ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

101 / 114
最近クロックワーク・プラネットにはまりました、零崎です。巨大な歯車による機構とか思いっきり心をくすぐられるんですよねぇ。










──夢を見た
──全てを見た
──この世全ての善を見た
──この世全ての悪を見た
──人類の希望を見た
──人類が滅ぼす悪を見た
──彼は願った
──『もし生まれ変わるのなら、次こそは普通の人間として』
──その願いは歪められた形で叶った
──その懺悔を、我ら一同を代表してここに記す
──我が名はサ────










迷路準備

──何か、夢を見た気がする。

目をこすりながら、目が覚めてから意識がはっきりとするまでの数秒の間に忘却されてしまった夢を考える。あれは、一体なんだったのだろう。

 

「……ま、考えても仕方ないか」

 

夢をもう一度記憶の彼方に投げ飛ばし、夜中にマクゴナガル先生からもらった迷路の地図を見る。この地図に描かれているのは初期の道で、時間が経つとどんどん道が消えたり出たり、姿が変わっていくそうだ。

一部に沼地を作るのもいいかもしれない。少なくとも水場は欲しい。あと広間みたいな広い場所。

あと三ヶ月以内に配置する動物たちを考えないとだから、結構大変かもしれない。いや、全員投入すればいいだけの話か。

 

「フォーウ、キュー」

 

窓の外を見て唸っていたフォウ君を抱き上げる。フォウ君の言葉は、あたしでも時々わからないことがある。ほんの少しだけ聞こえたことがあったけど、その時は「マー──────フォーウ!」としか聞こえなかった。多分最初のは人名なんだと思うんだけど……。

とりあえず、あたしは階段を下りて大広間に向かった。今日は何の授業があったっけ……。

 

 

 

それから三ヶ月は、特に何もなかった。ニフラーをハグリッドが授業で使ったり、イースターでみんながはしゃいでいたりしたけど。

五月の最終週の夜九時に、あたしと代表選手はクィディッチ・ピッチに集められた。

 

「さあ諸君、何を使っているかわかるかね?もちろん、ミス・クリミアは答えないでくれよ」

 

目の前にあるのは高さ一メートルほどのくねくねした生垣。みんなが頭をひねる中、クラムが答えた。

 

「迷路」

 

「その通り!第三の課題は迷路だ。迷路をいち早く抜け、中央に置かれた優勝杯に触れる。一番最初に触った者が優勝だ。最も単純明快だが、最も恐ろしい課題となる。理由はわかるね?」

 

選手四人の視線があたしに向けられる。みなさんよくおわかりのようで。

 

「呪いも待ち受けるから、知恵と勇気、そして体力!さらに言えば運も必要となる。入る順番は成績順だ。

質問はないようだね。最後に一つだけ。来週は休みになっている。時間の使える限り、ミス・クリミアに魔法生物の講習をしてもらう予定だ。必ず参加するように」

 

あたしは一礼して微笑んだ。

そのあとはみんな城に帰り、ハリーとクラムは何やら森の方に二人で歩いて行った。

彼らと入れ替わるようにして、森の中から白く透き通った花束を持った血みどろ男爵がやってきた。機嫌が良かったらしく、あたしをすり抜けるまであたしの存在に気づいていなかった。どうやら、花もゴーストになることがあるようだ。

 

「む……貴様はグリフィンドールの……ううむ、名前が思い出せん。動物少女と呼んでも良いな?」

 

「リアス・クリミアです、男爵。ダンス素敵でしたよ。そのあとビンタされてたのは面白かったですけど」

 

「……見られていたか。クリミア嬢、第二の課題は実に面白かった。第三の課題も期待させてもらおう。その前に一つだけ……幸運が舞い込む魔法生物はいるか?」

 

男爵が顔を近づけてこっそりと聞いてくる。あたしも、小さな声で答えた。

 

「いることにはいますけど……あの生き物は、あたしの手には収まりませんよ。捕獲してもいつのまにかどこかに消えてますし」

 

「ほう……何と言う生物だ?」

 

「イークェスラルって言うんですけどね。南米に生息する極彩色の羽根を持つ蛇です。ついでに言うなら、翼ある蛇神(ケツァル・コアトル)の眷属です。人間大好きですけど滅多に現れませんし、マグルに隠すこともできません。でも、マグルにとっては神様認定されるために狩られてません。そもそも狩れません」

 

「……自力で玉砕してこい、と。せっかく世にも珍しいゴーストの花を見つけたのだ。当たって砕けるのもまた一興よ。クリミア嬢、汝の生に幸があるように」

 

「レディへの告白頑張ってくださいねー」

 

右手を挙げ去っていく男爵の背中はカッコ良かった。

さて、あたしも部屋に戻ろうか。




イークェスラル
M.O.M.分類XXXX
南米の特定地域に生息しているが、他の大陸でも見つかることが多い。極彩色の翼を持つ、白と緑の文様の蛇。全長三メートル、翼は五メートルほど。オカミーに似ているが全く別の生物。近縁種でもなく、たまたま姿が似通っただけ。翼ある蛇神の遣いと言われている……が、実際は本当に遣い。しかもルチャ好きな女神の方の。
人語を解し、主にマヤの遺跡などで確認される。
主の間違った方向に出力されてる人間への愛をそのまま体現してやりかねない。
火を吐き、風を吹かせ、水を湧き出させ、作物を豊作にし、人間の身体と精神へ影響を及ぼす。
人間への被害報告はないが、たまに身体強化された人間が見つかる。
羽根はお守り(健康と長寿)になり、イークェスラルが渡してもいいと思った人間へ渡すので、マグルでも持っている者はいる。マグルの技術で解析してもただの鳥の羽根。そもそも神にあったと勘違いする。
熨斗付けた紅白蛇さんのアイデアです。ありがとうございました。


そろそろガチート用の伏線を徐々に張り始めます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。