Fate パラレルクロニクル   作:柊彩

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お久しぶりです。
今回は…ファンの人には少し辛いかも知れません…。
が、それもまた仕方なしと思って読んでくれると嬉しいです。


激戦編4

「はああっ!」

沖田は信親に弧を描くように下から刀を振る。

信親は沖田の刀の切っ先を払い、これを凌ぐとともに足を引っかけ沖田の体を前に倒し、反撃不可な状態の沖田に突きを出す。

重心が完全に後ろに行ってしまっているため沖田にこれをかわす術はない。人体では不可能なのだ。

が、沖田は刀を前に突き刺し、そこを置き場に腕の力でなんとか倒れるのを防いだ。が、割とギリギリで、なんとか凌げたというのが本音だ。

とんでもなく地味な信親の宝具だが、こういう接近戦になった時はその宝具は真価を発揮する。

ただ、残念なことに果てしなく地味な宝具の為、魔力を出している詩音はおろか戦っている沖田でさえも今信親が宝具を使っているとは分からない。マスターの詩音も分からない程にこの宝具の消費魔力は少ないのだ。本来、そこもこの宝具の真髄なのだが、、、

(…はぁぁ、やっぱ地味なんだな、俺の宝具…。さっきマスターから宝具出す許可もらったけど、、もう使ってんだな、これが。やっぱセイバーになるからにはレーザー出せなきゃやっていけないんですけど…って言われたんだけど、その通りだったんかなー。なんか別の宝具ないかなー。でもレーザー出す戦国武将ってのもなー。)

と、割と真剣に自身の宝具に自信が持てない信親なのだった。

 

(向こうもなかなかに手強い…。真名は全く分かりませんが…)

実際、剣術の腕前なら自信を持っていた沖田は自身とここまで刀で鎬を削れるものは久しぶりだ。それ故に刀の名人と言うと分かりそうな気もする。柳生十兵衛や宮本武蔵、佐々木小次郎に佐竹義重。だが、姿や年齢から判断するに、それらのものとは違う気がする。それに以前言っていた宝具も『勝利への観察眼』などで分かるはずもない。

(ですが、いずれにしても変わりません。何者であっても斬るだけですし。)

 

(でも向こうの敵もレーザー出せなさそうだな…着物とか着てるし…仲間かな。)

 

(うっ、なにか心に刺さったような…。何故でしょうか…。…まぁいいでしょう。)

沖田の目が変わる。その殺気に気づいた信親の目にも”殺意”が生じる。

 

沖田が足に力を込めて一気に距離を詰める。スキル「縮地」による移動の攻撃は神速の剣劇であり、下から腕を切り削ぐように刀を振るう。

 

(避けてもいいが…あまり時間の余裕もないな。)沖田に

 

(な、避けないのか…)

沖田は少しだけ面をくらった。避けるとばかり思っていた一撃だったので、避けた後の二撃三撃の手も読んで動いている。

「やっぱり、釣りだったみたいだな」

信親の顔に笑みが出る。宝具の効果で先程の攻撃は釣りで避けた後に追撃が来る為に、わざと避けないように振る舞えば相手を乱せるとはわかってはいたが釣りだとしてもそのまま腕を斬られることも覚悟でしていたので揺さぶりをかけられ、腕も切り落とされずに済むのなら儲けものだ。こういう所の心理戦は強いつもりだ。

信親の予定外の行動に沖田の剣筋が少しだけ鈍る。

その一瞬の隙にもう少しで完全に切られそうだった腕も、体を横に飛ぶ事で掠った程度ですんだ。と同時に反復横飛びのようにさきほどの所に体を動かした。横なぎの一撃が沖田の体に襲い掛かる。

「ぐ、この程度っ!」

なんとか体を捩り刀の軌道を逸らす。だが、完全に避けることは出来ずに腕が切られる。

(なんとか健を切られるのは避けられました。しかし、本当に強いですね。これは、出し惜しみできる相手ではありませんね…。)

 

「…あなたの剣術に敬意を評し、我が秘剣の煌めき、あなたに食わせてあげましょう。」

 

おもむろに立ち上がり、沖田はある構えをとった。沖田の魔力量が上がる。

 

(この宝具は…!)

