暇な時が見つからず、なかなかバジリスクに会いに行けない。……よし、土曜日の夜にディリコール呼んで寮を抜け出そう。あたしにはハリーみたいに透明マントは無いんだし。
と言うわけで、やって来ましたマートルのトイレ!
「……どうやって来たのよ」
「気にしたら負けだと思うけどね?」
突然現れたあたしに驚いたマートルを放っておいて、太いパイプが走ってそうな洗面台に向かう。
「えーと、多分この下なんだけど……どうしたら開くんだろう?」
洗面台をくまなく探してみる。すると、一つの蛇口に小さな蛇の彫り物があった。……蛇口。蛇の口。洒落かしら?
「その蛇口、ずっと前から壊れてるわよ?」
「壊れてても平気かな?【開け】」
物は試しと動物言語。当たりだったようで、洗面台が動き出す。多分あの部屋を作ったのはスリザリンだと思うけど、なんで女子トイレを入り口にしたの?
洗面台が消えて出て来たパイプは、ネズミの状態で見たパイプと同じだった。
あたしはパイプに飛び込んで、下を目指す。
「よっと」
ちゃんと両足で着地する。そのまま、この前見た扉へと向かって行く。
扉に変化はなく、唯一変わっていたことといえば、開けたはずなのに閉まっていたことだ。自動で閉じたんでしょうね。
動物言語で扉を開け、中へと進んで行く。やはりバジリスクの姿は無く、横道のパイプの方で眠りこけていた。
「うーん、おっきいなぁ。昔見たバジリスクの二倍はあるかな?とりあえず、【起っきろー!】」
大声を出して、バジリスクを起こす。綺麗なエメラルド色の目をしている。
【……何者だ。継承者か?五十年前と同じように、誰かを殺せと言うのか?】
「【継承者って何?】」
うん、継承者って?聞いたこと無いんだけど。
【……まさか、知らずにここまで?あの扉は蛇語でしか開けられないはず……いや、お前の話している言葉は、まさか……なるほど。お前の名前は?】
「【リアス・クリミアよ。あなたは?】」
【私の名は……すまん、忘れた。名前を呼んでくれる者など居なかったのでな】
あら、名無しなのね。でも、名前が無いのは可哀想だし、よし、適当につけちゃおう。
「【じゃあ……シャルロッテ!シャルロッテでどうかしら?】」
【……?】
「【あなたの名前よ!名無しじゃ不便だし、いつまでもバジリスクって呼ぶわけにはいかないでしょ?だから、シャルロッテって名前をあなたにあげるわ】」
【シャルロッテ……いい名前だ。さて、リアスよ。私はお前に従おう。さて、まずは何を命ずる?】
あれ?なぜか一方的に主従契約かわされたんだけど。しかも押し付けた方が従者側で。うーん、主従関係とか、そう言うのは苦手だしね。
「【主従関係とかは無し。あなたとあたしは友達。もしくはペット。それでいいかしら?あと、殺しとかはダメよ?】」
【……承知したが、そろそろ戻った方がいいのでは無いかね?長く部屋を開けていると此処に来ていることがバレてしまい、罰則とやらがあるのだろう?戻りたまえ】
「【うん、またね】」
ディリコールをもう一度呼び出し、寮まで転移。また会いに行こう。
その頃のハリー
「私の本はなんと!六ヶ月連続でベストセラー入りしたのです!どうです?新記録ですよ?」
「そうですね(棒)」(早く罰則終わらないかな……)
バジリスクの声が聞こえることもなく宛名書きしてました。
色々とフラグが折れました。バジリスクの名前のシャルロッテは、まどマギの『お菓子の魔女』から。恵方巻きみたいなのが蛇に似てるので。