「く、はは!やっぱお前おもしれえ!おもしれえよ!」
為朝の槍は二、三回エクスカリバーと刀をあわせただけですぐに折れてしまった。あのあと数本予備を持ってきたがやっぱりすぐに折れてしまった。
(ちぇー、この矢を作るの大変だったのになー。刀に括りつける為に刀に穴開けたり矢に色々細工してたのにさー、ま、そういうのが逆に硬度下げてたかも、まだまだ完成品とは言えないな。)
「あなたこそ、アーチャーの割に剣術も槍術(?)も上手なのですね。」
「ん、まぁね。弓が中心でも接近戦になる時はあるし剣だって、まして槍なんて使えないといけないからな。でも、俺よりうちのバーサーカーの方が万能だぜ。あいつ、自分で剣聖って名乗ってたのになんでセイバーになってないか分かるか?」
「?」
「なんでも三騎士の剣、弓、槍は武芸の基本だから全部マスターしてるんで全部使いたかったからバーサーカーを希望したって言ってたぜ。んで、一番武器としては弱い剣を持ってして弓や槍と対等に戦えるというのは強い証だからあえて剣聖とかなんとか、ま、そんな奴もいるんだ。俺なんて攻撃は全部矢でしてる分らしいだろ?」
「ま、そうかも知れないですね。」
「それにしても、おまえ、男の割に胸でかくないか?まさか…」
「…っ。」
「お前胸筋超鍛えてんのか!?」
「は、はぁっ?」
「いやいやー、言わなくてもいいぜー。大事だよなー胸はさー。心臓あるしさー。いやー、にしてもすげーなー。」
「…もういいです。」
「…じゃ、続けるか?」
「ええ、あまり時間をかけるわけにもいきませんし。」
「ふん、よく言った。 その歳でその覇気はなかなかのものだ。」
為朝は少し笑うと矢を両手の中指と薬指に挟んで格闘技のような構えをとる。
「た別の戦法…体術も必須科目なのですか?」
「んーこれは武士としてのよりもケンカ屋としての賜物かなー。じゃ、行くぜ」
為朝は足に力を込め、前に飛び距離をつめる。
そして、体をねじり、矢をサックのようにもった右手を突き出し、アルトリアもエクスカリバーの側面で受けようとする。そして、エクスカリバーに為朝の拳
…ではなく右足の回し蹴りがアルトリアの体に炸裂する。
「な、足っ!?」
「おいおい、知らないのか?腕力より脚力の方が強いんだぜ?」
「く、…ですが、これで…射程っ!」
アルトリアはエクスカリバーを手前に引き、
「爆ぜよ『風王鉄槌(ストライクエア)!!!』」
爆風が為朝を襲う。
「ぐ、おおおっ、」
爆風をモロに受けた為朝の肩が弾けた。
あわてて為朝は少し距離を取る。
「…っは、それがお前の宝具かっ。」
アルトリアの手に握られたエクスカリバーは風王結界を解かれ、黄金の輝きを放っていた。
「ええ。ここで死ぬ覚悟は出来ましたか、アーチャー。」
「は、もとから死ぬ覚悟なんてしてらぁ。だが、犬死するつもりはねえ。俺は諦めが悪いんでな、共倒れには持ち込ませてもらうぞ。」
為朝は左手で弓に矢を番えると右手はなくなったので口で弦を引く。
「ふがふがが(受けてみろ)!ふが、ふががふがふ(我が最後の一撃を)」
為朝の矢に膨大な魔力が流れたかと思うと、赤い光を放ち為朝が輝く。
「っ!この魔力量は!」
「アイリ!下がって、敵は明らかに宝具を…!」
『ふがーふ!(冥土道連)』
為朝が口を放すと同時に剛弓がうねりをあげる。
赤い魔力を纏う矢は空を裂く。
「これは、危険だ!」
命の危険を感じたアルトリアは黄金の刃を天に掲げ
『約束されし勝利の剣(エクスカリバー)!!』
黄金の光が振り下ろされた。
「く、ふ、、ふふ、、是非も…なし…」
為朝の体は黄金に呑まれる。そして、蛍火よりも微かな最後の光は空へと消えた。
「っ、はぁはぁ。危ない、ところでした。あの矢は1点に魔力を…」
言いかけた言葉が止まる。
それは、アルトリアの胸に赤い光を放つ矢が刺さったからだ。
「っ、エクスカリバーでさえ、相殺しきれませんでしたか…。」
「セイバー!」
「すみませんアイリ、最後まで生き残ることは出来ませんでした。」
「…それは謝ることじゃないわ、セイバー。あなたと過ごした日々、楽しかったわ。ありがとう。」
アルトリアはふっと笑うと光となって消えていった。
次はいよいよ激戦編も終わり、そして終章へと進んでいきます。最初の方から読んでくれている方、もう少し付き合ってくれるとうれしいです。