最後の駄文、良ければ読んでください。
…暗い。真っ暗だ。何も見えない。何も聞こえない。ここは何処だ?何をしている?体が重い。何があったのだっけ?
「…おん。」
ふと、声が聞こえた。とても懐かしい人だったような気がする。誰かが自分の名前を呼んでいる気がする。
「…おん!おい!マスター!」
マスター?その響き、どこかで…
意識が体をめぐり始め、目に至り、固く閉ざされていたその扉を開く。一瞬の光明の後、世界が明転する。
「…ここは?」
詩音は目を疑う。そこは何も無い、ただ眩い世界だった。そして目の前には彼のサーヴァント達がいた。
「あれ、お前達…」
「おいおい、しっかりしろよマスター。なんだ、寝起きだから記憶が曖昧なのか?」声を掛けたのはアルトリアペンドラゴンと刺し違えたランサーだ。
「それより、マスター、すげえ事やったな。存在ごと消しちまうとはな。あれじゃマスターの事はだれもおぼえてないぞ。」
そういえば、そんなことをした気がする。記憶が混濁している。思い出したくないものではあるが。
「そうだね。でも、ああする以外思いつかなかった。」
「まったく、おかげで俺達もサーヴァント終了、晴れて死人としてあの世に行くことになってんだぜ。」
「え…?」
そう言われてふと気づく。サーヴァントはあの世とこの世の狭間の自分の世界で召喚されるのを待ってるときいた事がある。では何故、詩音とここで会っているのだろうか。それはつまり…
「さて、マスター。そろそろ行こうぜ。」
「え?行くって、何処に?」
「決まってるだろ?あの世にさ。」
「…で、でもさ、サーヴァントは自身の世界にいるんじゃ…。」
「確かに、だが、その自身の世界というのも現実世界の一部なのだ。マスターの願いで同時に消えちまったからな。」
「な、、」
自分の願いで全サーヴァントが居場所を失った?なんだそれは。自身が消えるのは覚悟の上だ。が、サーヴァントまで消してしまうとは…。
顔が上がらない。どんな顔をすればいいのか分からない。
「なにやってんだマスター。さっさと行こうぜ。」
声がかかる。
「で、でも、、俺はもう…」
「あー、マスター。それ、大半ランサーの嘘ですから気にしなくていいですよ。」
横から無視出来ない言葉がかかる。
「え?嘘って… 」
「ば、バカ、セイバー!なにを…」
「マスターが消したのはマスターの存在及び我々の現実世界に残っていた残り香みたいなものなんですよ。まぁ、とは言っても我々は幻霊に近いので微妙なものなのですがね。そもそも、サーヴァントの原動力っていうのは生前に残した未練なんです。それを燃やして現世とあの世の狭間の空間で召喚されるのを待ってるんです。が、逆に言えば、我々が現世に対して未練がなくなればサーヴァントとしての存在は消え、死者としてあの世に行く。サーヴァントは時間という概念がないので、いつか解き放たれるならそれ以外の戦いはないのです。ともかく私達はずっと私たちを解き放つものが現れるのを待っていたんです。私達が戦えたのはその1戦のみ。つまり、あなたですよ。天草詩音。」
「俺を…待っていた?」
「そうですよ。我々がここにいるのは自分の意思です。あなたと一緒にいたいと願い、それを達成する為に死者になった。あなたが背負うべき業ではありません。」
セイバーは優しくほほ笑みかける。
「俺が、、お前達を…」
「ええ。あなたは私達を満足させた。そして、先程ランサーが言っていたことですが、、マスター。あなたがしたことは確かに現実では残っていません。が、私達はここにいる。それはつまり、あなたが戦った証拠なんですよ。」
「こんな、俺が、、、」
「意外ですか?私は割とあなたの名前を聞いた時にある程度納得できましたが。」
「え?それはどういう…。」
「紫苑の花言葉は…、いや、やはりなんでもありません。」セイバーの顔に意地の悪い笑が浮かんだかと思うと、背を向け歩き出した。その先にはほかのサーヴァント達が待っていた。
「え?ちょ、セイバー?!俺の名前がなんだって?」
詩音は彼の背中を追う。これは、一人の主人公になり損ねた少年と英雄達の物語。
紡がれることなき戦記(クロニクル)。
…それでも敗者は、敗者なりに物語は続く。
この物語もここで終わりではない。なぜならーーー
本文で伏せていた紫苑の花言葉というのは「追憶・遠方にある人を思う」なんですね。まぁ、無理矢理感はありますが。
さて、一応伏線(のつもり)も回収し終えましたし、今度こそ終了です。
次回作は、、、、一応ぼんやりとは出来ているのですが、出すのはだいぶ先になると思います。今度こそはちゃんとストーリー考えてから出そうと思ってるので。
多分今回と同じく戦国時代関連だと思いますが、、良ければ読んでください。
まぁ、ほんとに先の話なので忘れてもらって結構ですね。
長々と続いたこのシリーズ、最後まで読んでくださりありがとうございました!