──夢を見た
──この世全ての紛争を見た
──この世全ての平和を見た
──我らは願った
──彼の願いの先に、自らを押し通せる力を得ることを
──我らは解放した
──我らの力を、軍勢の力を
──そのことを、ここに記し報告としよう
──我が名はハ────
晩餐会が終わり、クィディッチ競技場へと全員が移動する。マクゴナガル先生から少しばかり説明が行われ、バグマンさんが杖を自らの喉元に当てる。
「
大歓声と大きな拍手。
「三位は八十点──ビクトール・クラム君。ダームストラング専門学校!」
次はダームストラングの生徒たちから拍手。
「そして四位──フラー・デラクール嬢、ボーバトン・アカデミー!」
最後に、ボーバトンから拍手が起こる。
「四名の勇気と、この試合に大きな貢献をしてくれたリアス・クリミア嬢に、大きな拍手をお願いします!」
会場全体から、大きな拍手が響く。少し恥ずかしい。ふと、代表選手たちの頭上に、光を見つけた。淡く輝く、柔らかな光。そしてその中から、翼を持った蛇が、姿を現した。
「では……ホイッスルが鳴ったら──クリミア嬢、これは演出ですかね?」
「予想外です」
現れたのは、イークェスラル。蛇神に仕える魔法生物。代表選手四人を祝福するように彼らの上を飛び回り、一人に一つ、羽を落として消えていった。
「な、なんだったのでしょうか……」
「一つだけ言わせてください。その羽は大切に持っていてください。お守りになるので」
バグマンさんの言葉を遮って、大切なことを伝える。
そして、バグマンさんがホイッスルを鳴らして──セドリックとハリーが迷路の中に入っていった。
【ハリー視点】
僕は見たこともない魔法生物の羽をローブのポケットに入れて、暗い迷路の中を進んでいる。一緒に入ったセドリックは先ほどの分かれ道で別々の方向に進んだ。
二回目のホイッスルが聞こえて、僕は早足で進み始めた。この先に何がいるかは予想がつかない。リアスのことだ、危険な魔法生物が大勢放たれていることだろう。
ホイッスルの音が聞こえて、四人目の選手が迷路に入ったことを知った。焦る、焦る。
スクリュートに出会ったというセドリックとすれ違い、角を曲がる。スクリュートにもリアスが関わっているんだ、魔改造されているだろう──
角の先に居たのは、二人の
「〈
銀の牡鹿が杖先から出て、吸魂鬼めがけて駆ける。吸魂鬼は後ずさりして、転び──転んだ?
「もしかして──〈
吸魂鬼の片方が風船に変わり、どこかへと飛んでいく。やっぱり、
問題はもう片方の吸魂鬼。転んではいたけど、こっちは……あ、もしかして。
「〈
途端に、吸魂鬼の姿が不定形の何かに変わった。ミグラージだ。横をすり抜けて、先へ進む。守護霊はいつのまにか消えてしまった。
「〈
四方位呪文で北を確認し、北西へと向かう。何度か袋小路にあたり、さまよっていると、道の先に金色の霧が見えた。嫌な予感がするけど、進むしかない。そういえば、霧を吹き飛ばす呪文があった。
「〈
まだ上手く使うことはできずに、半分ほどしか霧を晴らすことはできなかった。もう一度使おうとして、前方からフラーの悲鳴が聞こえた。もう迷ってる暇はない。呪文を使う時間もないかもしれない。走り抜けよう。
息を吸い込み、霧の中に足を踏み入れる。
その瞬間、視界がひっくり返った。足を動かそうとすると、空に落ちてしまいそうな気がする。そして、足元の夜空からは再び、吸魂鬼が現れた。その手には──ロンとハーマイオニーが掴まれていた。そのおかげで、僕は真実に気がついた。
足を踏み出し、先へ進む。その途端に世界は元に戻った。目の前では、巻角を持った大きな山羊──
僕は走り始めた──これ以上、試練がないことを祈りながら。
四つ目の夢の前にBBchannel挟もうと思ってしまったなんて言えない……