それから、あたしは時々シャルロッテに会いに行った。他愛もない話をしたり、遊んだり、乗っかってみたり。
それで、五十年前の継承者とやらについて聞いてみた。
【継承者か。その事を語るには、まずはこの部屋について話さなければならない。
この部屋はお前が察している通り、私の主人だったサラザール・スリザリンが残した部屋だ。
サラザールはこう言った。「いつかお前の事を必要とする者がくる。その時までホグワーツに残っていてくれ」と。
私は待った。何年も何年も、千年にも近しい時を。
そして、この部屋を開く者が現れた。その男が継承者と呼ばれる存在だ。
その男の話では、この部屋は秘密の部屋と呼ばれ、伝説になっているそうだ。
私はその男が、サラザールの意思を受け継ぐのかと期待したよ。
だが、その男が成したことはサラザールの意思とは真反対だった。言っただろう?五十年前に、私が誰かを殺したと。その男に命じられたからだ。
当時の私は継承者──蛇語使いには逆らえないようになっていたからな。従ってしまった。だが、私が殺したのはその一回のみ。それ以降はまた、ここで蠢いていた。
その男が今何をしているかはわからない。こんなところに情報など来るわけがないからな。ただ、その男はこう名乗っていたよ。
ヴォルデモート卿、と】
ヴォルデモート卿。あの……えーと……誰だっけ?
【……闇の帝王とも言っていたな。お前が言う中二病、と言うやつか?】
そうそう、闇の帝王だ。『名前を呼んではいけないあの人』。ダンブルドア先生も名前出してたっけ。あの人、ホグワーツの生徒だったんだ。
【まあ、次に継承者が来ても従う気は更々ないがな。お前の一言で、私の呪いは解けた。ついでに、なぜか知らんが魔眼の効果のオンオフを可能になった。
より詳しくこの部屋について知りたいなら、『ホグワーツの歴史』とやらを読んでみろ。書いてあるらしいからな】
シャルロッテに頭をこすりつけられる。くすぐったい。
【継承者が来て、私に誰かを殺せと命じるなら、殺さずに石にしておこう。私の魔眼を直接ではなく、水や鏡など、何かに反射する形で見たのなら、死なずに石になるようなのでね。マンドレイクがあれば、石化は解呪できたはずだ】
ロウェナ・レイブンクローからの知識らしい。さすが知識のレイブンクロー。
あたしはお礼を言って、部屋から出て行った。
そして、ハロウィンの日。ハロウィンパーティが終わり、みんなと階段を上ると、その先の廊下には三人の生徒──ハリー、ロン、ハーマイオニーが居た。壁には、ミセス・ノリスがぶら下がっている。そして、
『秘密の部屋は開かれたり
継承者の敵よ、気をつけよ』
血のような文字。あたりはパニックになった。
「継承者の敵よ、気をつけよ!次はお前たちの番だぞ、『穢れた血』め!」
ドラコは列の奥に下がって来たときにこっそり頭を叩いておいた。
そのあと、フィルチさんが来て、ダンブルドア先生も来て、ここから一番近いロックハートの部屋にハリーたちとノリス、フィルチさんを連れて行くことになった。みんなは自分の寮に戻って行くみたいだけど、シャルロッテを悪者にされちゃたまらないし、こっそり先生たちについていこう。
やばい、このままだと秘密の部屋編がめちゃくちゃ早く終わっちまう。