ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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とある獣の独白


彼女に出会ったのは一つの運命(Fate)というものだろうね。でも、彼女の持つ能力はとても危険だ。人類悪となりうるボクですら、彼女に協力したいと思ってしまう。彼女の人柄がいいのもあるんだろうけど……それでも、彼女に敵対する者がいるなら、あの醜い獣になってもいいと考えてしまうのは、明らかに異常だろう。言い訳でもするとしたら、彼女の近くは、彼女がペットたちに向ける感情は、あの平行世界の天文台で、平行世界のボクが見た美しいものに値するかもしれない。その分、彼女の周りはドロドロしていて、彼女がいなかったらあんな小島にいても第四の獣になりかねなかったけど。
最後に一つだけ。マーリンはこの手──この牙の方がいいかな?──で()る。










終幕/そして始まり

ママたちは既に帰り、学期末のパーティが行われる。いつもなら優勝した寮の色で大広間が飾り付けられるんだけど、今回は四色全部に、ホグワーツの校章だった。

カルカロフ校長がいない。何かあったのかな。

ダンブルドア校長が立ち上がる。

 

「今年も、終わりがやって来た。今夜は皆に、色々と話したいことがある。ホグワーツ校、ダームストラング校、そしてボーバトン校の生徒たちが、誰も欠けることなくこの場に揃ったことを祝いたい」

 

ダンブルドア先生が大広間を見渡す。

 

「もしかすると、一人の生徒が欠けていたかもしれん。そのようなことにならなかったのは、代表選手たちの人徳であろう。そして、みなは知る権利があると、わしは考える。ハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーは、ヴォルデモート卿が復活するのを見て、殺されかけた」

 

大広間にざわめきが走る。全員がダンブルドア先生を見て、次の言葉を待っていた。

 

「魔法省は、わしがこのことをみなに話すのを望んでおらぬ。なぜなら、彼の復活は魔法省にとって不都合であるからじゃ。みなのご両親の中には、わしがこのことをみなに話したいと知って驚く方もおられるじゃろう。かの死地から、無事に戻って来たセドリック・ディゴリーとハリー・ポッターを、その幸運と勇気を、わしは讃えたい」

 

ダンブルドア先生がゴブレットを掲げた。そして、大広間のほとんどの人が、先生に続いてゴブレットを掲げる──スリザリン生を除いて。

 

『彼奴らはなぜ、盃を掲げないのだ?私には理解できんな』

 

「人間には色々あるんだよ、ソロモン」

 

彼らの気持ちがわからなくはないけど、そろそろ和解した方がいいと思う。

 

「ダームストラング校の人も、ボーバトン校の人も、そして、ホグワーツ校の人も。いつでも好きな時においでくだされ。ヴォルデモート卿は不和と敵対感情を蔓延させる能力に長けておる。その分、魔法界の結束は大切なものとなる。多くの者と絆を結ぶのじゃ。それがいつか、君たちの助けとなるじゃろう。──では、食事を始めようかのう。ほれ、しみったれた空気を蹴散らして!三大魔法学校対抗試合の成功を祝い、乾杯しましょうぞ!」

 

ダンブルドア先生が手を叩き、数々の料理が現れる。先ほどまでの厳粛な空気が嘘のように、賑やかなものへ変わった。

 

『ダンブルドアといったか。あのような者は、人を纏め上げるのに向いているだろう。しかし、人の心を読みすかした上で利用する。いい人、とは言い切れん』

 

ソロモンのダンブルドア先生に対しての評価は辛口だった。

 

 

 

ホグズミード駅まで向かう馬車に乗るために、校庭に出る。ボーバトンの馬車が出発の準備をしているところだった。

フラーがハリーと話していた。こちらに気づくと、フラーは走って来た。

 

「リアス、ありーがとうございまーした。いーつか、また会いましょーね。イギリスで()たらけるようにがんばーりますから!」

 

「うん、また会おうね」

 

「もう一度、生き物たーちのこと、教えてくーださいね!あと、指輪、似合ってまーすよ!」

 

花が咲いたような笑顔で手を振るフラーに、あたしも手を振り返す。

クラムとも同じような挨拶をして、また会えることを願い、あたしはセストラルの引く馬車に乗り込んだ。

 

列車の中で、あたしはハリーたちと一緒のコンパートメントに座った。ハリーは優勝賞金をどうするのか悩んでいるようだ。

 

「ところで、リータ・スキーターはどうしたのかしら?第一の課題以降、全く記事を見ないのだけれど」

 

「うーん、しばらくは何も書けないんじゃない?」

 

頭に疑問符を浮かべているハーマイオニーに微笑んで、蛙チョコレートを食べる。暖かくなってきて、あたしはフォウ君とキノを抱きかかえて眠りについた。

 

──花火を一箱爆発させたような轟音で目が覚める。辺りを見渡してみると、入り口にはドラコとクラッブ、ゴイルが倒れていて、こちら側ではハリーとロン、ハーマイオニーが立ち上がり杖を構えている。廊下ではフレッドとジョージもニヤニヤしながら杖を構えている。何があった。

 

『ドラコ・マルフォイがハリー・ポッターたちに対して喧嘩を売ったのでな。自業自得というものだ』

 

クラッブは顔中にクラゲの足が生えている面白い状況になっていて、双子は必ずドラコを踏んでから入ってきた。あ、フォウ君、汚いから齧っちゃダメだよ。

その後はボーっとしながら窓の外を眺めていたりしたけど、何やらバグマンさんが色々とやらかしたらしい。これもまた自業自得なのだろう。

列車を下りる直前に、ハリーは双子に賞金を渡した。彼らを支援するそうだ。ママにフレッジョのやろうとしていることを伝えたら、喜んでお金を出した。曰く、必ず成功するだろうと。

 

 

家族も増え、驚きの多かったこの一年だけど、同時に魔法界に再び闇が解き放たれた。どうなるのかは、まだ、誰にもわからないだろう。

 

「ところでリアス、その指輪は何かしら?まさか、恋人でもできたの?」

 

「あー、この指輪はね……古龍の変身してる姿です」

 

「……どうしよう。うちの娘がどんどん強力になっていく……」


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