで、しっかりとのう?」
ダンブルドア先生笑顔であたしたちを送り出す。あたしとハーマイオニーはディリコールの幼鳥で姿現しして、ハリーとロンはその後に。ジニーはマダム・ポンフリーと一緒に、ディリコールに保健室まで姿現ししてもらった。他の先生は順繰りにフォークスに連れて行ってもらうらしい。