以前にこのセイバーと対峙した時、ランサーが身を呈して信親を庇わなければ、この一撃で信親は消滅していた。『勝利への観察眼』を持ってしてもこれは見切ることは出来なかった。ランサーが言っていたのはこの宝具は斬撃が全く同時に生じており、沖田が持っている刀の一撃である右上の攻撃以外は刀すら存在せずに突きの攻撃のみがある。故に不可避であり、信親の宝具も通じないのだ。

(こいつが音をあげるなんてな。だが、ま、今回だけはすっこんでな。こいつは、俺自身でやる!)

信親は宝具を解く。解放していても変わらないのなら無駄なんだし、何より、自身の力で戦いかったと言うのが大きかった。

 

沖田の下半身に力が入る。そして一気に加速し、

「一歩音越え……二歩無間……三歩絶刀! 『無明……三段突き』!!」

刹那、沖田が眼前に迫る 。沖田は刀を顔の右側におき、左手で狙いを定める。そして、刀を右肩に突き出す。

 

信親はふぅ、と一息つくと、右肩を後方にねじる。

(そんなもので、私の宝具はかわせない!)

宝具『無明三段づき』は攻撃が同時に三個ある宝具なのだ。なので一つかわしたとしてもほかの二つの突きが炸裂する。取った、と確信した。が、

「うりぁ!」

突然、信親はねじった右肩を前方、まさに肩を貫かんと迫る刀の方に勢いよく押し出した。

「おおお! 」

刀は容赦なく信親の肩に刺さっていく。加えて、他の二撃により左肩と脇腹から血が溢れる。だが、信親は気にせず肩を押し出す。

沖田はこれまた全くもって予想外のことに瞬発的に対応出来ず、ただ刀を前方に押すだけだった。しかし、それが一番の失策だった。信親が肩を出したのは前方ではなく、正しくは孤をえがくようにして、左前だった。これでもし沖田が刀の刃を右にしていれば、信親の肩は確実に切られていた。が、それが出来なかった。

突如刀がバキン!と音を立て横に折れた。

「っ!まさか、これが狙いで…?」

「そういう事です。あなたの秘剣は見事ですが、こちらもランサーの手前、負ける訳には行きませんので。」

信親は左手で脇差を出し、そのまま沖田の胸に刺す。

「…結局、あなたは誰だったのですか?どうせ死ぬんですから最期に教えてくれませんか?」

「…知らんと思うがな。長宗我部信親。長宗我部元親の長男ですよ。」

「…はは、知りません…。」

沖田は淡い笑みを浮かべながら消滅していった。




以前言っていた没キャラの紹介をしたいと思います。

真名…松永久秀

クラス…バーサーカー

攻撃方法…刀を多用、時々焙烙玉をつかったりもする。

宝具…松永は地味には死なず(マツナガイズオーナー)

宝具概要…その名の通り地味には死なない能力。普通に剣で心臓を刺されたりしては死なない。と言っても痛覚はちゃんとある。ディルムッドのゲイジャルグ、ゲイボウに対してはほぼ無敵なのに対し、派手な攻撃に対してはとてつもなく死にやすい。特に爆発ではほとんど死ぬ。なのでギルガメッシュのしょっちゅう爆発する刀や槍の放射を受けるとまず死ぬ。アルトリアのエクスカリバーも派手の極みなので絶対死ぬ。

没理由…宝具の使い勝手が悪すぎる。今のバーサーカーが個人的に好きなのでそちらを優先した。

もし登場していたら…ギルにワンキルか、ディルムッド倒してギルに殺される。爆発は卑怯ですの。

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